色づき始めた御坂主稜へ(天下茶屋~八丁山~女坂峠)
(御坂主稜・岩稜帯は色づき始めた)
しっかし今年の秋は秋らしい好天が本当に少なく、ここへ来てようやく秋らしい日々が続くようになってきました。かのゆるキャン以来、ひと月半ぶりの山行きは御坂の久しくご無沙汰しているところを歩いてきました。
今回は河口湖駅からタクシーで天下茶屋に出て(¥5690)からのスタート。富士眺望の名所ながらハイカーは意外に少ない場所だけど、一番楽に(?今は二番目??)御坂主稜に上がれるところでもあるのです。
(御坂トンネルと天下茶屋)
天下茶屋から歩き出すのはまる10年ぶり。天下茶屋の開店作業を見ながら準備をして歩き出し、かの有名な太宰治の碑を一瞥して急な山道をせっせと登ります。
久しぶりに歩いてみると天下茶屋の周辺はいろいろ遊歩道が通っている事に気がつきました。今となってはおそらくほとんど廃道でしょうけど(笑)。天下茶屋からのんびり歩いても30分ほどで主稜線に出ました。
(歩いてきた御坂主稜の奥に富士)
10年前は西へ釈迦ヶ岳まで足を延ばしたのですが、今回は本当にご無沙汰している東の方へ。
御坂らしいブナ林に、雑木の美しい二次林。好天のもと快適な尾根歩きができます。そして久しぶりに歩いて驚いたのがアズマシャクナゲが点在していたことでした。確かにこのあたりは御坂で唯一シャクナゲのいるところだけど、ここまで多いとは。花芽がついている木も見かけて驚きました。
(ヤクシソウ)
送電塔に出れば、明るい草地の許では咲き始めのヤクシソウ。ヤマトリカブトにカイフウロとママコナの咲き残りも見られて、時期を考えればお花は十二分でしょう。
展望はもちろん良好で鳳凰から南は聖岳まで。こんな日にアルプス歩きたかったよう。
(御坂らしいブナ林も多い)
木々の緑も色が抜けはじめ、明るくなってます。紅葉らしい紅葉と言えば樹林帯ではヤマボウシぐらい。
(甲府盆地の奥に南アルプス)
でも岩稜帯では低灌木が色づきはじめており、ツツジの類いは来週以降それなりの色づきになっているのではないでしょうか?
(ヤマトリカブト)
歩き出しは少なかったヤマトリカブトは北面のブナ林を散策すると結構咲いていましたよ。
八丁山の前後は岩稜が続いて、色づき始めた低灌木が明るく良い雰囲気なのですが、尾根が狭くてランチ場ではないのが残念。八丁山に着いたらここで主稜線とは別れて、北の女坂峠(峠みちは道がない上に、なぜか道標に大沢山の名前がない)の方へ向かいます。
(見事なミズナラ)
(植林帯は思いのほか少なかった)
こちらに入ると植林が増えるのかなあ、、、と案じていたら植林はあんがい少なく、雑木に御坂らしいブナ林、そしてこちらもちょっとした岩稜を交えた、なっかなか素敵な稜線ではないですか!
道標は整備されてはいるものの、ちょっと慣れた人向けではあるけど、少なくとも好事家だけのものではない魅力があると改めて感じました。
(まさかセンブリに逢えるとは!)
今年も逢えました!本当に小さいお花がひと株だけ。我ながらよく見つけたよ。
(本社ヶ丸もご無沙汰しているなあ、、、)
(巡視路と女坂峠との分岐)
送電塔のある1445m峰に出たら時間的にもここから笹子へ下るのが常道。ですが今回は北の女坂峠へ下りました。というか↑↑この女坂峠の道標は峠みちがないのにいささか疑問やなあ、、、。この県の道標は大沢山の表記を避けてるよね。行政的な都合があるのかも知れないけど。
(このミズナラも見事!!)
分岐から下りだしてすぐに現れたこのミズナラ。左の太い方は5m超えてました。いやあ今までオレはなにを見ていたのか、、、アホすぎる。
(女坂峠の石垣)
女坂峠への下りは記憶通りかなり急で、かなり気を遣いました。そんなギャップ底のような峠からひと登りすると現れる尾根を横切る石垣。これこそがかの女坂峠みちの名残だったりします。
峠みちは18年以上前に2回に分けて歩いていて、現在の様子を確認したくて久しぶりにこちらを下ってみることにしたのです。
(石垣を追いながら峠みちを下る)
峠みちとはいえ今はもちろん廃道で、当然歩く人を選びます。今回はもうあらましすら書きませんよ(笑)。ある一定の法則があるとだけ言っておきましょうか。
昔から何度も言ってますけど、こういう廃道探索こそが実は一番山の総合的なスキルを求められるものなのです。とかく低山はいろいろ舐められがちですからねえ、、、。
(崩落が進んでかつてのケーブルが露出している)
道の状態は基本的に18年前をあまり変わっていない印象でしたが、ある区間の下降がなかなかスリリングでした。記憶が曖昧だからもう石垣が現れないんじゃないかとちょっと不安になった(笑)。
でも下るにつれ径路が続くようになり一安心。下部の状態は完全に忘れていたので、ああこんな感じで道が延びていたんだーと新鮮な気持ちで降りられたかな。
(植林帯に入れば一安心)
奥野沢の沢音が聞こえるようになるとまもなく清八峠からの登山道と合流。東山梨変電所に出たらあとは笹子駅へちんたら向かいました。というかいささか長いですねえ。あのトンネルをパスできるというか、もとのトンネルをショートカットできる道というかルートは今でも歩けるのでしょうか?今回は藪が煩そうだったので諦めたのが少々心残りでした。
久しぶりの女坂峠みちは上では捜索で、そして下では道が丁寧に造られているゆえに意外に時間がかかりましたが、その分山行きがピリッと締まりました。峠みちの緊張感とは裏腹に女坂峠までの尾根歩きは爽快でしたし、紅葉もちょこっと楽しめた。歩き終えてから「山を歩いて良かったなあ、、、」としみじみ余韻にひたれるような山行きってかなり久しぶりだったかもしれません。
| 固定リンク
「【御坂・天子・富士】」カテゴリの記事
- 御坂山・美林の稜線(2024.10.27)
- 色づき始めた御坂主稜へ(天下茶屋~八丁山~女坂峠)(2022.10.08)
- 笹子峠~大洞山~大沢山 新緑を愛でる(2022.05.13)
- またその3週間後の三ツ峠(2021.06.20)
- おおよそ3週間後の三ツ峠(2021.06.06)
コメント
AKIOさん、
ホント先週は良い天気でした。それなのにこの連休はまたしても、、、。
AKIOさんのおっしゃるとおり、今の状況を考えるとスキルのある人にとっては遊び場は増える一方かも知れませんよ(笑)。
なんやかんやいって山歩きって徹底的にフィジカルな世界ですからね。意識高いだけのフカしではない形での、この手の歩きをやさしく紐解くような形を実は近年いろいろ考えているのですが、時代が時代なのでなかなかね。
投稿: komado | 2022.10.10 08:19
写真を拝見していると、当日の天候が身近に感じられて、読んでいるだけでウキウキする気分になりますね。
廃道歩きの難しさや楽しさは Komado さんの書かれている通りだと思います。関東周辺でも過疎化や整備の人手不足で、廃道になりつつある登山道や作業道は増えつつあるのではと思っています。
当分の間、山遊びにフィールドには不自由しないかもしれません?
投稿: AKIO | 2022.10.09 07:53