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2019.08.31

黒部源流部・未踏の稜線をつなぐ3(黒部五郎岳~北ノ俣岳~薬師岳山荘)

B190830a(五郎のカールを行く)

この日は久しぶりに黒部五郎に登って、そのあと未踏の稜線を歩くという今回の縦走で一番の山場。少々長めなので朝一で朝食をとり、5時過ぎにスタート。小屋からしばらくは稜線の底とも言えるところを歩いているので日差しが入らず、快適に歩きつつカールを目指します。

ゴロタのいささか歩きづらい樹林帯を抜けると、日差しが入るようになり、やがて周囲が広がったらそこはもう五郎のカールの中。すでに山頂も見えてますけど、まだまだ遠いです。

B190830c(イワイチョウ)

B190830d(カールはまだまだ続く)

残念ながらコバイケイソウやイワイチョウはほとんど終わってましたが、広大なカールの中で織りなす岩と緑の景観は高原情緒たっぷりで、歩いても、立ち止まっても周囲を見回しても、ほんとうに気持ちよくてウキウキしちゃいますね。

宿泊者がいい塩梅にバラけていたのも偶然とはいえ、カールを楽しめた要因かも。

B190830e(カールの全景はこんな感じ)

B190830f(稜線への登りは急だが案外短い)

別段急いでいるわけでもないのに、気分良く歩けたせいなのか90分かからずに源頭の水場に到着してしまいました。ここまで来れば黒部五郎は目の前に聳えているわけですけど、もちろん山頂へ行くにはここからが稜線に上がらなくてはいけません。

軽く涼んだら、つづら折れの道をせっせと登っていきます。初訪の折はこの登りが案外きつかった覚えがあるのですが、今回はやたらと楽でしたね。カールを見下ろしながら、そして徐々に遠くの山々が見えてくるのが楽しくてしょうがない感じ(笑)。

B190830g(あそこが山頂)

B190830h(山頂には金色の目をした不動明王)

ということであっさり稜線に上がってしまい、ここから山頂へは一投足。これから歩く稜線の緩やかに延びる様子に気をよくしながら、山頂に上がるとさすがにここは人が多く、みなさん思い思いに休んでます。

個人的にはようやくその姿を見せてくれた笠ヶ岳に挨拶。

B190830i(笠ヶ岳・後ろは乗鞍?か??)

B190830j(薬師~劔・立山~後立山~赤牛)

↑↑次のお宿がある薬師岳に劔岳・立山、後立山は白馬から五龍まで見え、その横には懐かしの赤牛岳。どの山・稜線もいい思い出しかないなあ。。。

そして↓↓こちらが未踏の稜線。なるいかたちの稜線はもろに自分の好み。まるで東北の山のようですね。

B190830k(北ノ俣岳への稜線はなるくて東北の山のよう)

B190830l(黒部五郎岳を振り返る)

休憩を終えたら、さっそく西の稜線を下ります。↑↑あんがい緩やかに見えますけど、黒部五郎からの下りは結構急なんですよ。

稜線を覆うハイマツがまるで緑の海のようです。もう結構暑いんですけどね。でも台風が近づいているせいか、風が吹いているのでまだ心地よく歩ける感じでした。

B190830m(2578m峰・稜線は見た目よりアップダウンがある)

B190830n(黒部側の斜面が気持ちよさそうだ)

この稜線は見た目よりもアップダウンがあって、ハイマツにゴーロと想像よりは気ままに歩かせてもらえません。

あとこういう緩い形の稜線というのは、植生的に湿地になるものなのですね。イワイチョウはほぼ終わり。ハクサンコザクラはいないんですよね?

B190830o(2575m峰より・黒部五郎と右に笠ヶ岳)

B190830p(北ノ俣岳)

このあたりで太郎平・薬師峠泊まりとおぼしきハイカーとスライドするようになります。ハイマツ帯は人が一人しか通れないのですれ違いで待ち時間があるのもしばしば。でもイライラしないのはこの天気と緩やかな稜線歩きのおかげ?かも??

ちなみにおべんとは人の来ない2575m峰の露岩で頂きました。ご飯がかなり酢の利いた酢飯だったのは、気温が高い日が続いているせいでしょうか。

B190830q(太郎平へ向かうとガスが上がってきた)

B190830r(イワショウブ)

北ノ俣岳を越えると太郎平へ向け下りが続くようになります。緩やかな稜線は相変わらずですけど、お昼近くになってとうとうガスが上がってきました。

でもガスってくれれば日差しがなくなり、かえって涼しく歩けます。そして木道が出てくるとそろそろ太郎平も近い感じ。この辺りは荒れてなかった頃は広々とした湿原だったんでしょうねえ。イワショウブにキンコウカ。そしてここでようやくタテヤマリンドウが。しかもシロバナ。

B190830s(太郎平小屋)

やがて太郎平小屋に出ると未踏区間はここでお終い。これで劔岳から槍ヶ岳・常念山脈が繋がりました。気がついたらこんな自分でも北アの主立った山はほとんど歩いているんですよね。

太郎平はジャンクションなだけにさすがに凄い人。泊まりの人はすでにビール飲んでてすげー羨ましかったけど、まだ薬師の小屋まで登らなければいけないので自重しました。とはいえもうお腹も減っていたのでここで太郎ラーメンを頂きました。行者ニンニク良いアクセントになってて美味しいんですよ!

B190830t(薬師平を過ぎると稜線歩きに変わる)

休憩を終えたらもうひと頑張り。とはいえこの先は一度歩いているので、しんどいのは薬師峠から薬師平の間とわかっているので気が楽です。

でもそのしんどい区間は暑くて大変でしたが、薬師平で再び稜線に戻ると風が通るようになり、快調に歩けてあっけなく小屋に到着してしまいました。

B190830u(薬師岳山荘)

B190830v(山荘より黒部五郎方面)

手続きを終えたら、着替えて、あとはビール片手に外のベンチで流れる雲を眺めながらのんびりしたり、うとうとしたり。

こういうクリアな日の稜線の小屋って天上感があって本当に気持ちが良いですね。歩いた疲れに酔いも回って、ふわふわいい気分。こんな良い日に小屋の中で寝てるなんてもったいないもったいない。

B190830w(気持ちいいなあ・・・)

B190830x(お月見もできました)

その上ライチョウが子連れで二度ほど出てきてくれたり、夜は夜でいいお月見ができましたし、空が明るい割に流星も見られて夏山らしい楽しみをこの小屋でみんな楽しめた感じです。

あとこの小屋は8年ぶりだったかな?初訪の折は建て替え直後で本当に綺麗だったんですけど、その綺麗さが今でも保たれていることに驚きました。驚異的ですよ、これは。稜線上の小屋なので水は担ぐか買うことになるし、位置的に中途半端なところにある小屋だけど、個人的には北アで一番好きな小屋かもしれません。
 
・・・・・☆
  
◆ 2019.08.13 (Teun)   晴 後 曇
黒部五郎小舎 05:25- 黒部五郎岳 07:40/08:05- 北ノ俣岳 10:55/11:05- 太郎平小屋 12:20/13:00- 薬師岳山荘 14:20
 

太郎ラーメン(太郎平小屋) ¥1000

 
薬師岳山荘 一泊二食 ¥10000
缶ビール(350ml)x3 ¥2100

 

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2019.08.24

黒部源流部・未踏の稜線をつなぐ2(鏡平山荘~三俣蓮華岳~黒部五郎小舎)

B180823a(水晶岳~黒部源流~鷲羽岳なつかしや・三俣蓮華岳より)

この日は行程的に黒部五郎までと決まっているので少々遅めのスタート。6時だとあらかた出発していて、かえって空いていてこれはこれで良いものです。

まずは鏡池に寄り、水面に映る槍穂ならぬほとりの木々をカメラに収めてから、双六へ向けて登り始めます。でももうすでに暑いよ(笑)。自分のペースで登れるからまだ良いのですが。。。

B180823b(朝の鏡平山荘)

B180823c(抜戸岳への稜線を振り返る)

あらためて小池新道って歩きやすいですね。稜線へ出るまでの登りも道が本当にうまくつけられていて、しかも登りやすい。小一時間で稜線上の弓折分岐に出ると、双六小屋からの登山者も合わさって人がどっと増えてました。

この分岐って遅くまで雪が残る所のようで、ハクサンイチゲやチングルマ、アオノツガザクラなどの雪解け直後に咲く花がまだ綺麗に咲いてます。その中にシナノキンバイも咲いていたのですが、巻道でもまだ見られるだろうと・・・とカメラに収めなかったら、この後シナノキンバイを見かける機会はなかったのでした(笑)。はあ。

B180823d(花見平・秋の花に切り替わりつつあった)

B180823e(双六岳・樅沢岳の間に鷲羽岳が顔を出す)

右手に見える槍ヶ岳からの西鎌尾根も、振りかえって望む笠ヶ岳への稜線も、気持ちよく歩いた当時を思い出してなつかしい。ただ稜線に上がると人が増え、道も狭くなって行き違いが少々面倒ですね。

↑↑この双六岳と樅沢岳を繋ぐ稜線のまろやかな曲線がいつ見てもタマランチ会長。その間の鞍部に建つの双六小屋です。

B180823f(双六小屋・朝から大盛況だ)

着いた双六小屋はジャンクションにもなっているので朝から大盛況。前に槍ヶ岳から西鎌降りたときはここでうどんを食べて、とても美味しかった思い出があるのですが、さすがに朝食を取って間もないので今回はパスしました。

休憩を終えたら、双六岳へ急な登り返し。とはいえ今回は巻道を歩くので登りはちょっとだけ。

B180823g(ミヤマダイコンソウ)

B180823h(巻道は雄大な風景を楽しめる)

分岐に出たら、さっそく巻道に入ります。前に歩いたときは双六岳まで上がって稜線を歩いたので、巻道ははじめて。お花の多い道と聞いていたし、今年は雪が多いのでちょっと期待してたのですが、この暑さのせいで雪はあらかた溶けていて、すでに巻道もミヤマアキノキリンソウなど秋の花に変わりつつある感じでした。

↓↓コバイケイソウはなんとかここで。咲いていると華やかだけど、コバイケイソウの花は匂いがねえ、、、(笑)。チングルマもちょこっと。あとはエゾシオガマ、ハクサンフウロ、ミヤマキンバイ、ミヤマリンドウあたりがメイン。

B180823i(コバイケイソウ・なんとか残ってました)

B180823j(振り返れば槍ヶ岳)

それでも巻道は稜線西側の緩い斜面がかたちづくる雄大な風景が開放的。ゆるゆる歩くだけで幸せになれます。

双六側のほうが上り勾配のはずなのに歩きやすく、むしろ逆の方が登り返しがきつくて案外しんどいのでは?とおもってしまいました。

B180823k(イワギキョウ)

B180823l(そろそろ稜線が近いかな?)

前の晩の寝不足が出て途中でお昼寝してたんですけど、この暑さのせいか行き倒れの人に間違われるという(笑)。

でもこういう所でごろんと寝るのは本当に気持ちがいいんですよ。テントで一晩過ごせればより良いんだろうけど、テントは張れませんから。

B180823m(稜線に出れば三俣蓮華岳は目の前)

お昼寝込みでも二時間ほどで稜線に上がったら、三俣蓮華岳はもう目の前。ひと登りで山頂に上がると、ここも裏銀座と黒部五郎とのジャンクション、ハイカーが思い思いに休んでます。

ここまで来てようやく薬師岳に雲ノ平、黒部源流に黒部五郎の姿を間近に見ることができて、感慨もひとしおです。まさか再訪までここまで間が開くとは思ってませんでしたからね。今年は無事歩けたけど、とにかく近年のお盆の天気の不安定さが恨めしい。

B180823o(薬師岳と雲ノ平、水晶岳)

B180823n(カールを抱える黒部五郎が聳える)

展望を心ゆくまで楽しんだら、あとは小屋のある黒部乗越へ下るだけ。とはいえこの間は標高差500mを下る計算になるので下るのも案外大変なんです。まぁ登りはもっと大変ですけど(笑)。しかも暑いし。

下る途中、前後していたハイカーの人に携帯の通じる箇所を教えてもらったので、翌日の小屋の予約をして(笑)なおもぐんぐん下っていきます。

B180823p(ハクサンイチゲ)

B180823q(三俣蓮華岳を振り返る)

ここの下りは目の前の黒部五郎を眺めながら下れて、再訪してもやっぱり気持ちの良いところ。

なおも下って、下の五郎平も見えてくるとワクワクしてきました。あそこを歩くのは翌日なんですけど(笑)。

B180823r(五郎平が見えてきた)

でも快適な下りも樹林帯に入ると一変。急なゴロタの溝を下るようになって、滑りやすいし、下りの苦手な自分には少々しんどいところ。このあたりで太郎平から来たとおぼしきハイカーとすれ違うようになったんですけど、この暑い時分に長躯歩いた上、ここを登り返すとは単純にエラいなあ・・・と。

B180823s(黒部五郎小舎・盛況でした)

そんなしんどい下りをこなすと五郎平の広々とした草原に出て、あっけなく小屋に到着しました。この日の行程はここまで。まだ13時前なので人も少なくてラッキー!手続きを終えたらさっさと着替えて、荷物の整理をし、表のテラスでのんびりしてました。

とはいえそのあとは時間が進むにつれ人が続々とやってきて、この日も大盛況。同宿者にも恵まれて、わいわいがやがや楽しい一夜でした。

 
・・・・・☆
  
◆ 2019.08.12 (Mon)   晴 後 曇
鏡平山荘 06:00- 弓折分岐 06:50- 双六小屋 08:05/08:35- 捲道分岐 08:55- 三俣蓮華岳 11:10/11:20- 黒部五郎小舎 12:40

 
 
黒部五郎小舎 一泊三食 ¥11400
生ビールx2 ¥2000
 

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2019.08.18

黒部源流部・未踏の稜線をつなぐ1(新穂高温泉~鏡平山荘)

B190818a(左俣林道のひとコマ)

近年はお盆になるととたんに天候が不安定になって、高山の縦走がなかなかできなくなってます。そんな今年も当初は台風のせいでダメっぽそうと思っていたのですが・・・なーんか夏台風の典型で動きが遅いぞ。コレなら行けそう!

ということで今年は裏劔ではなく、ながらく未踏となっていた黒部五郎~太郎平の稜線を歩くことにしました。

B190818b (わさび平小屋)

急遽決まった上にできる限り早く山に入りたかったので、今回は松本駅から新穂高温泉へタクシーで出るという荒業を繰り出し(笑)お昼ちょうどのスタート。となると歩き出しから暑い暑い。大汗かきながら左俣林道をてくてく行きます。この林道は途中に何カ所か天然のクーラーがあるのが救いですね。あそこはホントに涼しい!

小一時間ほどでわさび平小屋に出ます。路線バスならここまででしたでしょうけど、今回タクシーおごったのはその日のうちに鏡平まで行きたかったから。ここはもちろん先を行きます。

B190818c (小池新道登山口)

小屋から30分ほどで小池新道の登山口に着くと、行く先には黒い雲がかかり始めていてひと雨あっちゃいそうな感じ。ちょっと気にしつつも登山道に入ると、じきに日差しがなくなって、かえって快適に歩けます。

さすがにこの時間登る人はほとんどどいなくて、下りの人ばかりですね。

B190818d (ジャコウソウ)

B190818e (秩父沢)

小池新道歩くのはたぶん十数年ぶりだと思いますけど、この道はほんとうに歩きやすい。傾斜が緩やかで本当に道がうまくつけられてますね。

秩父沢の傍らで軽くランチをとって先を行くと、このあたりでようやく登り組に追いついた感じ。ぼちぼち抜きながらなおも登っていきます。

B190818f (ミソガワソウ)

B190818g (ガスってくれて助かりました)

なんか登るにつれて雨の匂いも漂ってきて、これは本当にひと雨あいそうだと覚悟しましたが、登っているうちになんとなく見覚えのある池に出たなと思ったら、やはりここが鏡池。その先が鏡平山荘でした。

山荘前のテラスは三連休とあって凄い人!でも皆さん楽しそう。

B190818h (水面に槍穂が映るらしい鏡池)

B190818i(鏡平山荘)

宿泊の手続きし、着替えを終えたら生ビール片手に自分も仲間に入れてもらいます。

日が暮れるまで綺麗に晴れてくれることはありませんでしたが、同宿者にも恵まれ、寝るスペースもそれなりに確保でき、とても楽しい一夜でした。というか妙に興奮しててあまり眠れなかったのですが(笑)。

 
・・・・・☆
  
◆ 2019.08.11 (Sun)   晴 後 曇
新穂高温泉 12:00- わさび平小屋 13:05- 小池新道登山口 13:30- 秩父沢 14:05/14:15- シシウドヶ原 15:15- 鏡平山荘 15:55

 
 
タクシー(松本駅~新穂高温泉) ¥24050

鏡平山荘 一泊二食 ¥10300
生ビールx2 ¥1800

 

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