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2015.06.02

緑の蛾ヶ岳~地蔵峠をたずねる

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(地蔵峠付近の緩斜面のひとコマ)

下九や下部、折八など芦川南稜界隈の山って、明るく、雑木林が多くて、マイナー故に登山ズレしてない、いつ訪れても心洗われる素敵な山域なのですが、いかんせん東京からだと遠くて、訪れるのは冬春18きっぷのシーズンに限られていました。

でもそんな山域だからこそ一度は緑覆う時期の様子を見てみたい、長年そう思い続けて今回(05/30)ようやく歩く機会に恵まれました。

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(天狗岩山頂)

今回は甲斐岩間駅からタクシーで峰山に出て(¥4150)からのスタート。峰山は7年ぶりでしたが、他の山上集落と違ってまだ人の気配がするところが良いですね。

準備をしていると、さっそく地元の方に話しかけられて、色々お話を聞くことができました。実は峰山はかなりマイナーながら、南から蛾ヶ岳へ登る登山口で、さっそく登り始めるとかなり暑くて大汗かきかき。30分ほどで天狗岩に上がりました。

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(富士と龍ヶ岳から毛無山の稜線・天狗岩より)

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(行く先の尾根と蛾ヶ岳を望む)

あまりの暑さにこの先が思いやられたのもつかの間。天狗岩で休んでいるとじきに汗は引き、風が通ってきました。

そうなればこの先は快適に歩けます。天狗岩から先は8年ぶりの再訪ですけど、1174m峰を前にして東に巻く辺りとかは何となく覚えていたかも。でも道はしっかりしていて一応登山道なものの、道標は天狗岩の分岐にしかないので、ある程度慣れた人向けの道ではあると思います。

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(1052m峰を過ぎた辺りか)

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(六地蔵へ向かう道との分岐にある大ツガ)

1174m峰を過ぎた先で道は尾根を西に外れて六地蔵へ向かうのですが、ここにあった大ツガのことはすっかり忘れていました。少々弱ってはいるものの四本栂ともういべきかなり立派な存在。おそらくこの木自体がかつては目印というか道標になっていたのではないのでしょうか。

その分岐で登山道と別れて8年前と同じく尾根の直登に切り替ると、30分ほどで蛾ヶ岳に上がりました。

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(蛾ヶ岳山頂より)

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(イワツクバネウツギ)

さすがに蛾ヶ岳に上がるとお昼どきということもあってハイカーが数名。朝はクッキリ見えていた南アも雲がかかっていましたけど、広い空一面方射状に広がる雲が印象的。思わずカメラに収めまくりです。

山頂は微妙に居場所がなかったので、稜線を東へ行くと1220m峰に適所を見つけて今回はこちらでランチ。さすがにここまで来ると人通りもまったくありません(笑)。

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(ギンリョウソウ)

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(雑木の快い道が続く)

ランチを終えたら稜線をなおも西へ行きます。足下のお花はギンリョウソウぐらいでほとんどなしでしたが、木の花の方はぼちぼち。ヤマツツジやツクバネウツギは盛り過ぎ。コゴメウツギ辺りが盛りでしょうか。

でも通い慣れた稜線も緑の時期は様子が一変しますね。冬に快い道はやはり緑の時期も快い。

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(ヤマツツジは盛り過ぎ)

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(ニシキギ)

今回は大平山には上がらず、巻き道で折門峠をまわって地蔵峠に出ました。

地蔵峠も大ツガの許に下草がそよそよなびいて、冬場とは明らかに違う雰囲気。それより、春先来たときにはあった尾根通しルートの道標が取り払われていました。公としては尾根ルートはあくまで「認めない」という事なのでしょうね。

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(地蔵峠の六地蔵)

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(地蔵峠付近の緩斜面のひとコマ・Par2)

蛾ヶ岳から続いた稜線歩きも今回の所は地蔵峠まで。このまま折門峠みちを辿って高萩(向村)へ下る段取りなのですが、その前にもうひと遊び。稜線をなおも西へ行ってから、適当に北の舟窪状の緩斜面へ下ります。

実は今回の山行き最大の目的が緑の時期のこの緩斜面の様子を見たかったから。冬は落ち葉に埋もれた緩斜面は、今はフタリシズカとヒトリシズカ、そしてテンニンソウの緑に埋もれた緩斜面になってしました。

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(フタリシズカ)

そんな緑に埋もれた緩斜面の雰囲気を楽しむようにゆるゆる東へ行きます。舟窪の底のせいで風が通らず、少々暑い上に、虫も多かったのは想定外でしたが、それでも緑の時期のこの斜面の様子を知れたのは大収穫です。

そしてその緩斜面が終わる頃、上から来た折門峠みちと合流。あとは峠みちを下るだけです。

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(折門峠みちは緑の時期も素晴らしい)

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(昨年の大雪の影響か荒れた箇所が増えた)

峠みちは美しい雑木林の中、明瞭に延びていて、ろくすっぽ歩かれてない割にはかなり明瞭。この折門峠みちを歩くのは二度目ですけど、往時を偲びながら歩ける本当に良い道だと思います。

とはいえ去年の大雪の影響はここでも例外ではなく、トラバースの区間では崩れていたり、道筋が不明瞭だったりして荒廃が進んでいるようでした。

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(ネジキ・咲き始め)

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(明らかにシオジではない・ヤチダモ?オニグルミ?)

岩場では早くもネジキが咲き始め。今年は不思議と釣り鐘型のツツジと縁がありますねえ。

そして道が沢に沿うようになると、妙な木を発見。羽状複葉の葉は一見シオジに見えますが、幹は割れが深くてシオジとは明らかに違うもの。高木なので葉っぱを間近で確認出来なかったのが残念でしたが、おそらくヤチダモ?かオニグルミ?と思われます。

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(岩谷峠附近の畑跡の立派な石組み)

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(ユワヤ沢に掛かる橋)

そしてじきに沢(横沢の左俣)に出れば畑跡を通って岩谷峠は間近、なのですが、沢に下りる箇所がスッパリ落ちていたので下流側を迂回すると、今は使われていない畑跡の石組みの大きさにビックリ。往時の岩谷峠附近はどんな様子だったのでしょうね。。。

再び峠道に戻ればじきにユワヤ沢(横沢の右俣)に掛かる壊れた橋に出ます。そして対岸へ渡って、まずは山ノ神に挨拶。それから岩谷峠に上がりました。

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(岩谷峠)

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(なんとこの時期にシコクママコナ!)

峠に着けば高萩までは一投足なのですが、初訪の折には寄れなかったお隣の708m峰の様子も見てみたかったので、とりあえず登ってみましたが、上がったピークには何もなし(笑)。

下に山ノ神があったので、上にも何かしらの神様が祀られているのではという予想はあっさり外れてたものの、アカマツ混じりの雑木林に覆われたピークはそれなりにこのましい雰囲気ではありました。

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(高萩が見えてきた)

峠に戻ったらあとは一路高萩へ。道は比較的明瞭ながら、沢に沿っているせいか浮き石が多く気を遣います。

40分弱で高萩に下りたら、そこはさすがにもと下九一色の中心地。酒屋さんがあって、そこの女将さんが素敵な方でした。この酒屋さん、なんと昔は旅館もやっていたとか。とにかくこの日は山も良かったけど、地元の方からいいお話をいろいろ聞けたのも良かった。こういうのも山歩きの醍醐味の一つであるなあ、と改めて感じつつ帰路についたのでした。
 
・・・・・☆
 
◆ 2015.05.30 (Sat)   晴 時々 曇
峰山 09:00- 天狗岩 09:40/09:55- 大ツガの分岐 10:55/11:15- 蛾ヶ岳 11:40/11:50- 1220m峰 12:10/13:05- 地蔵峠 14:10- 岩谷峠 15:55/16:05- 708m峰 16:10/16:20- 高萩(向村)17:00
 

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コメント

そうなんです。
その前の州の水雲山もそうだったんですけど、話に夢中で肝心なことを聞くのを忘れてしまう、というのは良くありますね。

ただいまどうやって高萩に下りるかという山行きを画策中です(笑)。

投稿: komado | 2015.06.04 23:12

岩谷峠のこと 旅館の女将さんなら何かをごぞんじかもしれませんね。惜しいチャンスでした。
でも心に掛けていれば、ラッキーな偶然に出会える気がします。

投稿: ba_sobu | 2015.06.04 15:18

AKIOさん、

あの二重山稜ではちょっとスケベ心もあったんですけど、あっさり潰えました(笑)。でも改めて良いところだなと思った次第です。

自分も峠道の崩落地は増えた印象だったので、やはりあの大雪の影響は大きかったようですね。次に機会があったら酒屋の女将さんに岩谷峠のことを聞いてみようと思っています。

投稿: komado | 2015.06.03 22:54

Komadoさん、こんにちは。

やはり葉のない季節とは雰囲気がかなり違いますね。
地蔵峠付近の二重山稜は何か変わった植物でもありそうな気はしていたのですが、東西方向で風が通らないようでは仕方ないかもしれません。
折門峠みちは大雪の少し前に歩きましたが、写真のような崩壊はありませんでした。

投稿: AKIO | 2015.06.03 12:32

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