岩藪乗り越え、平岩尾根から鉄山へ
(平岩尾根<鉄山南尾根>上部のひとコマ)
さすがに梅雨時は天気と用事が重なってスムーズに山歩きをさせてくれませんね。先の週末も予報は宜しくなく、今回もダメかと思っていたのに、なぜか日曜(06/28)は予報が急に良くなって歩けそうな雰囲気。
というか気温はかなり上がるものの、乾燥した爽やかな天気になりそうだったので、ここで秋に回そうと思っていた鉄山の南尾根たる平岩尾根が急遽浮上して、さっそく歩いてきました。
(ズタヤクシュ)
今回はおおよそ一年ぶりに大弛峠行きのバス~乗合タクシーに乗って、途中のアコウ平で降ろしてもらって(料金は大弛峠まで行くのと同額)からのスタート。1900mまで上がると空気は爽やかで涼しく、本当に気持ちが良いですね。それだけで気分は最高です。
とはいえ、のっけは荒川まで150mほど下りる道のり。シラベの二次林の中、林業なのか?鉱業なのか?の軌道跡をたどるのが面白いですね。
(荒川に降り立ちました)
15分ほどで荒川に降り立ったら、飛び石で左岸へ徒渉。すぐ下が御堂川(御室川)との出合になっており、金峰山へはその御堂川を遡るのですが、その出合の中間の尾根こそが今回の目的である鉄山南尾根たる平岩尾根の末端部だったりします。
出合附近は広場になっていて心地よいところだったので、メロンパンを食べつつ少し休憩。それから平岩尾根に取り付きました。
(サラサドウダン)
(平岩尾根下部は植林帯のお陰で歩きやすい)
尾根末端はスズタケでも茂っているのかと思いきや、末端からスッキリしててラッキーでした。尾根下部はカラマツ植林に黒木の二次林が混ざる中、アズマシャクナゲがぽつぽつ茂っていて、なんか公園のような感じがしなくもないかも。
そんな中をゆるゆる登っていくと、じきにカラマツ植林が切れて、シャクナゲが被るようになってきます。
(開けた岩頭の出るあたりから、尾根が急になって)
(右手に岩壁を見ると、核心部のはじまり)
すると尾根は急になってやはりというか露岩も現れ、藪を分けつつえっちら登っていると、周囲の開けた岩頭に出て一休み。
そこからコメツガとシャクナゲの尾根を介して、右手にいかにもそれとわかる巨大な岩壁が現れると、ここからが平岩尾根の核心部のはじまりです。
(肩の岩頭に一旦上がり)
(その奥に最初の岩峰<平岩?>が見える)
ひと登りで尾根の肩とも言える、これまた開けた岩コブに出て一息ついてから先を行くと、シャクナゲが濃くなり、一気に歩きづらくなりました。
そんな藪を分けつつのろのろ行き、岩峰の直下に出るも、ピークは間近なのに密なシャクナゲのせいでなかなか近づけません。それでも展望が良いのはわかっていたし、区切りでもありそうなピークだったので、ここは藪をくぐって上がりましたよ(笑)。
(最初の岩峰より)
(尾根は痩せててシャクナゲが煩い)
この最初の岩峰を過ぎると尾根は平衡になり、藪に埋もれた地面を探りつつ、のろのろアップダウンを繰り返す感じ。
今年のアズマシャクナゲはどうやら↓↓この落花が最初で最後のようです(笑)。でも完全に諦めていたのでこれでも嬉しかった。ちなみにハクサンはまだ蕾でした。
(落花だが今年初のアズマシャクナゲ)
(次の岩峰<平岩?>の奥には鉄山)
やがて北側が開けたピークに出ると、目の前には次の明瞭な岩峰が聳え、その奥にようやく鉄山の姿。やれやれ・・・先はまだまだ長そうです。
そして左手には金峰山と御室へ下る表参道の急な尾根も間近。その尾根のちょうど真ん中の辺りに、四角い台座の上に丸石がのったような奇岩が見えたのですが、これが「片手回し」と呼ばれる岩のようですね。
(金峰山方面・真ん中には表参道の片手回しが見える)
(ここはフリクションが効いてすんなり登れる)
次の岩峰は見た目よりも近い印象で、登りは急なものの、フリクションが効いてすんなり登れました。
ここは休憩できるスペースがあったので小休止。静かで展望宜しく、良いところですねえ。お隣の表参道も一度歩いてみなければいけませんね。
(次の岩峰より)
この岩峰を過ぎるとスッキリした美しいコメツガの自然林に変わって、核心部は終了のようです。
ちなみに原全教の「奥秩父」によると、この辺りの岩稜帯が「平岩」と呼ばれているようですけど、最初と次の岩峰のどちらかがそう呼ばれているのか?それともこの二つの岩峰間の総称なのか?それがよくわからず、少々気になるところではあります。
(次の岩峰を過ぎるとようやく藪から解放されるが)
(森林帯を抜けると次は低木の藪が待っている)
核心部は終わったとはいえ鉄山はまだまだ上ですし、それより気がかりだったのが、下から見えた森林限界の低木帯のこと。
ここで意外や森林帯を抜けてしまい(笑)いきなりハイマツ漕ぎか~と思ったら、標高が低いせいか?ハイマツよりも株立ちの素直な低木化したコメツガの方が主だったのはラッキーでした。
(2340m圏峰・なにか祀られていた模様)
ということで再びのろのろ藪をこぎつつようやく2340m圏のピークに上がったら、なんともうお昼時。ここまで来るのに歩き出しから3時間もかかっていたのでした。当初は大弛峠から下って表参道を登り返すプランも考えていたんですけど、もしそれを実行してたら9時歩き出しではタイムアウトになっていたでしょう(笑)。
そして驚いたのがピークの一角に御神酒とおぼしき古い瓶缶が残されていたこと。今はもちろん何もありませんが、昔は金峰山にまつわる神さまが祀られていたのだと思われます。
(コケモモ)
(ずいぶん上がりましたねえ)
2340m圏峰から先もいったんは樹林帯を介したものの、基本は低木帯で終始藪漕ぎが続きました。
でもここまで上がってくると、その低木帯の中に藪のないガレ場が点在するようになって、自然とそれを繋いで登っていくようになりますね。
(まだまだ藪は続いて)
(切り開きが現れると鉄山は近い)
やがて尾根の中心に切り開きが現れるとようやく藪から解放されて、ひと頑張りでようやく鉄山の山頂に登りつきました。
シャクナゲに囲まれた、荒れた感じの山頂には少々ガッカリ感もありましたけど、まぁ登りで充分楽しめたので、無問題です。
(鉄山山頂)
(ミツバオウレン)
登りに時間がかかったとはいえ、まだ13時なら金峰山に寄る余裕もあるのですが、ちょっと曇ってきたこともあって気が向かない感じ。とはいえ別の方でもうひと遊びという時間でもないので、結局大弛峠へ向かうしか選択肢はないのでした。
さすがに稜線は人が多いけど、想像よりは少ない印象。あとはお花を探しつつ、周囲の展望を楽しみつつ大弛峠へ向かったのでした。
(朝日山付近より鉄山・金峰山を振り返る)
結果としてはショートコースになりましたが、今回は久しぶりにワクワク感の多い、楽しい山行きでした。まぁ晴れたのが一番でしょうけど、色々良いことも重なった事に感謝。次は機会を見つけて金峰山の表参道を歩かなければいけないですね。
・・・・・☆
◆ 2015.06.28 (Sun) 晴
塩山駅 07:30→ アコウ平 08:40/08:50- 御堂川出合 09:05/09:20- 最初の岩峰 10:20/10:25- 次の岩峰 10:50/11:00- 2340m圏峰 11:40/12:05- 鉄山 13:00- 大弛峠 14:20
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コメント
AKIOさん、
まさかの好天でラッキーでした。
平岩尾根の登りだしはその様子から趣きなしか?と思いきやさすがに金峯周辺の山、岩藪が良いアクセントになって面白かったです。
お次は表参道だと思うのですが(笑)、どう歩こうかなあと。下まで行くとすると今は車道歩きが長いのが玉に瑕。片手回しは一度現物にお目に掛かりたいですね。
投稿: komado | 2015.07.02 00:05
Komadoさん、こんにちは。
日曜日は、この尾根を歩くのにふさわしい天気でしたね。小生も表参道を一度歩きたいと思っていたのですが、レポを読ませていただくと、この尾根も負けず劣らず面白そうです。日帰りで平岩尾根と表参道の2本を狙われていたとは、さすがに Komadoさんですね。脱帽です。(笑)
夏は午後になると雲が出てきて展望がなくなりそうなので、秋の移動性高気圧に覆われる時でも狙って歩いてみたいと思っています。
投稿: AKIO | 2015.07.01 17:32