黒部峡谷・下ノ廊下を歩く 1
(水平歩道のひとコマ)
もう何遍も言ってますけど今年の夏は本当に酷くて、予定していたところが全て潰れてしまい、いったい今年はどうなるんだろう?と途方に暮れていましたが、9月に入って天気が少し持ち直してきましたね。
お陰で裏劔は今年もダメでしたけど、下ノ廊下の方はうまいこと天気と都合が合って、先の週末(09/27・28)にようやく歩いてきました。
(立派なケヤキを見ながら登るシジミ坂)
下ノ廊下は行程が長いので、下りの方が楽ではあるんですけど、下りはその勢いでどうしてもぞんざいに歩いてしまう面があるのは否めません。なのでここを歩くのは昔から「登り」と決めていて、となればスタート地点は一年ぶりの欅平。駅前広場?の脇から延びている道にようやく入れるのかと、感慨もひとしおでワクワクしながら歩き出します。
登りだしのシジミ坂は、スタート地点の名の通りなケヤキの立派な木々が目立ち、終わりかけのテンニンソウやオオバアキギリ(!)が咲く中をせっせと登っていく感じ。確かに急ではありますけど距離としては知れたもので、大汗かきつつ30分も登ると、あっさり展望台に着きました。
(猫又山はすでに紅葉盛りか・展望台より)
(水平歩道に入るといきなり・・・)
270°ぐらい開けた展望台から一番目についたのは東の高峰ではなく、西の毛勝三山。上の方は良い具合に色づいていて、思わず上がりたくなってしまいますけど、今回の所は眺めて楽しむだけ。そんな展望を汗が引くまで楽しんだら先を行きます。
展望台から道はしばらく尾根上を通り、15分ほど歩くと「水平歩道入口」の標識が出てきて、いよいよここからが本番。道はここから細いトラバース道に変わります。
(白馬鑓・唐松・五龍を望む)
(素掘りのトンネルもある)
実際歩くとそれは写真などで見たそのままの道でちょっと感動してしまいましたが(笑)、道は山側に番線が張られている所からしてしっかり整備されていて、慎重に歩けば全く問題のないレベル。でも薄い鉄板を渡してあるところの、鉄板がベコベコしていて歩くと少々ヒヤヒヤします。
あと当然高度感もあって、最初の頃は見える物全てが新鮮に見える感じ。要は浮かれていたんですね(笑)。お花はダイモンジソウ、オヤマリンドウ、オオバアキギリ、ノコンギク辺りがメインでしょうか。
(オオバアキギリ)
(奥鐘山西壁を終始見ながら歩く感じ)
(こんな所に道を・・・)
道は水平歩道といわれているようにほぼ水平に通っていて、アップダウンも緩やか。尾根や谷の襞を丁寧に捉えていく道のりは東京都の水源林巡視路を想起させますけど、
岩を穿ってつくった道はないし、素掘りのトンネルはないし、奥鐘山のダイナミックな西壁を見ながら歩けるところもない。でもこの高度感を楽しめる巡視路は実はあるんですよね。
(・・・よく造りましたねえ)
(志合谷のトンネルの入口<東詰>)
(入口から対岸の出口を望む)
そして展望台から一時間半ちょいで噂の志合谷のトンネルに到着。ここはライトの要るトンネルなので、さっそく用意をして入ると中は想像したよりは歩きやすかったでしょうか。
でもお昼のトンネルは苦手ですね。長さは150m程のようですが、実際歩くともっと長く感じるところ。まぁ湯ノ島の林道のトンネルよりはマシでしたけど(笑)。
(今年初マツムシソウが黒部とは!)
(遙か下に黒部川の流れが)
(折尾谷・ここもトンネルが通っている)
志合谷を過ぎると、桟道が続く大太鼓を越えて、次の沢は折尾谷。ここも短いトンネルが通っていますが、中は結構な泥濘で焦りました。ここは増水時になるとトンネルの中に水がたまるとか。
トンネルの周囲をよく見てみると、一応高巻きの用意もしてあるようですけど、雪が残っている時に高巻きが使えるかどうかはわかりませんからねえ。
(折尾ノ大滝)
そしてその次の沢が折尾谷枝沢の大滝。ここは小広い所で、水平歩道唯一の休憩ポイント。滝しぶきを受けながら皆さん一息つかれています。自分ももちろんここで最後の休憩を取って、一路阿曽原を目指します。
もうこの頃になると標高を上げているせいか林も自然林に変わって、ブナやミズナラの立派な木々も現れてきます。そして一旦登りになったと思ったら、突然急降下が始まるとゴールも間近。30分ほどで阿曽原温泉に到着しました。
(ブナやミズナラが目立ってくると阿曽原も近い)
(阿曽原温泉のテン場)
実は今回もテント泊、というか自分がテントを購入したのって下の廊下を歩きたいが為に購入したと言っても過言ではなかったんですけど、まだ9月、そして正式な開通のアナウンスが出る前だったこともあって、この日の小屋はそう混雑していなかったようです(笑)。
それでも小屋は黒部川から二段ほど上がった高台にあり、テン場も対岸の山を望める絶好の立地。黒部の小屋は温泉かお風呂があるところが多くて、汗をかくハイカーには嬉しいところですね。
おかげできれいさっぱりな身になれて、テン場ライフも楽しめ、夜には星空も楽しめたのに、標高が低いせいか気温が高めで、夜でもフリースが要らないぐらい。快適に過ごせたのは気温が高からず低からずだったせいもあるかも知れません。
・・・・・☆
◆ 2014.09.27 (Sat) 晴 時々 曇
欅平駅 09:05- 展望台 09:35/09:40- 志合谷のトンネル 11:20/11:30- 折尾ノ大滝 12:25/12:45- 阿曽原温泉小屋 14:00
黒部峡谷鉄道(リラックス車) ¥2240
テント場(阿曽原温泉小屋) ¥700
温泉 ¥500
ビール(ロング缶) ¥700
ビール(ショート缶) ¥500
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コメント
kbさん、
早月と合わせるなんて、ほぼ完璧なコースですね。
仙人池や池ノ平はある意味劔の山頂よりもあこがれなんです。池に映る裏劔はぜひとも見たい光景。
仙人温泉より下は雲切新道に変わって遠回りにはなりましたけどとりあえず安全にはなった。でも池ノ平からの下りは変わりないので、夏場はやはり残雪に気を遣いそうですね。
投稿: komado | 2014.10.05 10:24
10年くらい前の8月の下旬に番場島から早月尾根を経由し剱岳 剣山荘から真砂沢
二股 仙人池 仙人温泉小屋経由で阿曾原でした
早月小屋 真砂沢ロッジ 阿曾原温泉小屋泊で3泊4日の山行でしたが
真砂沢ロッジから仙人温泉小屋までの雪渓が薄くなっている場所を
何か所か通過するのが一番緊張しました。小屋でも充分注意するよう言われました。
仙人池は素晴らしく紅葉も始まっていて池に写る裏剱や
周りの景色に休憩時間を大幅にオーバーして1時間近く
もゆったりと座り込んでいました。
現在仙人温泉小屋からの下りは以前とコースが変わっているようですが・・
投稿: kb | 2014.10.04 09:50
ゴン太さん、
ええと自分の場合、魔法でも何でもなくて今回購入したのはテント(重い)とダウン450gのシュラフ(これは軽いのを買った)だけ。あとは長年使っている避難小屋装備をそのまま利用しての重量です。
ゴン太さんはテントを始められて十数年でしたよね?でもそれでも一泊で20kgは当時でも重めの重量だったように思います。まぁ当時は65Lだと3kg近いザックはざらでしたか。でもシュラフは600fpダウンなり化繊でも今のと比べて+500gはないでしょう。
かさばるなら理解出来るのですが、重いというのは、もうこれは単純に装備の新旧・軽重の比較ではなく、テン泊に対しての考えの違い~自分にとっての最低限の快適さとか、何を楽しみにするかとか~それに尽きるのではないでしょうか。なので荷物を軽くしたいのであれば、その辺りを勘案しつつ、経験を元にどれだけ自分の荷物を減らすか、真剣に考えるしかないのだと思っております。
投稿: komado | 2014.10.03 19:40
kbさん、
もしかして裏劔の帰りに下られたのでしょうか。
だとするとあそこの下りも一筋縄ではいかなそうな雰囲気ですね。
でも裏劔は来年こそは歩きたいと思っています。
靴が水没したのはたぶん折尾谷のトンネルでしょうか。ボクも裏劔のことがあるのであそこはいろいろチェックしていて、残雪次第ですけど、トンネルが水没していてもあそこは高巻けそうなので、プレッシャーが減りました。
小屋は今の時期以外は空いているようですので(笑)今度は小屋泊でのんびりしたいです。
投稿: komado | 2014.10.03 19:25
なるほど! テントは下ノ廊下を歩きたいから…だったのですね。
このまえは、好い情報をありがとうございました。さっそく図書館で庄太郎さんの『山道具』を予約して拾い読みしているところです。テント引退しようと思っていたところだったのですが、考え直そうかと気が変わりかけています。
50リットルザック、水無で12kgとのことですが、どんな魔法を使っているのか、と言うのが正直な感想です(笑)。私の場合、それこそ、日帰りでそのぐらいの重量だったりしますから…、ちなみに私、テントだと水込みで20kgです。
とりあえず、45リットルのザックがあるので、例のあの縦にぎゅうぎゅう詰めのパッキングを(家で)試してみたいと考えています。
ただ、私の場合、ブランク空き過ぎちゃったんで、その前に少し日帰りで足腰を鍛え直さないといけませんですが(笑)。
投稿: ゴン太 | 2014.10.02 20:44
何年か前に阿曾原から欅平へ歩きましたが高所恐怖症
なので周りの景色を見る余裕がありませんでした。
上から水が滴り落ちている場所を通過したり暗いトンネルの中は水が溜まっていて
靴の中まで水浸しになったりで緊張の連続でした。
こうして写真で見ると懐かしいです。
阿曾原の温泉暑いけれど解放感がありとても
気持ち良かったです。
投稿: kb | 2014.10.02 14:41