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2013.08.26

白馬連山 百花繚乱 3(白馬岳~清水尾根~祖母谷温泉)

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(ニッコウキスゲとコバイケイソウの斜面・清水尾根中腹にて)

三日目は丸7年ぶりに清水(しょうず)尾根を下って祖母谷(ばばだに)温泉へ出る行程。初訪の折は登りにとって、そのお花の素晴らしさに圧倒された清水尾根の再訪とあって、実は未踏だった初日よりも楽しみにしていたのがこの日だったのでした。

この日は下りとはいえ長いコースなので、ちょっと早めに5時過ぎのスタート。さっそく小屋下に広がる旭岳との間の雪田へ向かうと、西斜面のせいかのこの時間は日陰なんですね。

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(剱、立山が近い・・・)

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(トウヤクリンドウ)

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(旭山を捲き終えた辺りより)

なので旭岳を北へ捲くところも日陰だったのが少々残念でしたが、その分天気は良いので展望は良好。目の前には当然のごとく剱・立山が間近に見え、その奥には黒部源流部を繞る山山。そしてその奥のトンガリはおそらく槍ヶ岳だと思う。

そんな山山を改めてみて見るともう歩いた山の方が多くなっていて、懐かしい気持ちになっている自分が妙に不思議だったりします(笑)。

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(ミヤマキンポウゲとミヤマダイコンソウ)

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(クルマユリ)

そんな感じでいたってルンルン気分で旭山を捲いて尾根上に戻ると、ここでようやく日差しが当たるようになって、お花も本番。でも今回お花の種類は主立ったものしか挙げませんヨ。今まで見かけたお花はかなりの割合こちらでも見られますし。

ただ7年前は清水岳より上はまさにハクサンイチゲロードだったのに今回ほとんど見られなかったのは、雪が多いといいながら時期が遅かったというより、当時の残雪の量が異常に多かっただけで(7年前もお盆の時期でした)、あの時がただのキセキだったのでしょう(笑)。

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(ハクサンフウロ)

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(コマクサが一面に咲いているのがわかるでしょうか?)

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(タカネシオガマ)

それでもこちらは残雪が多いせいか前の日はほとんど終わっていたミヤマダイコンソウがまだかなり見られたし、そうかと思えば前に通りがかったときはほとんど終わっていたコマクサが元気に咲いていたのは意外でした。

ただ清水平の雪田は小さく、融雪水が取れなくなっていたのはこの時期としては実は普通のことなのかも。7年前は雪田が登山道近くまであって水がじゃばじゃば流れていましたから。

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(ようやく清水岳に近づいてきた)

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(イブキトラノオと剱岳)

そんな雪田を右に見つつ、イブキトラノオとコバイケイソウに埋まる斜面を登り切ると、広々とした清水岳に到着。やっぱり今回もエアリアのコースタイムをオーバーしていました(笑)。

初訪の折りは干涸らびたのばかりだったミヤマアズマギクがこの日のコマクサと同様に比較的きれいなのがたくさん残っていた不思議。まだまだ先は長いので、というかお花はここからが本番なのでメロンパンを食べて、先を行きます。

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(お花畑はまだまだ続きます)

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(タカネナデシコ)

下りはじめて驚いたのが、清水岳より下はぬあんと刈り払いが入っていたこと!初訪の折はこの辺りが一番藪の煩かった箇所でしたから。。。

あとここまで来ると気になるのがやはりミヤマハナシノブなのですが、結局今回も見つけられませんでした。この花をここで見るにはやはり7月中が必須なのかもしれませんねえ。

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(歩いても歩いても、お花が途切れない!)

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(シナノキンバイと剱岳)

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(ヤチトリカブト)

ミヤマハナシノブは今回も残念でしたけど、さすがに清水尾根は中途半端に目の肥えてしまったおっさんの期待を裏切りません(笑)。いやあお花畑がつづいてつづいて・・・途切れない!

そして、歩を進めるたびにミヤマキンポウゲが斜面を覆い、シナノキンバイが斜面を覆い、次はハクサンシャジンが、ハクサンイチゲが、イワイチョウが、ニッコウキスゲが、コバイケイソウが、ハクサンコザクラが、チングルマが・・・

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(雪田にはイワイチョウとハクサンイチゲ、そして剱岳)

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(ハクサンイチゲは盛りを過ぎていたが見事)

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(斜面をニッコウキスゲが覆っている)

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(ハクサンコザクラもいっぱい!)

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(コバイケイソウはここが一番見事だった)

・・・かわるがわる周囲の斜面を埋める様子はまさに圧巻の一言。うおお。

初訪の折とくらべるとチングルマがやや少なめで秋の花と入れ替わっていたのも、またよし。「清水尾根でお花を楽しむなら登りが必須」と思っている自分も、終始剱岳を視界に入れながらお花を愛でられるのもまたオツなもので、これは下りならではの魅力ですね。

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(チングルマがこっちを向いてる!)

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(不帰岳避難小屋)

いつまでも続くお花畑にもうお腹いっぱいというか正直飽きてきた頃(笑)ようやく樹林帯に入って、これで長々と続いたフラワーロードはおしまい。猫又峠の鞍部に降りてから、緩くトラバースするとこれまた懐かしい不帰岳避難小屋に到着しました。

・・・と書くともうお終いのような雰囲気ですけど、ここでようやく行程の半分なんですね(笑)。小屋は相変わらず普通に使えるようですし、水場もしっかり。おかげでおいしい水が汲めるので日陰の少ない小屋前でラーメンを煮て、食べて、少しのんびりしたら先を行きます。

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(こんな鎖場があること忘れてました・笑)

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(尾根道はオオシラビソとコメツガの林)

前に歩いた経験から今回は避難小屋までは「縦走」、避難小屋以降が「下山」のイメージで、あとはお気楽に下山~♪なんて思っていたら、トラバース道から尾根道に復帰する手前で、↑↑のような鎖場があったのは完全に忘れていました(笑)。

それでも尾根に沿って歩いている時はスムーズに歩けたし、百貫ノ大下リもトラバース道ではあるもののさしたる難場はなかった覚えがあるので、お気楽で降りていたら

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(清水尾根上部は下からだとこう見えるのか)

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(ブナ林も見事)

改めて歩いてみると、意外にワイルドですね(笑)。特に沢を横断する箇所は道も細くて少々気を遣いました。でもここまで下ってくると暑くなっているから、沢を横切るたびに水浴びできてそれが結構爽快。あとこの時間から登る人が意外に多かったのには驚きました。(もちろん数名ですけど)

あとは順調に下っていき、徐々に祖母谷の沢音が近づいてくる頃には頭の中はもう温泉のことしかなかったかも(笑)。やがて名剣沢に出て、ゴーロの広い沢床を下り気味にトラバース。廃林道に降りたら暑い中急ぎ足で祖母谷温泉へ向かったのでした。

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(祖母谷温泉に着きました)

さて個人的に念願だった祖母谷温泉。独特の開放感がある、常連さんの多いかなりディープな小屋ですね。一発で気に入りました。北アにもこういう所があったのか!という思いです。暑かったので川原の温泉掘りは断念しましたが(それでも夜は寒いくらいになる)、温泉よろしく、人よろしく、リブルさんおすすめの骨酒も堪能できて(うまうま)、大変楽しい一夜を過ごすことができました。

今回は二年ぶりの北アルプス。そして個人的に「白馬のゴールデンルート」と目している今回のコースを無事に歩けて、ほんとうに良いリハビリになりました。とにかく天気に恵まれたのが一番。そして人にお山にも恵まれた。感謝感謝です。今年は天気を選んでいるせいもあるけど、予定がつぶれまくってズッとヘコんでましたが、この山行きでみんなスッキリしました。白馬は本当にいい山。何度でも行きたいし、今度は「北アのミヤマハナシノブ」もこの目で確認したいですね。
 
ちなみに7年前の清水尾根は→→こちら。参考程度にどうぞ (^_-)-☆
 
・・・・・☆
 
◆ 2013.08.14 (Wed)   (ほぼ)快晴
白馬山荘 05:10- 清水岳 07:30/07:40- 不帰岳避難小屋 09:50/10:45- 百貫山北鞍部 12:10- 祖母谷温泉 14:20
 
 
祖母谷温泉 一泊二食 ¥9000
缶コーラ ¥250
お茶(500mlPET) ¥400
骨酒 ¥1700
 

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コメント

tawaさん、

こちらこそご無沙汰しております。やはりバレてましたね(笑)。花の種類を重視するのなら大雪渓というプランもありなのでしょうけど、お花を飽きるぐらいに愛でたいプランなら、絶対に五輪~清水と思っていましたし、実際歩いてみてもそう確信しました。今回のルートはおそらく北ア一のフラワーロードです。

お花は残雪によって左右するから毎年違うのでしょうね。普段なら7月下旬8月頭なのでしょうけど、お盆にしか休みを取れない自分にとっては残雪の多い年が狙い目なのかなと思っています。

投稿: komado | 2013.08.28 19:27

リブルさん、

そうそう内湯は透明で本当に良いお湯でした。夕方と朝方にも入って帰郷しても疲れ知らず。普段なら二泊三日で歩いても帰りの電車はグロッキーなのに、今回は元気そのものでした(笑)。

でもあのお湯は天気で変わるんですか!源泉間近だから硫黄泉なのににおいも少なく透明だと思い込んでいました。(^^ゞ

投稿: komado | 2013.08.28 19:22

kbさん、

おっしゃるとおりですね。ほんと白馬って大雪渓や栂池、あと鑓温泉のルートを外せば、人は意外に少ないし、お花も楽しめますね。

ボクは初めての白馬が清水尾根でした。だからこそ白馬をここまで好きになったと思っています。おそらく大雪渓から歩いていたとしたらここまで好きになっていたかどうか怪しいものですヨ(笑)。そうそうこの日はかなり時間をかけているのでKbさんでも問題なく下れると思いますよ。下はしんどいかも知れないけど。

投稿: komado | 2013.08.28 19:19

大変ご無沙汰しています。
2年前、清水尾根を下ったご報告を掲示板にしましたとき、komadoさんのresに「清水尾根と朝日・五輪蓮華を組み合わせればおそらく北アでもトップクラスの花の道になるのでは?」とありましたので、今回そういう展開になるのでは・・と予測(というか、確信)していました(笑)
私が歩いたのも、殆ど同じ時期ですが、年により花の様子はずいぶん違いますね。
それにしても、下半分もさらっと歩かれていますね。私は避難小屋で泊まりましたので、最後の日は下半分を下りるだけだったのですが、暑さとシャリバテでヨレヨレでした~ 

投稿: tawa | 2013.08.27 23:02

ハクサンコザクラがすごいですね。
こんなにお花が咲いていたとは。
ここを歩いた頃はお花はほとんど目に入らない頃だったから、今考えるとちょっともったいないですね。(^^;

祖母谷温泉、よい天気だったから透明に近いお湯だったのでは。
コンクリート打ちっぱなしの露天風呂もいいけど、内湯も静かでいいですね。

投稿: リブル | 2013.08.27 20:50

天候に恵まれ花満開の素晴らしい山でしたね
白馬も北側から入ると人もそれほど多くなく本当に良い山ですね。
 雪倉岳や朝日岳付近は本当に花が多かった記憶があります。 
清水岳2年前に行く予定でしたが雨でコース変更になり
行けなかったので記事を見て是非行きたいと思いました。
komadoさんのコースタイムを見て自分が歩くには正直大丈夫かなと心配ですが

投稿: kb | 2013.08.27 09:37

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