
(大栂南東尾根上部の緩斜面)
登山道がほとんどない世附(世附川流域)の山でそこそこ歩かれている所というと、城ヶ尾峠&二本杉峠越えな さかせ古道(道志歩道)、と山伏峠から西丸・東丸、そして菰釣山の南尾根ともいえる大栂・椿丸辺りがまず浮かぶと思います。
そんな世附の山山に通っている丹沢初心者の私でも、実は菰釣山から浅瀬までは通しで歩いたことがなく、というか浅瀬自体を訪れた事がなかったりします。なので今回(03/09)は電車バス利用で世附のベーシックなコースを、ちょっと寄り道を交えつつ歩いてきました。

(西沢林道・改修と相成りました)
古傷のこともあって相模湖から道志へ乗り継ぐバスに乗るのも一年以上ぶり。月夜野までは真冬でも結構なハイカーがいた印象でしたけど今回は意外にさっぱり。花粉のせいなのか??トータルで10人もいなかったと思います。
そんな訳で下善の木まで乗っていたのは当然私一人。バスを降りたらさっそくサガセ西沢経由で菰釣山へ向かいましたが、一昨年の台風の影響で道が荒れていた西沢林道はなんと改修済み!おかげでゲートを過ぎて、登山道の入口までは足取りも軽快でした。

(菰釣山山頂・北側のブナが折れていた)
ハナはずるずるだけど(笑)天気も良いし、これは良い感じだーなんて思っていたのもつかの間。暖かい気候が続いたせいでしょう、菰釣山までの登山道は残雪が溶けて氷化しており、滑り止めを持参していない悪い子にキツーいお仕置き。結局登山口から菰釣山まで一時間以上もかかってしまいました。
ようやく着いた菰釣山もおおよそ一年ぶり。来ない間に山頂北側のブナの大木がボッキリ折れていたのは結構ショッキングな光景でした。ここまで来るのに時間がかかったので、一息ついただけでさっそく南の尾根に入って大栂へ向かいます。

(大栂への道すがら・Part1)

(大栂への道すがら・Part2)
薄くはなってきているものの、まだ葉の茂っているスズタケ帯に分け入ると、さっそくひっついてきましたよダニーくん(笑)。気温が高いからまぁ元気でしたけど、数は意外に少なく、折を見てチェックしてもダニがついていないことの方が多いぐらい。
大栂までの道のりはやはりブナが素敵です。大木も多いし。ただこちらもシキリ尾根と同様にまだ数は少ないながらも、ブナハバチによると思われる立ち枯れがありますね。偶然にも訪れる度にカメラに収めていたブナの大木も一本残念ながらやられていました。(そちらの写真はぐぐたすで・・・→ こちら)

(大栂より菰釣山を望む)

(南東尾根のY字の大木・ハリギリでしたー・汗)
大栂までは北斜面に僅かに雪が残っていましたが、人のトレースがないところを見ると、雪の多い時期はさすがに歩かれていない?ようですね。30分ほどで大栂に着いたらここで南ではなく、南東尾根の方へちょっと寄り道。
そんな南東尾根に寄り道したのは直下にある↑↑このY字の大木を確認するため。前にイタヤカエデと書きましたが、実はハリギリでした(笑)。いや、昨年の大晦日に檜洞丸からヤタ尾根を下ったときに途中でハリギリの大木を見かけ、その時にもしや・・・とハッと気がついて、それからこの木をどうしても確認したくなっていたのでした。<(_ _)>

(椿丸への道すがら)
でもトップの写真にもした南東尾根の上部はスズタケがすっかり消滅しちゃったけど、素敵なところですね。そんな一角で軽くランチをとったら南尾根との分岐点まで戻って、一路椿丸へ向かいます。
でもでもかなり久しぶりだったここから織戸峠までの間が個人的にはハイライト。植林もあるけど、残された自然林が素晴らしい。あとこの高度になると常緑樹の緑が目につくようになるのですが、それはモミと照葉樹であるアカガシだったんですね。

(左のモミ大木はは5m弱ありそう)

(アカガシの大木・この木はどう育ってきたのだろうか・・・)
5m弱のモミの大木は記憶にありましたけど、↑↑のアカガシは今回初めて気がつきました。どんな状況におかれるとこんな幹になるのか?いろいろ苦労されたのでしょうかね。不思議です。
個人的には常緑樹よりも新緑・紅葉の楽しめる落葉広葉樹の方が圧倒的に好みなんですけど、寒い時期でもその緑で和ませてくれる常緑樹も悪くないものだと、世附へ通うようになってそう思うようになりました。

(織戸峠)
そんな事を思いつつ下りきった鞍部が織戸峠。雪は全くなく、こちらもほぼ一年ぶりでしょうか。まだ先があるので一息ついてから椿丸へ向け、登り返しのはじまり。
織戸峠からは植林の割合も増えてきますけど、それでもこちらもの残された自然林が見事で、そんな木々を探りながら愛でながら歩いていきます。

(椿丸より大栂、菰釣山を望む)
そして尾根の左側が展望の良い伐採跡に変わると、椿丸はもう目前。お昼回ったぐらいなので誰かいるかと思ったら、こちらも人の気配はありません。ここは北面が皆伐されたおかげで展望が素晴らしいですね。今歩いてきた山・尾根を振り返ることもできるし、お隣の本権現(世附権現山)の立派さに見入るのもいいでしょう。
でもでもここら先は植林が続いて、あとは淡々と下るだけなのがちょっと惜しいけど、バスの事もあるので先を行きます。

(椿丸からはしばらく植林が続くが・・・)
椿丸から尾根が南へ左折する838m峰西隣のピークまでは私自身以前歩いたことのあるところで、そこから先がようやく未踏の領域。相変わらず植林は続きますけど、この辺りでも下り一辺倒じゃなくて、アップダウンが激しくまだまだ稜線歩きといった趣なんですね。
登り返しが急で、道中ずっとトラバースの誘惑に駆られていた795m峰西隣のピークにあがると、ここで植林から雑木林に変わってくれたのは意外でしたけどやっぱり嬉しいですね。明るくなるだけで山の印象が変わりますから。

(780m峰・梢越しに椿丸、大栂、菰釣山を望める)
その795m峰西隣ピークからはなぜか明瞭な径路も現れ、あとはそのまま浅瀬へのつもりも、いちおう780m峰には寄っておきました。この辺りも雑木の広がる素敵な所。なんだ、椿丸もこう歩いてみるとなかなか楽しいじゃないですか!
それにここからでもまだ菰釣山が望めて、あー今日はあそこからここまで歩いて来たんだなぁ、としみじみ思えるのもまたよし。休憩を終えたらあとは浅瀬へ駆け下るだけ

(浅瀬への下りも雑木林が続く)

(ミツマタの開花もはじまった)
と思っていたら途中で見かけたミツマタの開花が一部で始まっていて、花はまだ先だと思い込んでいたのでこれはラッキーでした。ミツマタはジンチョウゲ科だから香りもいいですし。
そんな思いがけないお花との出逢いに気をよくしたら、浅瀬へまでもうひと下り。降り立った林道はかなり改修が進んでいる印象ですけど、実際はどうなのでしょうかね。とにかく世附川の川の広さと明るさが印象的で、この辺りだけ見ていると二年半前の台風による豪雨被害がウソのようにも思えてきます。

(浅瀬はこんな感じなのか)
それでも道を東へ歩き出すと、やはりそこかしこに豪雨の爪痕が目につきます。かの湯山商店だって跡地のみ。もっと早くこの辺りも歩いておけば良かった、と後悔してもしょうがないことはわかっているんですけど。
そして浅瀬入口までの道中は今年初となるダンコウバイにハンノキ。そして開きかけなフサザクラなど、早春のお花とポカポカの陽気と相まった春のはじまりを感じさせる道のりでした。
・・・・・☆
◆ 2013.03.09 (Sat) 快晴
相模湖駅 06:30→ 三ヶ木 06:45/06:55→ 月夜野 07:35/07:50→ 下善の木 08:35- サガセ西沢ゲート 09:20- 菰釣山 10:30/10:35- 大栂 11:15-(途中休憩40分)- 織戸峠 12:45- 椿丸 13:10/13:15- 780m峰 14:05/14:15- 浅瀬橋 14:50- 浅瀬入口BS 15:40