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2012.01.24

バリエーションハイキング

Bp1110094
新ハイキング社刊  ISBN:9784915184383  ¥1,995

改めて思いかえしてみると松浦さんの本って4年ぶりだったんですね。正直そんなに経っていたとは思ってもいませんでした。(^^ゞ

ということでこちらでは説明不要でしょうけど、新ハイキング誌での記事でもお馴染みな松浦隆康さんの三冊目となる「一般登山道では得られない 山の楽しみ、心の安らぎ バリエーションハイキング 100コース・266ルート」が01/20にようやく発売されました。

おそらく訪れた事のある人なら一発でわかるであろう王岳南尾根の岩峰である吉澤巖(吉沢岩)からの表紙写真が象徴するように、今回は奥多摩・丹沢・中央線沿線など首都圏の西側の山域にほぼ集中しており、それ故に前の二冊よりもより深く掘り下げられている印象。個人的には例えば峰谷川左岸の径路などは全く頭になかったもので、読んでいてハッとさせられることも今回はかなり多かったです。(^^ゞ

そして4年空いたせいでしょうか今回驚いたのがそのボリューム。その分値段も少々上がっていますが、三冊目という事もあって松浦さんの本の一つの持ち味??でもあるガイドとしても読み物としても読めるという一種アンビバレントな完成度(結果としてそうなったのでしょうけど)もより上がっていて、ある程度経験を積んだハイカーの皆様には読んでいるだけでワクワクする本になっています。(^^)

・・・・・☆

近年は情報化が進んだ事もあって本当にバリエーションをするハイカーが増えて、バリエーションハイキングという言葉も完全に定着した感じですね。それはそれで本当に素晴らしいことですし、長年FYAMAで孤独な作業を続けてきた(笑)ボクにとっては感慨も一入なんですけど、先にも挙げた情報化やGPSなどの普及によって以前だったらバリエーションをできない技量レベル(心身共に)のハイカーがなんとなくできてしまう環境になってしまった昨今、それに伴って遭難事故が徐々に増えているような気がしています。

もちろん人口が増えればそれに伴って一定の割合で遭難・事故も増えるものなのでしょうけど、果たしてそれだけなのでしょうか・・・と。毎年毎年しつこいぐらいに記事上でも注意を喚起していた秩父の熊倉山では残念ながら昨年も起きてしまいましたし、それよりなにより昨年は丹沢方面でバリエーション絡みの遭難が続出した大変痛ましい一年でもありました。今後は絶対にこんな事があってはならないし、自分自身も例年にも増して心して山歩きをしていこうと思っております。

すべての土地には所有者や管理者がおられますので、私たちは歩かせていただくといった謙虚な気持ちを持ち続けることが大切です。(この本を読んで歩かれる方へ、より) 

この一文を読んで「何かが違うんだけど、その<何か>がアホな私には皆目見当がつかない」といった長年悩みまくっていた個人的な疑問が少しだけ解けたような気がしました。詳しくは言えませんけど(笑)例えれば同じ所を歩いてもほんとうに危なっかしく見える人と、そうでない人の差はどこにあるのか、とかね。う~む。。。
 

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2012.01.17

シキリ尾根とカワゴノ沢の間をブナを愛でつつ登り降り

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(菰釣山シキリ尾根上部のひとコマ)

さてさて・・・今週の週刊「世附の山歩き」は水ノ木界隈からこのシーズン初めてとなる菰釣山界隈で、シキリ尾根とカワゴノ沢(荷干沢・本水沢・フジモク沢790m圏二俣左俣)の間の枝尾根を登り降り、と言った所でしょうか。

ということで今回(01/14)は菰釣山からシキリ尾根を少し下ってカワゴノ沢1000m圏三俣中俣右岸尾根を下降。一旦カワゴノ沢に降りたら右岸の枝尾根(カワゴノ沢1000m圏三俣左俣右岸尾根)を登り返して再びシキリ尾根に上がり、次はカワゴノ沢910m圏二俣中間尾根下降。再びカワゴノ沢に降りたら、沢を少し下って城ヶ尾歩道を捉え、三たびシキリ尾根に上がり、シキリ沢右岸尾根~地蔵平を経て、大杉歩道経由で細倉橋に出るコースを歩いてきました。

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(菰釣山山頂より)

菰釣山もサガセ西沢の林道も昨年の5月以来だったんですけど、世附川流域に甚大な被害をもたらした一昨年の台風の影響が少なかった道志側も昨秋の台風ではかなり被害が出たようで、西沢林道は洗掘に路肩の欠損が相次いでかなり荒れていました。おそらく現状回復は年単位でかかるものと思われます。

とはいえ林道から登山道に入ると、さすがに沢沿いの道せいか同じように荒れている箇所もあったけど、こちらは通行にあまり支障はない感じ。確か予報では鉄板の晴れだったはずなのにもう曇ってきたのはさすがにこの時期の丹沢と言った所でしょうか。。。

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(シキリ尾根を下り始めます)

それでも菰釣山の山頂からは東から雲が迫ってきてはいたもののまだ富士が見えててラッキーでした。おそらくこの日最後となる展望を心ゆくまでと楽しんだら、シキリ尾根を下り始めます。

シキリ尾根も周囲のスズタケの枯死が進み、一部のブナはブナハバチの影響で枯れた木も見受けられますけど、それでも立派なブナの林立する様子はいつ訪れても見事です。なのでついつい周囲を寄り道してしまい・・・ハッと我に返って目的の尾根を下り始めるというマヌケぶり。。。

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(カワゴノ沢1000m圏三俣中俣右岸尾根のひとコマ)

その最初のカワゴノ沢1000m圏三俣中俣右岸尾根は下り出しこそシキリ尾根の延長のような雰囲気ですが、ひと下りすると密ではないもののスズタケが深くなって一気に歩きづらくなります。

それでもそんなスズタケ帯は長く続かず、周囲にアセビが混ざってくるとスズタケも薄くなって歩きやすくなりました。そして尾根右側の緩斜面に寄り道しながら下って行くと、尾根が徐々に急になってカワゴノ沢へ急降下。沢の流れが見えてくる頃、尾根が緩くなったなぁと思ったらすぐ先が末端の1000m圏三俣でした。

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(カワゴノ沢1000m圏三俣・右の折れた大木が気になる)

この三俣は地形図で見たとおりの小広い所で日差しが入れば良い休憩ポイントになるでしょう。カワゴノ沢の本谷はおそらく右なのですが、左の方が水流はあるし、ちょっとした滝もあるしでこちらの方が本谷の雰囲気。しかし東向きで日差しが入るせい?なのか??沢の凍り具合がいまふたつですね。

あと末端近くに生えていた↑↑大きくうろの開いた大木。パッと見で沢で大木になるシオジかサワグルミかと思ったのですが、周囲を見回してもそれらしい落ち葉は見あたらず、周囲に積もっている落ち葉を見る限りクマシデのようにも見えて、そおいや先週の要所小屋沢の枝沢で見かけたのも同じ木だったのかなぁ・・・と。これは一度葉のある時期に確認しなければいけませんね。

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(シキリ尾根へ登り返します・カワゴノ沢1000m圏三俣左俣右岸尾根)

そんな訳で思いの外長居してしまいましたが、歩き出しが遅かったのでもうひとがんばり。とりあえず次の目的の尾根を下るためにシキリ尾根を目指して三俣の一番右岸側の尾根に取り付きました。

この尾根は(カワゴノ沢1000m圏三俣左俣右岸尾根)は遠目で見た限りではスズタケが深そうに見えたものの、実際には岩がちのせいかスズタケがこれまた思いの外薄くてスイスイ登れます。

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(シキリ尾根に戻りました)

三俣から15分とかからずに左手から次の目的の尾根が合わさると、徐々に立派なブナを見るようになり、そして同時にスズタケも被ってきますが、もう知れてます。そこからひと登りでシキリ尾根に飛び出しました。

シキリ尾根と合流したところから少し上がった所がブナの美しい平坦池だったので今回はこちらでランチ。天気は良くないし寒かったけど、下の三俣でで休まないで我慢して良かったです。

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(今度はカワゴノ沢910m圏二俣中間尾根を下って・・・^^;;;)

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(カワゴノ沢に降りたらしばらくは沢沿いに下る)

ランチを終えたら、来た「道」ではなくて「尾根」を分岐まで戻ります。そしてその分岐から右へ分かれている尾根が次の目的の尾根である910m圏の二俣に降りる尾根。ということでそのまま右の尾根に入ると、下り出しは藪がほとんど無く、気持ちよさげな尾根右手の緩斜面を寄り道しながらしばらく下ると、さすがにスズタケが出てきますがこちらも被る程度。

そんな訳であっさりカワゴノ沢に着地したら、さて次はどうしましょう。一つ下流側の尾根(890m圏二俣中間尾根)も未踏なんだけど、ここで一気に歩いてしまうのも勿体ないので、この尾根はまたの機会にとっておくことにして、その未踏尾根の一つ下流側の尾根(870m圏二俣中間尾根)を通る城ヶ尾歩道を登ってシキリ尾根に戻ることにしました。

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(城ヶ尾歩道のひとコマ)

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(再びシキリ尾根に戻りました ^^;;;)

今回未踏尾根を歩かないで城ヶ尾歩道が横切る870m圏二俣まで下ったのは、昨秋の台風後の周囲の様子や城ヶ尾歩道自体の様子も気になっていたからに他ならないのですが、実際はさほど荒れている様子はなくて一安心。

なので至ってスムーズに歩けてカワゴノ沢から20分ほどで三たびシキリ尾根に戻ったら、今回は時間的に少し余裕があったので、そうなるともちろんシキリ沢右岸尾根の方を下るでしょう。(^^)

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(シキリ沢右岸尾根はブナも良いけどもモミも見事)

改めて降りて見るとこちらもモミにブナの木々が見事で、今回みたいにシキリ尾根・イデン沢界隈の枝尾根をマメに歩いてみても(もちろんどこも良い所ですけどネ)林相的にはシキリ尾根~シキリ沢右岸尾根のラインを超えるところはないなぁというのが正直な印象です。

今回は忍橋には寄らずにそのまま尾根伝いに末端の忍橋林道の分岐点に降り立ったら、あとは先が見えているのですが、朝のサガセ西沢の件があるので実はちょっと心配でした。

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(富士見林道にも路肩の欠損が・・・イデン沢出合附近)

でもその心配はやはり当たっていて、富士見林道もイデン沢の出合附近で昨年の5月にはなかった路肩の欠損が発生していて、もうこれで一年二年ではどうにもならないレベルになってしまったようですね。

のっけがそんな感じだったので、あとの二本杉峠越えである大杉歩道がより気がかりになってしまったのですが、こちらの方は若干危なっかしい箇所があったものの、まだなんとか行ける感じで本当にホッとしました。ここは安牌の道、というか大杉歩道はすでに世附の山への命脈となっているので必要以上に荒れるのは正直かなりしんどいのです。

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(この日の地蔵平)

☆最後にシカさんのお話
近年こちらでもニホンジカが徐々に増えていることはその都度「花のひかり」でも書いていたのですが、今シーズン世附(世附川流域の山山)に入って驚いたのがシカの多さ。一昨年の台風以降相当増えているようで姿もフンも本当によく見かけます。その様子はすでに往年の日原のシカ最盛期直前な12、3年前ぐらいのレベルまで増えている感じがしました。

日原の方はその後狩猟が解禁されて個体数は減りましたが、世附の方は今回の記事でも書いたとおり、昨年一昨年の台風の影響で林道等に甚大な被害が出ており、ずっと先のことになるであろう林道の改修/開通までは実質的な狩猟ができずに、おそらく限界までずっと増え続ける事になると思われます。これから世附の山がどう変わるのか、個人的には急激な変化があるような気がしてますけど、注視していきたいと思っています。
 
・・・・・☆
 
◆ 2012.01.14 (Sat)   晴 後 曇
相模湖駅 06:30→ 三ヶ木 06:45/06:55→ 月夜野 07:35/07:50→ 下善の木 08:30- サガセ西沢ゲート 09:15- 菰釣山 10:10/10:20- 中間尾根分岐 10:35/10:45- 1000m圏三俣 11:35/12:00- シキリ尾根に戻る 12:20/12:45- カワゴノ沢910m圏二俣 13:15- 城ヶ尾歩道横切る(870m圏二俣) 13:30- 1000m圏シキリ沢源頭ピーク 14:00- 忍橋林道起点 14:25- 地蔵平 14:45/15:00- 千鳥橋 15:25- 二本杉峠 16:00- 細川橋 16:35
 

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2012.01.12

送電線巡視路を辿ってバラシマ沢の辺りを登り降り

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(佐久間東幹線号300号鉄塔より要所小屋沢を繞る尾根群)

年末年始の先週はマヌケにも程があるミスでお休みしてしまった週刊「世附の山歩き」。今週はなぜか世附国有林の施業図(第3次国有林野施業実施計画図)にも載っている日蔭沢・バラシマ沢周辺に延びる送電線巡視路をメインに周辺の短い尾根を登り降り。

ということで今回は平野起点に日蔭沢右岸尾根上にある西群馬幹線262号鉄塔から北へ送電線巡視路を辿って日蔭沢~高指山東尾根(バラシマ沢右岸尾根)上の佐久間東幹線300号鉄塔~バラシマ林道~301号鉄塔
~甲相国境稜線に上がり、一旦南の富士岬平でランチをとってから今度は北の要所小屋沢 バラシマ沢中間尾根を下降。要所小屋沢出合直近のバラジマ橋に出たら、そこから直接300号鉄塔へ登り返しつつ戻って、あとは東尾根を高指山~平野と、結果としてかなりややこしくなってしまったコースで歩いてきました。

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(西群馬幹線262号鉄塔より日蔭沢へ下る辺り)

簡単に説明しておきますと、この近辺の甲相国境稜線のすぐ東側にはつごう三本の送電線が通っていて、まずは国境稜線の間近に沿って高指山の北で国境稜線外れる送電線と、その東を通っている佐久間東幹線という送電線。今回はこの佐久間東幹線の巡視路を辿るのが目的で、この二つの送電線は地形図に記載されているのですが、実はその記載されている二本の送電線の間にもう一本西群馬幹線という送電線が通っている、と言った所でしょうか。

連休最終日は暖かかったですね。おかげで平野も初冬のような感じでバスを降りたらすぐに歩き出し、先ずは日蔭沢右岸尾根上の西群馬幹線262号鉄塔を目指します。

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(日蔭沢に降り立ちました)

国境稜線から日蔭沢右岸尾根をしばらく下ると左に日蔭沢へ下る明瞭な道が分かれるのですが、実はコレがもう目的の佐久間東幹線の巡視路。とはいえそのまま下るのもなんなので(笑)とりあえず近くにあるかなり立派な西群馬幹線の262号鉄塔まで行って(佐久間東幹線の299号鉄塔は尾根をもっと下らなければいけないので割愛)周囲の景色を眺めつつ一息ついてから、分岐まで戻って巡視路を下り始めました。

道は巡視路なので施業図に表向き記載されるも実際は廃道状態~なんてことはもちろんなく、日蔭沢860m圏二俣中間尾根上の素敵な自然林の中を整備された綺麗な道が延びていて、15分ほどでその名の通り日陰の谷底といった風情の日蔭沢に降り立ちます。

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(300号鉄塔より262号鉄塔を振り返る・奥に鉄砲木ノ頭)

対岸に渡って登り返すと今度は870m圏二俣中間尾根上に道は付けられており、こちらはモミやブナが目につく感じ。そして高指山東尾根の直下まで来た所で尾根を外れて東へトラバースし、東尾根上に上がったところが佐久間東幹線の300号鉄塔でした。

佐久間東幹線の送電塔は西群馬幹線のそれに比べるとかなり貧弱ですが、その代わり?にここは360°展望の利く送電塔で、要所小屋沢(バラシマ沢840m圏二俣右俣)を繞る尾根群を眺めつつパンを食べて休憩。次は北のカヤトの中切り開かれている巡視路を下ってバラジマ林道へ向かいます。

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(モミの道・バラシマ沢を渡って301号鉄塔へ向かいます)

10分ほどでバラシマ林道に下り、荒れた林道を少し上がると右に山道が分かれる分岐があって、これが巡視路の続きと先月歩いたバラジマ歩道(道形は不明瞭)の起点。ここで再び巡視路に入るとすぐに橋でバラシマ沢(茨島沢)を渡って、植林の中右手へ緩くトラバースしていきます。

バラシマ沢枝沢のちょっとした滝を見下ろしつつその枝沢を渡って、要所小屋沢とバラシマ沢の中間尾根を乗越す辺りは3m超の大木もかなり目につく見事なモミの林。思わず道を外れて周囲を散策してしまいました。

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(要所小屋沢の枝沢で見かけたケヤキとサワグルミ?の大木)

そして中間尾根を乗越すと道は要所小屋沢の枝沢である870m圏二俣左俣へ一旦降りるのですが、ここは炭焼の跡がある小広い所で、ランドマークである↑↑二本の大木もさることながら、ここより上流が伏流になっているせいなのか?沢の両岸斜面の方々から水が湧きだしている様子が印象的で、もっと日差しの入る所だったらここは確実にランチ場になったでしょう。

道はここから沢の右岸側に沿って延びており、しばらく行くと沢から離れて左岸斜面に取り付き、尾根(要所小屋沢870m圏二俣中間尾根)上に上がるとちょうど301号鉄塔でした。

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(301号からは要所小屋沢870m圏二俣中間尾根に沿うようになる)

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(これは・・・幹周り5mを優に越える大ミズナラ)

301号鉄塔から道は基本的に870m圏二俣中間尾根上を行くようになり、下部のモミ混じりの林から徐々に黒木が減り、ブナやミズナラが目立ち始めるとそろそろ国境稜線も間近です。

そしてもう少しで稜線か?といった所で周囲に威容を放つ一本の木が目に入り、これは・・・と思って近づいてみると丹沢では珍しい(とはいえ国境稜線周辺ではそこそこ見かけるのですが・・・)ミズナラの大木でした。稜線に近いせいか樹高こそ低めながら二手に分かれた枝も3m級という存在感もひときわで、この木に出逢えた事がこの日最大の収穫でした。(^^)

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(富士岬平より)

そして1182m峰西隣のピーク付近で国境稜線に飛び出し、当然巡視路はまだまだ続くものの施業図に載っている巡視路はここまで。頃合いも良いので、この周辺でのランチ場は・・・といえばもう富士岬平(高指山北隣の1170m圏峰)しかないでしょう。

さすがに連休の好天となると国境稜線ではハイカーもぼちぼち見かけますね。というかいつもここを歩くのは朝か日が傾いてきている時分なので誰もいないと感じるのでしょう。着いた富士岬平には先客さんもいましたけど、目の前には富士が聳えているし、ポカポカだし、気持ち良いことこの上ないです。

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(ブナの緩斜面・要所小屋沢 バラジマ沢中間尾根上部)

とはいえ気持ち良いからと云ってこのまま平野へ降りるのはあんまりなので、もう一遊び。バラシマ峠といえばエアリアでも現地の道標でも高指山と富士岬平の間の鞍部を指しているのですが、それが名称図(西丹沢頂稜河川土地名称図)によると茨島(バラジマ)峠は富士岬平の北の稜線が東から北へクランクしている1170m圏のピークになっていて、そこから南東へ延びる要所小屋沢とバラシマ沢の中間尾根上には径路も記載されていたりします。

それならこの尾根を歩いてみるか!ということで来た道を名称図で茨島峠とされているピーク(アブラチャン純林の看板あり)まで戻ってから中間尾根の下降を始めたのですが、のっけから↑↑ブナの林立する緩斜面に出くわして、ここは素通りできないでしょうとばかりに周囲を散策していると、この緩斜面の下部で茨島峠の手前から分かれていた西群馬幹線の巡視路と合流。

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(260号送電塔を過ぎるとスズタケが出てくる)

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(バラジマ橋より要所小屋沢出合と中間尾根)

道は中間尾根に戻るとしばらくは整備された道が続いて、じきに立派な西群馬幹線260号鉄塔(トップの写真の左上辺りに立っている送電塔)に出ますが、そこからひと下りで巡視路は尾根を外れてしまうので、しょうがなしスズタケの茂る尾根上を行きます。

それでも藪はさほどでないし、それよりなによりじきに現れたモミの林がまた素晴らしくて、またまた周囲を散策。そうこうしているうちに朝方歩いたバラシマ林道から301号鉄塔へ上がる巡視路を突っ切ると徐々にスズタケが茂って歩きづらくなりますが、すでに真下にはバラジマ沢や要所小屋沢の沢音が聞こえて、先は長くありません。

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(大栂~東丸の間に檜洞丸・300号鉄塔より)

そんな藪をくぐり抜けて要所小屋沢の出合である尾根末端に飛び出したら、もう目の前にバラジマ橋が見えていて、飛び石で沢を渡って倒木を乗り越えつつバラジマ橋の橋上に上がったところでようやくホコリを払ってダニチェック。

寒いせいなのか場所的なせいなのかはよくわかりませんが、珍しく一匹もついていなかったのはビックリ。ここまで来たらあとは300号鉄塔に戻って高指山が穏当な線かなぁ、ということで林道の適当な所から尾根に取り付いて300号鉄塔へ登り返しました。

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(立派なブナが多い・高指山東尾根のひとコマ)

再び戻った300号鉄塔で朝よりクッキリした展望を楽しんだら、ブナが美しい高指山東尾根をのんびり歩いて帰路についたのでした。

今回の巡視路歩き、当初はこの周辺の状況がわかればいいかな~ぐらいに思っていたのですが、実際には林相はよろしく、尾根・沢とめまぐるしく変わる道のりもなかなか楽しい、短いながらも収穫多い一日でした。世附に興味はあるけどスズタケもダニもいや~な向きにも、そうでない向きにも、ある程度の地形判断さえできればこの巡視路歩きはちょっとお勧めできますね。
 
・・・・・☆
 
◆ 2012.01.09 (Mon)   (快晴に近い)晴
富士山駅 07:15→ 平野 08:10- 西群馬幹線262号鉄塔 08:55/09:00- 日蔭沢 09:15- 佐久間東幹線300号鉄塔 09:40/09:50- バラシマ沢にかかる橋 10:00- 301号鉄塔 10:45- 富士岬平 11:25/12:05- 260号鉄塔 12:25- バラジマ橋(要所小屋沢出合)12:50/12:55- 300号鉄塔 13:15/13:25- 高指山 14:00/14:20- 平野 14:55
 

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2012.01.04

竜喰山~飛竜山~雲取山・初詣を兼ねて

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(大常木山への道すがら)
 
 
あけましておめでとうございます。
今年もみなさん無事に山歩きができることを心より祈っております。
 
 
・・・・・☆
 
さて、昨年末の歩き納めは世附のつもりで早朝電車に乗ったら、上野原辺りでスパッツを忘れたことに気がついて、悩みまくった末に結局帰宅(笑)。となんとも間抜けな〆になってしまったので、今年の初歩き(01/02)はちょっと気合いを入れて奥秩父方面の稜線へ行ってきました。

ということで今回は干支の山と初詣を兼ねて三ノ瀬から稜線通しに龍喰山~大常木山~大ダルまで辿ったら、飛龍権現で初詣をして飛龍山へ上がり、飛龍からは縦走路を東へ雲取山まで。あとは鴨沢みちを下るコースを歩いてきました。

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(七ツ石尾根下部)

さすがに元旦は飲み食いが激しく、キチンと起きられるかどうかもわからない翌日のタクシーの予約は怖くてできなかったので、当日ダメもとで一番電車で塩山に出たら、運良く一台だけいて一安心。一路三ノ瀬へ向かいました。(¥9800)

無事にタクシーに乗れたので7時過ぎには歩き出し。お正月のせいか笑っちゃうぐらいに誰もいません。とりあえず林道歩きは嫌なので七ツ石尾根経由で将監峠へ向かいましたが、雪は尾根上部や稜線の縦走路で10cm以下とほとんど無雪期と変わらないペースで歩けます。

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(1883m峰を過ぎた辺り・バックは竜喰山)

途中のカラマツ植林帯ではシカに幹の皮を喰われた痕があったことに驚愕(周囲のウラジロモミ、シラベの全てに樹脂のカバーが捲かれていた為だと思う)しつつ、ちょこっとだけ姿を見せてくれた富士を眺めていたりするうちに将監峠に到着。峠でお茶を飲んだら、ここで縦走路と離れて尾根伝いに龍喰山を目指します。

のっけから急登続きで面食らいますけど、笹はスズタケではなく背の低い笹なので至って歩きやすいです。直上の1883m峰はちょっとした岩コブになっていて、将監峠を見下ろすと雪のお陰で峠へ下る複数の道筋がクッキリ現れているのが面白いですね。

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(竜喰山山頂)

1883m峰からは笹の稜線を緩く行き、黒木の森に入ってひと登りで龍喰山でした。何もない山頂とは聞いていましたが、それに似合わない大きな山名標が鎮座していて妙な雰囲気。あっ、あと関係ないけど龍喰は二等点なんですね!この辺りで曇ってきたこともあってかなり寒くて。。。

そんな中で休んでいるすぐに身体も冷えてきたので慌てて先を行くと、北風も吹き出して、風に吹かれながら黒木の中をただひたすらに歩く感じ。でもしばらくすると晴れてきて、そうなると風があっても暖かいですね。ホッとします。

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(シャクナゲも丸まって少し見通しがよい)

1999m峰辺りからアズマシャクナゲがようやく出てきたのは意外で、そもそもこの辺りでは普通に見られるはずなのに、その姿を見るまで忘れかけていました。(^^ゞ

そしてタエモ尾根のピークを過ぎるとここで岩尾根に変わって、最初の大岩は立木との二点確保で取り付きましたけど、ここはおそらく捲き道があるのでしょう。茂るシャクナゲを分けつついくつかの岩コブを越えると、北面南面が開けた少し広めのピークに出ましたが、そこがおそらく大常木山(1962m)だと思います。

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(大常木山より・左 竜喰、仙波尾根の奥に和名倉山)

南面の山山は見慣れているので、個人的にはどうしても北面の方に目が行ってしまいます。目の前の仙波尾根に和名倉山。そして大洞の流れの奥に秩父盆地もくっきり見えて、奥秩父とは良く言ったものです。そおいや大洞の辺りもかなりご無沙汰しているんですよね。

強風に吹き付けられつつもそんな展望を楽しみながらパンを食べたら、目の前に大きく立ちはだかる飛龍山を目指す前に、まずは大ダルへちょっとイヤになるぐらい下ります。

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(大ダルへの下りしな・バックは飛竜山)

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(禿岩は風雪 ^^;;;)

大ダルに降り立つ頃には再び曇りだして、飛龍へ登り返し始めると今度は風花?と思ったら、登るにつれて風も雪も強くなって、いつしか風雪の中を淡々と登るようになっていました。

そんな訳でランチ場と目論んでいた禿岩も↑↑こんな感じでお話にならないので、とりあえずミサカ尾根との分岐でもある飛龍権現へ向かってさっそく参拝。でもここでも寒かったのでしょうがなし飛龍山の山頂へ。

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(飛龍権現)

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(飛竜山山頂)

着いた飛龍の山頂はなぜか風が止んでいたのでここでランチにすればよかったんですけど、やっぱり明るい所が良いやと言う事で先を行ったのは今回に関して言えば不正解のようでした。

飛龍からは縦走路を歩いたこともあって、折角晴れても狭い捲道ではゆっくりするスペースがなく、それらしい所も今度は冷たい風が通って×。結局日当たりを選んで、狭い道上でランチとなってしまいました。まぁ人は来なかったので問題なかったんですけど。

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(縦走路より雲取、石尾根の山山)

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(狼平の辺り)

ランチを終えて先を行くと、まもなく朝以来となるカラマツ林に変わって狼平に出ます。この日はこの辺りが天気の良さと相まって一番気持ちの良い所で、相変わらず冷たい風が吹き付けるおかげで空気が澄んで、周囲は日差しを浴びて輝いているし、時折雪も吹き付けるし(笑)とまぁ荒れた天気ながらもなんとも爽快な道のり。

三条ダルミからの登り返しもそんな感じの中を淡々と登って、雪が止んできたらじきに雲取山避難小屋前の広場でした。

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(雲取山の避難小屋より)

よくよく考えてみると雲取って去年来てないんですよね(笑)。近年雪はマトモに降らないし、山ブームに日原林道の通行止もあって足が遠のいていたのでしょうか。昔は初歩きに雪の雲取山なんてのもやってましたけど、初歩きで雲取なんておそらく10年振りぐらいじゃないかなぁ。。。

それはともかく先ずは山頂へ向かい、それから寒いので避難小屋へ逃げ込んでパンを食べつつちょっと休憩。腰を上げるともう15時を回っています(笑)。

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(暮れなずむ鴨沢みち)

コレは確実に日没ペースなんですけど、実は今回は久しぶりにこういうことも前提にキッチリ準備していたのでした。さっそく下り始めるともともと爽快な石尾根ですから、人が少なくて本当に気持ち良いや。周囲の暮れなずむ様子も風情があって悪くないですね。本当は悪い子なんですけど(笑)。

結局堂所あたりまではなんとか保って、そこから下はヘッデン・ハンドライトのお世話になりつつ鴨沢へ向かったのでした。
 
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◆ 2012.01.02 (Mon)   晴 時々 曇 一時 雪
三ノ瀬 07:20- 午王院下 07:50- 午王院平 08:45- 将監峠 08:50/08:55- 竜喰山 09:35- 大常木山 10:40/10:45- 大ダル 11:15- 禿岩 11:50/12:00- 飛竜山 12:20- 北天ノタル 12:45-(途中休憩30分)- 三条ダルミ 14:30- 雲取山 14:55/15:10- ブナ坂 15:55- 堂所 16:20/16:25- 鴨沢 17:45
 

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