
(佐久間東幹線号300号鉄塔より要所小屋沢を繞る尾根群)
年末年始の先週はマヌケにも程があるミスでお休みしてしまった週刊「世附の山歩き」。今週はなぜか世附国有林の施業図(第3次国有林野施業実施計画図)にも載っている日蔭沢・バラシマ沢周辺に延びる送電線巡視路をメインに周辺の短い尾根を登り降り。
ということで今回は平野起点に日蔭沢右岸尾根上にある西群馬幹線262号鉄塔から北へ送電線巡視路を辿って日蔭沢~高指山東尾根(バラシマ沢右岸尾根)上の佐久間東幹線300号鉄塔~バラシマ林道~301号鉄塔
~甲相国境稜線に上がり、一旦南の富士岬平でランチをとってから今度は北の要所小屋沢 バラシマ沢中間尾根を下降。要所小屋沢出合直近のバラジマ橋に出たら、そこから直接300号鉄塔へ登り返しつつ戻って、あとは東尾根を高指山~平野と、結果としてかなりややこしくなってしまったコースで歩いてきました。

(西群馬幹線262号鉄塔より日蔭沢へ下る辺り)
簡単に説明しておきますと、この近辺の甲相国境稜線のすぐ東側にはつごう三本の送電線が通っていて、まずは国境稜線の間近に沿って高指山の北で国境稜線外れる送電線と、その東を通っている佐久間東幹線という送電線。今回はこの佐久間東幹線の巡視路を辿るのが目的で、この二つの送電線は地形図に記載されているのですが、実はその記載されている二本の送電線の間にもう一本西群馬幹線という送電線が通っている、と言った所でしょうか。
連休最終日は暖かかったですね。おかげで平野も初冬のような感じでバスを降りたらすぐに歩き出し、先ずは日蔭沢右岸尾根上の西群馬幹線262号鉄塔を目指します。

(日蔭沢に降り立ちました)
国境稜線から日蔭沢右岸尾根をしばらく下ると左に日蔭沢へ下る明瞭な道が分かれるのですが、実はコレがもう目的の佐久間東幹線の巡視路。とはいえそのまま下るのもなんなので(笑)とりあえず近くにあるかなり立派な西群馬幹線の262号鉄塔まで行って(佐久間東幹線の299号鉄塔は尾根をもっと下らなければいけないので割愛)周囲の景色を眺めつつ一息ついてから、分岐まで戻って巡視路を下り始めました。
道は巡視路なので施業図に表向き記載されるも実際は廃道状態~なんてことはもちろんなく、日蔭沢860m圏二俣中間尾根上の素敵な自然林の中を整備された綺麗な道が延びていて、15分ほどでその名の通り日陰の谷底といった風情の日蔭沢に降り立ちます。

(300号鉄塔より262号鉄塔を振り返る・奥に鉄砲木ノ頭)
対岸に渡って登り返すと今度は870m圏二俣中間尾根上に道は付けられており、こちらはモミやブナが目につく感じ。そして高指山東尾根の直下まで来た所で尾根を外れて東へトラバースし、東尾根上に上がったところが佐久間東幹線の300号鉄塔でした。
佐久間東幹線の送電塔は西群馬幹線のそれに比べるとかなり貧弱ですが、その代わり?にここは360°展望の利く送電塔で、要所小屋沢(バラシマ沢840m圏二俣右俣)を繞る尾根群を眺めつつパンを食べて休憩。次は北のカヤトの中切り開かれている巡視路を下ってバラジマ林道へ向かいます。

(モミの道・バラシマ沢を渡って301号鉄塔へ向かいます)
10分ほどでバラシマ林道に下り、荒れた林道を少し上がると右に山道が分かれる分岐があって、これが巡視路の続きと先月歩いたバラジマ歩道(道形は不明瞭)の起点。ここで再び巡視路に入るとすぐに橋でバラシマ沢(茨島沢)を渡って、植林の中右手へ緩くトラバースしていきます。
バラシマ沢枝沢のちょっとした滝を見下ろしつつその枝沢を渡って、要所小屋沢とバラシマ沢の中間尾根を乗越す辺りは3m超の大木もかなり目につく見事なモミの林。思わず道を外れて周囲を散策してしまいました。

(要所小屋沢の枝沢で見かけたケヤキとサワグルミ?の大木)
そして中間尾根を乗越すと道は要所小屋沢の枝沢である870m圏二俣左俣へ一旦降りるのですが、ここは炭焼の跡がある小広い所で、ランドマークである↑↑二本の大木もさることながら、ここより上流が伏流になっているせいなのか?沢の両岸斜面の方々から水が湧きだしている様子が印象的で、もっと日差しの入る所だったらここは確実にランチ場になったでしょう。
道はここから沢の右岸側に沿って延びており、しばらく行くと沢から離れて左岸斜面に取り付き、尾根(要所小屋沢870m圏二俣中間尾根)上に上がるとちょうど301号鉄塔でした。

(301号からは要所小屋沢870m圏二俣中間尾根に沿うようになる)

(これは・・・幹周り5mを優に越える大ミズナラ)
301号鉄塔から道は基本的に870m圏二俣中間尾根上を行くようになり、下部のモミ混じりの林から徐々に黒木が減り、ブナやミズナラが目立ち始めるとそろそろ国境稜線も間近です。
そしてもう少しで稜線か?といった所で周囲に威容を放つ一本の木が目に入り、これは・・・と思って近づいてみると丹沢では珍しい(とはいえ国境稜線周辺ではそこそこ見かけるのですが・・・)ミズナラの大木でした。稜線に近いせいか樹高こそ低めながら二手に分かれた枝も3m級という存在感もひときわで、この木に出逢えた事がこの日最大の収穫でした。(^^)

(富士岬平より)
そして1182m峰西隣のピーク付近で国境稜線に飛び出し、当然巡視路はまだまだ続くものの施業図に載っている巡視路はここまで。頃合いも良いので、この周辺でのランチ場は・・・といえばもう富士岬平(高指山北隣の1170m圏峰)しかないでしょう。
さすがに連休の好天となると国境稜線ではハイカーもぼちぼち見かけますね。というかいつもここを歩くのは朝か日が傾いてきている時分なので誰もいないと感じるのでしょう。着いた富士岬平には先客さんもいましたけど、目の前には富士が聳えているし、ポカポカだし、気持ち良いことこの上ないです。

(ブナの緩斜面・要所小屋沢 バラジマ沢中間尾根上部)
とはいえ気持ち良いからと云ってこのまま平野へ降りるのはあんまりなので、もう一遊び。バラシマ峠といえばエアリアでも現地の道標でも高指山と富士岬平の間の鞍部を指しているのですが、それが名称図(西丹沢頂稜河川土地名称図)によると茨島(バラジマ)峠は富士岬平の北の稜線が東から北へクランクしている1170m圏のピークになっていて、そこから南東へ延びる要所小屋沢とバラシマ沢の中間尾根上には径路も記載されていたりします。
それならこの尾根を歩いてみるか!ということで来た道を名称図で茨島峠とされているピーク(アブラチャン純林の看板あり)まで戻ってから中間尾根の下降を始めたのですが、のっけから↑↑ブナの林立する緩斜面に出くわして、ここは素通りできないでしょうとばかりに周囲を散策していると、この緩斜面の下部で茨島峠の手前から分かれていた西群馬幹線の巡視路と合流。

(260号送電塔を過ぎるとスズタケが出てくる)

(バラジマ橋より要所小屋沢出合と中間尾根)
道は中間尾根に戻るとしばらくは整備された道が続いて、じきに立派な西群馬幹線260号鉄塔(トップの写真の左上辺りに立っている送電塔)に出ますが、そこからひと下りで巡視路は尾根を外れてしまうので、しょうがなしスズタケの茂る尾根上を行きます。
それでも藪はさほどでないし、それよりなによりじきに現れたモミの林がまた素晴らしくて、またまた周囲を散策。そうこうしているうちに朝方歩いたバラシマ林道から301号鉄塔へ上がる巡視路を突っ切ると徐々にスズタケが茂って歩きづらくなりますが、すでに真下にはバラジマ沢や要所小屋沢の沢音が聞こえて、先は長くありません。

(大栂~東丸の間に檜洞丸・300号鉄塔より)
そんな藪をくぐり抜けて要所小屋沢の出合である尾根末端に飛び出したら、もう目の前にバラジマ橋が見えていて、飛び石で沢を渡って倒木を乗り越えつつバラジマ橋の橋上に上がったところでようやくホコリを払ってダニチェック。
寒いせいなのか場所的なせいなのかはよくわかりませんが、珍しく一匹もついていなかったのはビックリ。ここまで来たらあとは300号鉄塔に戻って高指山が穏当な線かなぁ、ということで林道の適当な所から尾根に取り付いて300号鉄塔へ登り返しました。

(立派なブナが多い・高指山東尾根のひとコマ)
再び戻った300号鉄塔で朝よりクッキリした展望を楽しんだら、ブナが美しい高指山東尾根をのんびり歩いて帰路についたのでした。
今回の巡視路歩き、当初はこの周辺の状況がわかればいいかな~ぐらいに思っていたのですが、実際には林相はよろしく、尾根・沢とめまぐるしく変わる道のりもなかなか楽しい、短いながらも収穫多い一日でした。世附に興味はあるけどスズタケもダニもいや~な向きにも、そうでない向きにも、ある程度の地形判断さえできればこの巡視路歩きはちょっとお勧めできますね。
・・・・・☆
◆ 2012.01.09 (Mon) (快晴に近い)晴
富士山駅 07:15→ 平野 08:10- 西群馬幹線262号鉄塔 08:55/09:00- 日蔭沢 09:15- 佐久間東幹線300号鉄塔 09:40/09:50- バラシマ沢にかかる橋 10:00- 301号鉄塔 10:45- 富士岬平 11:25/12:05- 260号鉄塔 12:25- バラジマ橋(要所小屋沢出合)12:50/12:55- 300号鉄塔 13:15/13:25- 高指山 14:00/14:20- 平野 14:55