蛾ヶ岳から折門の廃村を再々訪する
(上折門の一角・実は右の離れのお風呂が凄い)
芦川南稜の末端部や旧下部町の折八の方の山は気がつけばほぼ三年も歩いてなかったんですね。(^^ゞ そんな訳で連休の初日(12/23)は四尾連湖から蛾ヶ岳(ひるがたけ)、大平山、地蔵峠まで縦走したら南の1031m北鞍部たる山神峠に降り、上折門、下折門の探訪をして三沢川の本谷たる風岩沢?の径路を辿って、それからそのまま沢沿いの径路を辿るのではなく左岸の尾根の中河原分岐に登り返して中河原に下るコースを組んで歩いてきました。
この日の朝は快晴で久しぶりの甲府盆地は富士に南アとなんとも最高の展望。でも極めつけは身延線のオールロングシートの新型車両からの車窓で、偶然にも進行方向左側に座ったら、まぁまぁただ乗っているだけで南アや八ヶ岳などの大パノラマが楽しめるという寸法。これは窓が大きくとられている事が大きいんでしょうけど、普段は毛嫌いしまくっているロングシートもたまには悪くないなと思ってしまったのは中途半端ながらも「呑み鉄」を自任するボクにとってはちょっとだけ屈辱です(笑)。
(四尾連湖と白根三山、鳳凰甲斐駒・蛾ヶ岳より)
今回は初めて市川大門からタクシーで四尾連湖に出て(¥3680)からのスタート。さすがに晴れた早朝とあってかなり寒い中初めて来た四尾連湖を散策してから歩き出します。歩き出しは短いながらもつづら折れが続いて少し暖かくなったものの、稜線に出たら吹き付ける風が本当に冷たくて慌ててウインドシェルを羽織りましたが、やっぱり寒いです。日陰なのに尾根を捲いている方が風がない分まだ暖かいぐらい。
今回は蛾ヶ岳へ直登しないで西肩峠の方に回ってこれまた久しぶりに六地蔵に挨拶してから山頂へ向かうと、いやぁ山頂からは南アに甲府盆地の奥の八ツに奥秩父にと素晴らしい展望が広がっていましたが、とにかく寒い寒い。そのせいか反対側の富士はすでにガスって姿が見えないし、東や南の方から暗い雲が来ているのがちょっと気がかりです。
(大平山への道すがら)
そんな寒いのに結構長居してしまいましたが、後からパーティがやってきたところでおいとまして稜線を西へ。いつ歩いても雑木の稜線は気持ちがよいですね。とにかく下部側の山肌を眺めても植林が本当に少ない。人里にも近いはずだしこの位の標高帯でこれだけ植林が少ないのは特筆に値すると思います。
蛾ヶ岳の山頂から見えた雲は徐々に近づいてきて、大平山に着く頃にはこちらもほぼ曇り。それでも時々晴れ間が覗いてくれたのは暖かくてラッキーでした。
(地藏峠<栂ノ峠>の大ツガと六地蔵)
(地藏峠付近の雑木の緩斜面)
当初は大平山から直接尾根伝いに1031m峰北鞍部たる山神峠へ降りるつもりだったんですけど、時間に余裕もあるので西へ下った地藏峠にも寄ってみました。久しぶりに峠の大ツガや六地蔵にも再会をしたら、稜線北側の二重山稜を散策。
北へ明瞭に下っている向村への道を気にしつつ東へ戻るように緩く登る辺りがこの日のハイライトでしょうか。この↑↑広~い撓みの中を落ち葉を踏みつつゆるゆる歩くのは気持ち良いというかただただ「たまらない」の一言。
(折門への下りしなより蛾ヶ岳を振り返る)
再び稜線上に戻ったら、今度は南へ捲く登山道に入って折門峠に上がり、改めて山神峠へ。
ろくすっぽ歩かれてないはずなのに相変わらず明瞭な道形が残っている道をゆるゆる下りつつ、道中頃合いも良いので適当な場所を選んでランチ。それから山神峠へ降り立ちました。
(山神峠<1030m峰北鞍部>の皇太神社)
さてさて、ここも三年ぶりとなる山神峠のこの神社。三年間の間に山梨日日新聞で折八の特集記事が組まれたこともあってこの神社が皇太(こうたい)神社である事がわかりました。おそらく本殿は↑↑写真の手前の建物がそうだと思われますがすでに中は空っぽのようです。
ここまで来たら東の御弟子へも寄りたくなってしまいますが、今回の所は日も短い時期でので割愛。西の上折門へ向かいます。
(上折門の六地蔵)
さて上折門のことも山梨日日の記事でいろいろ疑問が氷解したのですが、一番の疑問だったのが道路も通らない標高の高い山奥なのに残っている建物がどれも立派だったこと。特にトップの写真の家は家屋もさることながら、山中に不似合いな立派な土蔵に綺麗なタイル張りの離れのお風呂、と当時ムラ一番のおでえじん(お大尽)の家だったそう。
それは戦後食糧難の時代にこんにゃくいもの栽培で村が相当繁栄した名残のようなのです。
(もちろん下折門にも寄りました)
(三沢川 風岩沢??を渡る橋は・・・)
そうすると下折門で残された↑↑立派な家屋にも合点がいくし、そこからなおも地形図の破線路を追って下っても道中ぼちぼち見かける立派な石垣が組まれた畑跡も合点がいったのでした。
そんな畑跡も日本山岳案内によると「風岩沢」とされている三沢川の本谷に架かる橋を渡ると途切れるようになって、あとはひたすらに下って行くだけ。
(風岩沢から中河原へ向かうと竹藪のジャングルもあった)
三年前はそのまま風岩沢沿いの径路を下って大磯小磯に出たので、今回は道が再び左岸に戻ってじきに出る分岐から右の大平山の南尾根の延長上にある中河原分岐へ出るトラバース道を歩いてみました。
ここで沢沿いの道から離れてトラバース道に入ると当初こそは歩きやすかったものの、途中竹藪のジャングルを潜らされたりとさすがに一筋縄ではいきませんでしたが、それでも道形は基本的に明瞭で慎重に辿れば問題ないレベルでした。
(中河原分岐の双体道祖神と馬頭観音)
(こちらは今まで気がつかなかった)
分岐から15分ほどで中河原分岐に登り着けば、あとは足下に見下ろす中河原へ下るだけ。そうそうこの分岐には双体道祖神と馬頭さまだけでなく少し西側に埋もれかけた山ノ神もいらっしゃったのですね。
そんな神さま達に道中の無事のお礼したら中河原へ向かったのでしたが、ここでも新たな発見があったりと短いながらも楽しい道のり。
(ようやく中河原に降り立ちました)
まもなく中河原に降り立ったら後はタクシーを呼んで帰るだけだったんですけど、ここで偶然通りがかった地元の方に昔の折門の様子や麓の人間が折門へ稼ぎに行った話、かつてあった空中ケーブルの事等々興味深いお話を聞けたのが実は今回一番の収穫だったかも。
その上タクシーを呼ぶのに下部ではなく岩間から呼ぶこととか、タクシー会社に電話してみたもののこちらのいる「中河原」が全く通じなくて場所の指定の仕方を教えてもらったり(一発で運ちゃん了解)といろいろお世話になりました。<(_ _)><(_ _)> おかげでこの日の山行きがいっそう深いものになったと思います。
・・・・・☆
◆ 2011.12.23 (Fri) 晴 時々 曇
四尾連湖 08:00→ 大畠山分岐 08:30- 西肩峠 09:10- 蛾ヶ岳 09:25/09:45- 大平山 10:40/10:55- 地藏峠 11:05/11:15- 折門峠 11:40-(途中60分休憩)- 山神峠(1031m峰北鞍部)13:15/13:20- 上折門 13:35/14:05- 下折門 14:15/14:35- 風岩沢?に架かる橋 15:05- 中河原分岐への分岐 15:35- 中河原分岐 15:50/15:55- 中河原 16:15
タクシー(市川大門駅~四尾連湖)¥3680
タクシー(中河原~甲斐岩間駅・迎車)¥4130
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