金山歩道の探訪・奥世附歩道の西半分の下見も兼ねて
(金山沢860m圏二俣中間尾根上部のひとコマ)
今年の秋は台風に高温続きで紅葉ははなはだ宜しくないし、そのせいで冬の訪れも極端に遅いしで、近年レギュラーとなっている世附(世附川流域の山山)の山遊びがここまでスレこむ事になろうとは思ってもいませんでしたヨ。
ということで先の日曜(12/17)は週刊「世附の廃道」の再開、ということで大棚沢から西丸東丸の最低鞍部を越えて金山沢へ出る金山第一・第二歩道と、奥世附歩道の西半分の下見も兼ねて山伏沢(エアリアでは沖ビリ沢)の出合から甲相国境稜線へ突き上げる金山沢860m圏二俣中間尾根を組み合わせた周回ルートを組んで歩いてきました。
(切通峠への道すがらでは霧氷が見られた)
この日も朝から快晴で富士もクッキリ姿を見せてくれて本当に気持ちの良い朝だったんですけど、なぜか山中湖の東岸である平野の辺りだけが異常にガスっていて、想定外な濃霧の中のスタート。でもそれも切通峠へ向かうと徐々に晴れてきて、峠に着く頃には霧氷の花が咲いた木々が出迎えてくれたのはこれまた想定外。
そんな様子に気分が悪くなる訳もなく、峠道をショートカットして大棚沢林道へ直接下りるとしばらくは林道歩き。昨年の台風の爪痕は大きくかなり荒れてますね。丁度二年前に下った時はこの辺りまで猟師さんが来ていたのですが、こんな状態だと世附は今年もハイカー&シカさん天国になりそうです。
(金山第一歩道・下部はススキの藪が煩い箇所がある)
平野から1時間ちょいで切通沢橋に到着したら、先ずはこの周辺にある金山第一歩道の取付探しを始めたのですが、世附国有林の施業図(第3次国有林野施業実施計画図)は正確ですね。パッと見はわかりづらいものの、切通沢橋から三つめの沢の脇からわかる人には判別できるように道筋が上がっています。
さっそく辿り始めると道はすぐに西へ戻るようにトラバースして、橋から二つめの沢に出たところで道をしばらく捜索しましたが、うまく見つけると道は二つめの沢を渡って一つめの沢の左岸斜面を高捲くようにトラバースするようになります。途中ススキの藪が煩い箇所がいくつかありましたが、下道は至って明瞭で、つづら折れに登る箇所(ここもススキの藪がうるさい)も施業図通りに付けられていたのには思わず笑ってしまいました。
(植林帯に入ると道形も明瞭になった)
(伐採跡の際から東丸)
つづら折れを過ぎると道は暗い植林帯に入って同時に道形もハッキリしてきます。これは前に山伏歩道を歩いた感触から予想がついており、あとはすいすい。でもわかっちゃいましたけど趣には欠けますね。
道はやがて右手の尾根上に上がり、すこしだけ尾根上を行きますがすぐに右へ外れると、広大な伐採跡の際をトラバースして東丸の西鞍部に導かれる段取り。展望は良いし、久しぶりに間近に見る東丸の姿も懐かしく、途中では歩道の古い石組みも残っていたりと、ここは第一歩道で歩いて一番楽しいところだったかも。
(ワイヤーが痛々しい、鞍部にいたサワグルミの大木)
そんな訳であっという間に東丸の西鞍部に到着。ここは西丸から東丸へ抜けて以来だから9年半ぶりでした。再訪がそこまで開いていたとは意外でしたが、当時もこの鞍部で休憩したんですけど鞍部を越える道形には全く気がつきませんでした。それよかダニが本当にひどかったし(笑)。
周囲の散策を兼ねて鞍部で休憩したら、お次は金山沢へ。施業図によると道はここから金山第二歩道と名前を変えるようですが(ちなみに名称図・・・西丹沢頂稜河川土地名称図では通しで「金山歩道」)、下りだしから道は明瞭に延びています。
(金山第二歩道・こちらも道形は基本的に明瞭)
この第二歩道がちょっと面白いのはそのまま金山沢へ一直線に下るのではなく、先ずは鞍部から前ビリ沢(金山沢730m圏二俣左俣)の左岸斜面をトラバースして左手の尾根を乗り越し、戻るようにトラバースして中ビリ沢(エアリアではビリ沢)の左俣に降り立ち、それから左俣の左岸斜面を再びトラバースし、再び左手の尾根を乗り越して今度は中ビリ沢の本谷(右俣)に降り立ったら、あとは本谷の左岸をトラバースして中ビリ沢の出合で金山沢に出るというもの。
こちらも第一歩道と同様に植林も多いものの、第一歩道よりは雑木林も多く明るい雰囲気で、前述の通りに道に変化もあって個人的には第二歩道の方が好みでした。
(中ビリ沢<ビリ沢>へ降り立つところ)
あと今回の目的の一つに「前ビリ沢の出合を確認する」というのもあって、地形図やエアリアだと前ビリ沢と中ビリ沢は両沢共に金山沢から分かれている事になっているのですが、実際は金山沢から分かれているのは中ビリ沢だけで、前ビリ沢は中ビリ沢の出合から中ビリ沢をちょっとだけ上がった所から分かれているらしいのです。
要は前ビリ沢は実際には「中ビリ沢の枝沢」ということで、この辺りも施業図では正確に記されていて、実際にもそう分かれていたのでした。そんな出合の確認が済んだらランチも中ビリ沢の出合周辺でとりましたが、この周辺の沢は花崗岩の美しい沢が多くて、流れをボーッと眺めているだけでナゴみますねぇ。(^^)
(水ノ木林道・荒れていて車は当分は入れる感じではなさそう)
さて、ランチを終えたらここから甲相国境稜線へ登り返さなければいけないので、とりあえず水ノ木林道に上がって上流側へてくてく。こちらの林道もご多分に漏れず車が通れない程度にですが荒れていて、ここもしばらくはお車の類は通れそうにない感じです。
林道を10分ほど歩くと終点に着き、ここから金山沢に降りて沢床を10分ほど歩くと左手からナメ滝が合わさる明瞭な出合に出て、ここが山伏沢の出合(金山沢860m圏二俣)。
(山伏沢出合<金山沢860m圏二俣>のナメ滝)
目的の尾根はこの中間の尾根なのですが、出合からは取り付くしまがないので、とりあえず左の山伏沢を遡って傾斜の緩くなったところで改めて860m圏二俣の中間尾根に取り付きました。
実の所この周辺は施業図を見る限り植林がかなり多く、今の今までどうしても食指が動かなかったのですが、昨シーズンから始めた奥世附歩道の探訪を進めるうちに、この道の長大な区間を効率的に辿るのはちょっと無理そうなことがわかってきた。なのでとりあえずビリ沢歩道(樅ノ木沢右岸尾根)より西の尾根は再訪を含めて逐一歩いて下見してみよう、ということでようやく歩く気になったのでした。
(金山沢860m圏二俣中間尾根・植林と荒れた雑木林が続く)
尾根は2、3年前に行われたであろう間伐(この林に次の手入れが入るのはいったい何年後の事になるのだろうか・・・)後放置された枝木が尾根を塞いで若干歩きづらいながらも、植林とモミ混じりの荒れ気味な雑木林が続いて想像よりも明るい雰囲気だったのはかなり意外。
そして西の山伏歩道では確認できたものの、東のビリ沢歩道の周辺では確認できなかった奥世附歩道の一段下を通る「奥世附歩道の中段歩道」と云うべき道が案外簡単に見つかったのもこれまた意外でした。
(奥世附歩道を過ぎるとスズタケが被ってくる)
中段歩道を突っ切っても藪は少なくしばらくは歩きやすかったのですが、徐々にスズタケが現れてきたなと思い始めた頃、道形は薄いながらも施業図通りに奥世附歩道も見つかってしまいました。なのでものは試しに東に西にちょこっと辿ってみたのものの、こちらは楽に辿らせてもらえる様子でなかったのは・・・まぁ想像通りでしたけど(笑)。
奥世附歩道を突っ切ると、尾根は国境稜線へ向けて痩せて急になり、同時にようやくスズタケが被るようになりましたが、規模は知れてます。途中曰くありげな??大岩を捲くように登ったりとそれなりに変化もあったでしょうか。
(甲相国境稜線・雪はほぼ消えている)
そんな登りを30分ほどこなすとあっけなく国境稜線に飛び出し(道標とテーブルベンチがあった)、先ずは何はなくともダニチェック。それから時計を見ると意外に早く登り着いてしまったようです。今回の所はこの尾根も金山歩道も至ってスムーズに歩けたおかげでしょう。
それでも今は一年で一番日の短い季節。もう一遊びしたい気持ちを抑えて逆光で薄くなった富士を追いつつ平野へ向かったのでした。
・・・・・☆
◆ 2011.12.18 (Sun) (快晴に近い)晴
富士山駅 07:15→ 平野 08:05- 切通峠 08:40- 切通沢橋 09:15/09:20- 東丸西鞍部 10:20/10:30- 中ビリ沢 11:00- 中ビリ沢出合 11:15/12:00- 山伏沢出合 12:30- 奥世附歩道の中段歩道横切る 12:50- 奥世附歩道横切る 13:10- 甲相国境稜線に出る 13:40- 石保土山 13:55/14:05- 富士岬平 15:00- 平野 15:40
| 固定リンク
「【前道志・道志・丹沢 2011】」カテゴリの記事
- 西丸を南北に縦断して石保土山へ(2011.12.28)
- 金山歩道の探訪・奥世附歩道の西半分の下見も兼ねて(2011.12.20)
- 御正体山・秋の花と鋸刃の再訪をかねて(2011.09.21)
- 新緑の世附・大栂から再びイデン沢の懐へ(2011.05.25)
- 雑木林美しき楢山沢から高畑山へ(2011.03.31)
コメント