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2011.12.28

西丸を南北に縦断して石保土山へ

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(西丸南西尾根<要所小屋沢左岸尾根>上部のひとコマ)

さて先週に「週刊」と銘打ったわけですから今週ももちろん世附(世附川流域の山山)に入りましたが、今回は廃道探訪ではなく「週刊世附の山歩き」と言った所でしょうか。(^^ゞ、

今回も平野を起点に高指山~バラシマ峠に出てからバラジマ歩道・林道を降り、要所小屋沢左岸尾根たる西丸南西尾根を辿って西丸に登って、山伏歩道が一部通る山伏沢(エアリアでは沖ビリ沢)右岸尾根たる西丸北東尾根を下降。山伏沢に降り立ったら山伏沢880m圏二俣中間尾根たる石保土山南東尾根を登り返して、平野へ戻るコースを歩いてきました。

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(バラシマ歩道・バラシマ峠からの下りだしは快適)

この日の朝は快晴の上に風もなく寒くなる条件が揃っているような気もしたのですが、実際には先週よりもかなり暖かく、歩き出しから上着を脱いで歩けるぐらいの暖かさ。振り返ると真正面に聳える富士の姿をちらちら見つつまずはバラシマ峠を目指します。

そして高指山から北へ下りきった鞍部がバラシマ峠なのですが、名称図(西丹沢頂稜河川土地名称図)によると茨島峠は富士岬平の一つ北のピークになってるんですね。それはともかくバラジマ歩道はこちらの峠からしっかり延びており、さっそく入るとなかなか素敵な自然林の中をつづら折れに下って行きます。

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(バラシマ歩道・バラシマ林道から下はスズタケが煩い)

間もなく植林帯に入ってもしばらくは普通に歩けたものの、下るにつれ間伐後放置された枝木が行く手を阻む感じになってすこぶる歩きづらくなり、そうこうしているうちに道形自体が判別できなくなっていました。ここで慌てて施業図(第3次国有林野施業実施計画図)を広げるとバラジマ歩道は北の枝尾根上を通っていて、そおいえば植林帯に入って間もなくその尾根を横切った時に尾根側にマークがついていたのを思い出してもあとの祭り。

今更尾根に戻るのも面倒なのでそのままバラシマ沢に降りると5分ほどでバラシマ林道に出たので、ここで林道がその尾根が乗り越す所まで登り返してからバラシマ歩道の上の取付を確認(次はキッチリ歩かねば)。そしてここから改めてスズタケ茂るバラジマ歩道を下ると、5分とかからずに301号送電塔巡視路の橋が架かる二俣に出て、バラシマ林道に上がるまでが「バラジマ歩道」のようです。

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(小菅川の雄滝を彷彿とさせるバラシマ沢の滝)

バラシマ林道に上がったらしばらくは林道歩きなのですが、こちらは南の大棚沢林道よりかなり荒れています。でも少しマトモな箇所を見てみるとここはかつて舗装されていたようですね。

個人的に意外だったのがこの林道の道のりで、初めてだったせいもあるのでしょうけど周囲の雰囲気は悪くないし、渓相も意外に良くて、この↑↑の滝なんて林道上から見ると本当に小菅川の雄滝を彷彿とさせて、思わず沢に降りて撮影していました。

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(林道が完全に寸断されていた・西丸南西尾根の取付附近)

要所小屋沢の出合にかかるバラジマ橋からしばらく下ると林道が沢でスッパリと寸断されていたのですが、偶然にもここが西丸南西尾根の取付だったので、周囲を散策がてら休憩してから尾根に取り付きました。

林道を歩いている時から周囲を見ていて疑問だったのが南西尾根の末端部の林相で、施業図によればこの辺りはヒノキの植林になっている筈なのが、実際にはスズタケが青々と茂る雑木林だったこと。登りだしからスズタケの中を突っ込むように登る事になろうとは・・・。施業図のウソつきー。

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(西丸南西尾根・のっけは5m弱の大モミに始まって・・・)

スズタケをワシワシと分けつつのろのろ登っていると、ひと登りで城ヶ尾歩道や白石歩道を想起させるような径路が尾根を横切っていたことに驚いたのですが、その脇に5m弱のモミの巨木がすらりと立っていたのにはもっと驚きました。

いきなりの大物の出逢いに喜んでいると尾根はここから世附でよく見かけるモミの自然林が広がっていて、いったいヒノキ植林はどこ行ったのでしょう。

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(尾根全般にわたって立派なモミが散見された)

周囲には3mクラスの立派なモミが散見されて、こりゃ参ったな~と喜んだ途端、すぐ先でようやくヒノキ植林のお出ましでした。植林なのでもちろんスズタケは減って歩きやすくなるのですが、ここまで来たら施業図にはウソを突き通して欲しかったなぁ(笑)。

そんな植林も長くは続かず、再び自然林に変わると再び黒木の木々を愛でつつ登る感じ。途中ツガのかたまった箇所もあって良いアクセントですね。ツガは3m半のが南西尾根では一番だったでしょうか。

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(この辺りはツガ)

スズタケも被ることは被るけど歩くに邪魔にならない程度で、下から続いていた黒木が少なくなってブナの立派な木々が目立ち始めると、最後の登りになって西丸の山頂に飛び出しました。

思いの外林相が良かったせいか登りに二時間近くかかっていてので、ここで丁度頃合いも良かったんですけど、西丸に着いた途端曇りだしてなかなか晴れてくれません。しばらく待っても晴れる気配がなく、かなり寒かったのでのんびりするのは諦めておにぎりとパンを詰め込んだら先を行きます。

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(西丸山頂)

自然林と植林に分けられた北東尾根をさっそく下り始めるとひと下りで左手から山伏歩道が合流。この辺りはどうしても自然林側の歩きやすい山伏歩道の方を歩いてしまいますね。

山伏歩道は痩せた鞍部で一旦北東尾根上に上がりますが、すぐに右へ捲きだし、一つ先の鞍部で再び北東尾根に復帰するもここですぐに右へ分かれてしまうので、この分岐から先が個人的には未踏区間。基本的には植林の中を下って行く感じで、小広い1004m峰を過ぎると左の急斜面をマーキングを拾いつつ適当に降りていくようになり、じきに山伏沢に降り立ちました。

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(山伏沢880m圏二俣・中央の尾根が石保土山南東尾根)

そこは石保土山南南東尾根とも言える尾根が延びている890m圏の二俣辺りで、この尾根を登っても石保土山へは行けるのものの甲相国境稜線の南尾根群はをとりあえず東から辿っているので、今回もすぐ先に見える一つ東の南東尾根が延びる880m圏の二俣へ向かいます。

下の880m圏二俣はサワグルミの立派な木が目立つ小広い別れになっていて、右手には先週登った山伏沢出合からの尾根が延びています。ここで顔を洗いつつ休憩したら、中間の尾根である石保土山の南東尾根に取り付きました。

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(石保土山南東尾根<山伏沢880m圏二俣中間尾根>中腹辺り)

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(妙な踏跡をたどると岩屋?があった)

登りだしは暗いモミの植林で施業図を見てわかっちゃいたものの正直無粋ですね。でも尾根を横切る奥世附歩道の中段歩道はあっさり発見。ちょっと嬉しいです。

でも植林を抜けてじきに横切るであろう奥世附歩道の方はおおよその場所は判別できたものの、道形はあやふや。それよりもなおも上がって尾根上に岩が現れると尾根を横切る?踏跡があって、試しに右へ追ってみたところじきに↑↑こんな岩屋?らしきものが見つかりました。当時使われていたかどうかはもちろん不明ですけど。。。

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(南東尾根上部はさすがにスズタケが出てくる)

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(こんな大岩も)

植林を抜けるともちろんスズタケが出てきますが、それよりも地形図を見てもわかるように尾根が急でそちらの方がしんどい感じ。しかも大岩を捲いたりする箇所もスズや倒木に阻まれて歩きづらいこと歩きづらいこと。

それでも石保土山の南・南南東尾根が合流する辺りは突然藪が切れて、↑↑こんな大岩のある庭園のような所も通りがかって、実はここも結構な急斜面なんですけどそれでもなかなか楽しいところでした。

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(南東尾根上部・この辺りはなぜかスッキリしている)

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(大棚ノ頭直下の送電塔より西丸と南西尾根)

そんな庭園を過ぎ、尾根が痩せると最後の登りになって、さほどの時間もかからずに石保土山に到着。冷たい風が稜線を吹き付ける中、寒くて気が向かなくても(笑)念入りにダニチェックをして帰路につきました。

今回は先週よりもスムーズに歩けず時間がかかりましたが、特に登りの西丸・石保土山への二本の登りの尾根は想像以上の尾根でかなり楽しめました。西丸南西尾根はその林相からビリ沢歩道(樅ノ木沢右岸尾根)を彷彿とさせますし、石保土山の方は植林もあるけど変化もあってあとの南南東・南尾根共にちょっと楽しみになってきました。山に入れば人に会うことはまずない静かな所だし、今の時期はダニを必要以上に気にする必要もない。世附はやっぱり楽しいや。(^^)
 
・・・・・☆
 
◆ 2011.12.25 (Sun)   晴 時々 曇
富士山駅 07:15→ 平野 08:10- 高指山 08:50/09:00- バラシマ林道に出る 09:25- バラシマ歩道・301号送電塔巡視路分岐 09:30- 尾根取付 10:00/10:10- 西丸 11:55/12:15- 1004m峰 12:35- 山伏沢880m圏二俣 12:50/13:00- 石保土山 14:30- 富士岬平 15:30/15:35- 平野 16:10
 

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2011.12.25

蛾ヶ岳から折門の廃村を再々訪する

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(上折門の一角・実は右の離れのお風呂が凄い)

芦川南稜の末端部や旧下部町の折八の方の山は気がつけばほぼ三年も歩いてなかったんですね。(^^ゞ そんな訳で連休の初日(12/23)は四尾連湖から蛾ヶ岳(ひるがたけ)、大平山、地蔵峠まで縦走したら南の1031m北鞍部たる山神峠に降り、上折門、下折門の探訪をして三沢川の本谷たる風岩沢?の径路を辿って、それからそのまま沢沿いの径路を辿るのではなく左岸の尾根の中河原分岐に登り返して中河原に下るコースを組んで歩いてきました。

この日の朝は快晴で久しぶりの甲府盆地は富士に南アとなんとも最高の展望。でも極めつけは身延線のオールロングシートの新型車両からの車窓で、偶然にも進行方向左側に座ったら、まぁまぁただ乗っているだけで南アや八ヶ岳などの大パノラマが楽しめるという寸法。これは窓が大きくとられている事が大きいんでしょうけど、普段は毛嫌いしまくっているロングシートもたまには悪くないなと思ってしまったのは中途半端ながらも「呑み鉄」を自任するボクにとってはちょっとだけ屈辱です(笑)。

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(四尾連湖と白根三山、鳳凰甲斐駒・蛾ヶ岳より)

今回は初めて市川大門からタクシーで四尾連湖に出て(¥3680)からのスタート。さすがに晴れた早朝とあってかなり寒い中初めて来た四尾連湖を散策してから歩き出します。歩き出しは短いながらもつづら折れが続いて少し暖かくなったものの、稜線に出たら吹き付ける風が本当に冷たくて慌ててウインドシェルを羽織りましたが、やっぱり寒いです。日陰なのに尾根を捲いている方が風がない分まだ暖かいぐらい。

今回は蛾ヶ岳へ直登しないで西肩峠の方に回ってこれまた久しぶりに六地蔵に挨拶してから山頂へ向かうと、いやぁ山頂からは南アに甲府盆地の奥の八ツに奥秩父にと素晴らしい展望が広がっていましたが、とにかく寒い寒い。そのせいか反対側の富士はすでにガスって姿が見えないし、東や南の方から暗い雲が来ているのがちょっと気がかりです。

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(大平山への道すがら)

そんな寒いのに結構長居してしまいましたが、後からパーティがやってきたところでおいとまして稜線を西へ。いつ歩いても雑木の稜線は気持ちがよいですね。とにかく下部側の山肌を眺めても植林が本当に少ない。人里にも近いはずだしこの位の標高帯でこれだけ植林が少ないのは特筆に値すると思います。

蛾ヶ岳の山頂から見えた雲は徐々に近づいてきて、大平山に着く頃にはこちらもほぼ曇り。それでも時々晴れ間が覗いてくれたのは暖かくてラッキーでした。

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(地藏峠<栂ノ峠>の大ツガと六地蔵)

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(地藏峠付近の雑木の緩斜面)

当初は大平山から直接尾根伝いに1031m峰北鞍部たる山神峠へ降りるつもりだったんですけど、時間に余裕もあるので西へ下った地藏峠にも寄ってみました。久しぶりに峠の大ツガや六地蔵にも再会をしたら、稜線北側の二重山稜を散策。

北へ明瞭に下っている向村への道を気にしつつ東へ戻るように緩く登る辺りがこの日のハイライトでしょうか。この↑↑広~い撓みの中を落ち葉を踏みつつゆるゆる歩くのは気持ち良いというかただただ「たまらない」の一言。

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(折門への下りしなより蛾ヶ岳を振り返る)

再び稜線上に戻ったら、今度は南へ捲く登山道に入って折門峠に上がり、改めて山神峠へ。

ろくすっぽ歩かれてないはずなのに相変わらず明瞭な道形が残っている道をゆるゆる下りつつ、道中頃合いも良いので適当な場所を選んでランチ。それから山神峠へ降り立ちました。

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(山神峠<1030m峰北鞍部>の皇太神社)

さてさて、ここも三年ぶりとなる山神峠のこの神社。三年間の間に山梨日日新聞で折八の特集記事が組まれたこともあってこの神社が皇太(こうたい)神社である事がわかりました。おそらく本殿は↑↑写真の手前の建物がそうだと思われますがすでに中は空っぽのようです。

ここまで来たら東の御弟子へも寄りたくなってしまいますが、今回の所は日も短い時期でので割愛。西の上折門へ向かいます。

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(上折門の六地蔵)

さて上折門のことも山梨日日の記事でいろいろ疑問が氷解したのですが、一番の疑問だったのが道路も通らない標高の高い山奥なのに残っている建物がどれも立派だったこと。特にトップの写真の家は家屋もさることながら、山中に不似合いな立派な土蔵に綺麗なタイル張りの離れのお風呂、と当時ムラ一番のおでえじん(お大尽)の家だったそう。

それは戦後食糧難の時代にこんにゃくいもの栽培で村が相当繁栄した名残のようなのです。

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(もちろん下折門にも寄りました)

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(三沢川 風岩沢??を渡る橋は・・・)

そうすると下折門で残された↑↑立派な家屋にも合点がいくし、そこからなおも地形図の破線路を追って下っても道中ぼちぼち見かける立派な石垣が組まれた畑跡も合点がいったのでした。

そんな畑跡も日本山岳案内によると「風岩沢」とされている三沢川の本谷に架かる橋を渡ると途切れるようになって、あとはひたすらに下って行くだけ。

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(風岩沢から中河原へ向かうと竹藪のジャングルもあった)

三年前はそのまま風岩沢沿いの径路を下って大磯小磯に出たので、今回は道が再び左岸に戻ってじきに出る分岐から右の大平山の南尾根の延長上にある中河原分岐へ出るトラバース道を歩いてみました。

ここで沢沿いの道から離れてトラバース道に入ると当初こそは歩きやすかったものの、途中竹藪のジャングルを潜らされたりとさすがに一筋縄ではいきませんでしたが、それでも道形は基本的に明瞭で慎重に辿れば問題ないレベルでした。

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(中河原分岐の双体道祖神と馬頭観音)

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(こちらは今まで気がつかなかった)

分岐から15分ほどで中河原分岐に登り着けば、あとは足下に見下ろす中河原へ下るだけ。そうそうこの分岐には双体道祖神と馬頭さまだけでなく少し西側に埋もれかけた山ノ神もいらっしゃったのですね。

そんな神さま達に道中の無事のお礼したら中河原へ向かったのでしたが、ここでも新たな発見があったりと短いながらも楽しい道のり。

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(ようやく中河原に降り立ちました)

まもなく中河原に降り立ったら後はタクシーを呼んで帰るだけだったんですけど、ここで偶然通りがかった地元の方に昔の折門の様子や麓の人間が折門へ稼ぎに行った話、かつてあった空中ケーブルの事等々興味深いお話を聞けたのが実は今回一番の収穫だったかも。

その上タクシーを呼ぶのに下部ではなく岩間から呼ぶこととか、タクシー会社に電話してみたもののこちらのいる「中河原」が全く通じなくて場所の指定の仕方を教えてもらったり(一発で運ちゃん了解)といろいろお世話になりました。<(_ _)><(_ _)> おかげでこの日の山行きがいっそう深いものになったと思います。
  
・・・・・☆
 
◆ 2011.12.23 (Fri)   晴 時々 曇
四尾連湖 08:00→ 大畠山分岐 08:30- 西肩峠 09:10- 蛾ヶ岳 09:25/09:45- 大平山 10:40/10:55- 地藏峠 11:05/11:15- 折門峠 11:40-(途中60分休憩)- 山神峠(1031m峰北鞍部)13:15/13:20- 上折門 13:35/14:05- 下折門 14:15/14:35- 風岩沢?に架かる橋 15:05- 中河原分岐への分岐 15:35- 中河原分岐 15:50/15:55- 中河原 16:15
 
タクシー(市川大門駅~四尾連湖)¥3680 
タクシー(中河原~甲斐岩間駅・迎車)¥4130
 

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2011.12.20

金山歩道の探訪・奥世附歩道の西半分の下見も兼ねて

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(金山沢860m圏二俣中間尾根上部のひとコマ)

今年の秋は台風に高温続きで紅葉ははなはだ宜しくないし、そのせいで冬の訪れも極端に遅いしで、近年レギュラーとなっている世附(世附川流域の山山)の山遊びがここまでスレこむ事になろうとは思ってもいませんでしたヨ。

ということで先の日曜(12/17)は週刊「世附の廃道」の再開、ということで大棚沢から西丸東丸の最低鞍部を越えて金山沢へ出る金山第一・第二歩道と、奥世附歩道の西半分の下見も兼ねて山伏沢(エアリアでは沖ビリ沢)の出合から甲相国境稜線へ突き上げる金山沢860m圏二俣中間尾根を組み合わせた周回ルートを組んで歩いてきました。

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(切通峠への道すがらでは霧氷が見られた)

この日も朝から快晴で富士もクッキリ姿を見せてくれて本当に気持ちの良い朝だったんですけど、なぜか山中湖の東岸である平野の辺りだけが異常にガスっていて、想定外な濃霧の中のスタート。でもそれも切通峠へ向かうと徐々に晴れてきて、峠に着く頃には霧氷の花が咲いた木々が出迎えてくれたのはこれまた想定外。

そんな様子に気分が悪くなる訳もなく、峠道をショートカットして大棚沢林道へ直接下りるとしばらくは林道歩き。昨年の台風の爪痕は大きくかなり荒れてますね。丁度二年前に下った時はこの辺りまで猟師さんが来ていたのですが、こんな状態だと世附は今年もハイカー&シカさん天国になりそうです。

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(金山第一歩道・下部はススキの藪が煩い箇所がある)

平野から1時間ちょいで切通沢橋に到着したら、先ずはこの周辺にある金山第一歩道の取付探しを始めたのですが、世附国有林の施業図(第3次国有林野施業実施計画図)は正確ですね。パッと見はわかりづらいものの、切通沢橋から三つめの沢の脇からわかる人には判別できるように道筋が上がっています。

さっそく辿り始めると道はすぐに西へ戻るようにトラバースして、橋から二つめの沢に出たところで道をしばらく捜索しましたが、うまく見つけると道は二つめの沢を渡って一つめの沢の左岸斜面を高捲くようにトラバースするようになります。途中ススキの藪が煩い箇所がいくつかありましたが、下道は至って明瞭で、つづら折れに登る箇所(ここもススキの藪がうるさい)も施業図通りに付けられていたのには思わず笑ってしまいました。

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(植林帯に入ると道形も明瞭になった)

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(伐採跡の際から東丸)

つづら折れを過ぎると道は暗い植林帯に入って同時に道形もハッキリしてきます。これは前に山伏歩道を歩いた感触から予想がついており、あとはすいすい。でもわかっちゃいましたけど趣には欠けますね。

道はやがて右手の尾根上に上がり、すこしだけ尾根上を行きますがすぐに右へ外れると、広大な伐採跡の際をトラバースして東丸の西鞍部に導かれる段取り。展望は良いし、久しぶりに間近に見る東丸の姿も懐かしく、途中では歩道の古い石組みも残っていたりと、ここは第一歩道で歩いて一番楽しいところだったかも。

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(ワイヤーが痛々しい、鞍部にいたサワグルミの大木)

そんな訳であっという間に東丸の西鞍部に到着。ここは西丸から東丸へ抜けて以来だから9年半ぶりでした。再訪がそこまで開いていたとは意外でしたが、当時もこの鞍部で休憩したんですけど鞍部を越える道形には全く気がつきませんでした。それよかダニが本当にひどかったし(笑)。

周囲の散策を兼ねて鞍部で休憩したら、お次は金山沢へ。施業図によると道はここから金山第二歩道と名前を変えるようですが(ちなみに名称図・・・西丹沢頂稜河川土地名称図では通しで「金山歩道」)、下りだしから道は明瞭に延びています。

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(金山第二歩道・こちらも道形は基本的に明瞭)

この第二歩道がちょっと面白いのはそのまま金山沢へ一直線に下るのではなく、先ずは鞍部から前ビリ沢(金山沢730m圏二俣左俣)の左岸斜面をトラバースして左手の尾根を乗り越し、戻るようにトラバースして中ビリ沢(エアリアではビリ沢)の左俣に降り立ち、それから左俣の左岸斜面を再びトラバースし、再び左手の尾根を乗り越して今度は中ビリ沢の本谷(右俣)に降り立ったら、あとは本谷の左岸をトラバースして中ビリ沢の出合で金山沢に出るというもの。

こちらも第一歩道と同様に植林も多いものの、第一歩道よりは雑木林も多く明るい雰囲気で、前述の通りに道に変化もあって個人的には第二歩道の方が好みでした。

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(中ビリ沢<ビリ沢>へ降り立つところ)

あと今回の目的の一つに「前ビリ沢の出合を確認する」というのもあって、地形図やエアリアだと前ビリ沢と中ビリ沢は両沢共に金山沢から分かれている事になっているのですが、実際は金山沢から分かれているのは中ビリ沢だけで、前ビリ沢は中ビリ沢の出合から中ビリ沢をちょっとだけ上がった所から分かれているらしいのです。

要は前ビリ沢は実際には「中ビリ沢の枝沢」ということで、この辺りも施業図では正確に記されていて、実際にもそう分かれていたのでした。そんな出合の確認が済んだらランチも中ビリ沢の出合周辺でとりましたが、この周辺の沢は花崗岩の美しい沢が多くて、流れをボーッと眺めているだけでナゴみますねぇ。(^^)

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(水ノ木林道・荒れていて車は当分は入れる感じではなさそう)

さて、ランチを終えたらここから甲相国境稜線へ登り返さなければいけないので、とりあえず水ノ木林道に上がって上流側へてくてく。こちらの林道もご多分に漏れず車が通れない程度にですが荒れていて、ここもしばらくはお車の類は通れそうにない感じです。

林道を10分ほど歩くと終点に着き、ここから金山沢に降りて沢床を10分ほど歩くと左手からナメ滝が合わさる明瞭な出合に出て、ここが山伏沢の出合(金山沢860m圏二俣)。

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(山伏沢出合<金山沢860m圏二俣>のナメ滝)

目的の尾根はこの中間の尾根なのですが、出合からは取り付くしまがないので、とりあえず左の山伏沢を遡って傾斜の緩くなったところで改めて860m圏二俣の中間尾根に取り付きました。

実の所この周辺は施業図を見る限り植林がかなり多く、今の今までどうしても食指が動かなかったのですが、昨シーズンから始めた奥世附歩道の探訪を進めるうちに、この道の長大な区間を効率的に辿るのはちょっと無理そうなことがわかってきた。なのでとりあえずビリ沢歩道(樅ノ木沢右岸尾根)より西の尾根は再訪を含めて逐一歩いて下見してみよう、ということでようやく歩く気になったのでした。

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(金山沢860m圏二俣中間尾根・植林と荒れた雑木林が続く)

尾根は2、3年前に行われたであろう間伐(この林に次の手入れが入るのはいったい何年後の事になるのだろうか・・・)後放置された枝木が尾根を塞いで若干歩きづらいながらも、植林とモミ混じりの荒れ気味な雑木林が続いて想像よりも明るい雰囲気だったのはかなり意外。

そして西の山伏歩道では確認できたものの、東のビリ沢歩道の周辺では確認できなかった奥世附歩道の一段下を通る「奥世附歩道の中段歩道」と云うべき道が案外簡単に見つかったのもこれまた意外でした。

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(奥世附歩道を過ぎるとスズタケが被ってくる)

中段歩道を突っ切っても藪は少なくしばらくは歩きやすかったのですが、徐々にスズタケが現れてきたなと思い始めた頃、道形は薄いながらも施業図通りに奥世附歩道も見つかってしまいました。なのでものは試しに東に西にちょこっと辿ってみたのものの、こちらは楽に辿らせてもらえる様子でなかったのは・・・まぁ想像通りでしたけど(笑)。

奥世附歩道を突っ切ると、尾根は国境稜線へ向けて痩せて急になり、同時にようやくスズタケが被るようになりましたが、規模は知れてます。途中曰くありげな??大岩を捲くように登ったりとそれなりに変化もあったでしょうか。

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(甲相国境稜線・雪はほぼ消えている)

そんな登りを30分ほどこなすとあっけなく国境稜線に飛び出し(道標とテーブルベンチがあった)、先ずは何はなくともダニチェック。それから時計を見ると意外に早く登り着いてしまったようです。今回の所はこの尾根も金山歩道も至ってスムーズに歩けたおかげでしょう。

それでも今は一年で一番日の短い季節。もう一遊びしたい気持ちを抑えて逆光で薄くなった富士を追いつつ平野へ向かったのでした。
  
・・・・・☆
 
◆ 2011.12.18 (Sun)   (快晴に近い)晴
富士山駅 07:15→ 平野 08:05- 切通峠 08:40- 切通沢橋 09:15/09:20- 東丸西鞍部 10:20/10:30- 中ビリ沢 11:00- 中ビリ沢出合 11:15/12:00- 山伏沢出合 12:30- 奥世附歩道の中段歩道横切る 12:50- 奥世附歩道横切る 13:10- 甲相国境稜線に出る 13:40- 石保土山 13:55/14:05- 富士岬平 15:00- 平野 15:40
 

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2011.12.06

美しい雑木の尾根を辿って権現山へ

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(まさに雑木広尾根のプロムナード! 1252m峰南尾根のひとコマ)

いやぁ日曜(12/04)は本当に良い天気でしたね。こうなると普通は展望の良い山へと言う事になるのでしょうが、ボクは展望より林相を選んで久しぶりとなる権現山界隈。

今回は浅川からオクリ沢左岸尾根たる1252m峰(オクノ沢ノ嶺)北尾根を登って権現山~麻生山の稜線に出て、権現山に上がったら、尾根伝いに浅川峠~曽倉山と吊尾根を伝って地獄谷右岸尾根たる曽倉山西尾根を降りて浅川に戻るコースを歩いてきました。

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(登につれ色づいた木々が徐々に減り・・・)

今回は珍しくお車で浅川BSに出てからのスタート。目的の1252m峰南尾根の末端はそのBSの間近から延びており、こりゃ有り難いわ~とばかりにさっそく尾根に取り付くと、最初は色づいたコナラが眩しい雑木林と植林帯に分けられた中をひたすらに登って行きます。

当初はこの尾根もそんな感じで上まで行くのかなぁと思っていたらさにあらずで、784m峰を過ぎてひと登りした850m圏辺りで植林が切れると尾根が一気に広がりなんとも快い雑木の広尾根に変わって、そこからがこの尾根のハイライトでした。

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(1000m近くなるとほぼ落葉)

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(バイカツツジ)

最初はコナラの黄葉が眩しいぐらいだったのが登るにつて徐々に減っていき、1000m辺りまで上がると周囲の木々はほぼ落葉。いやぁ権現山周辺は素敵な雑木林がまだまだありますね!本当に素晴らしいとしか言いようのない素晴らしさ。振り返ると白くなった富士も見えるようになってより楽しくなってきます。

1000mを過ぎると今度は尾根が痩せて、露岩を交える急登になるのもまた良いアクセントです。この辺りで赤く色づいたツツジの類が見られて気になっていたのですが、調べてみるとどうやらバイカツツジのようです。

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(南尾根上部は露岩帯を避けて右の急斜面を登った)

登につれ尾根は徐々に急になって尾根上を忠実に辿るのがしんどくなると、右側の緩斜面を捲き気味に登っていく感じ。

そして尾根左側に植林が合わさるとひと頑張りで稜線に飛び出し、そこから西へ少し登ると1252m峰でした。

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(権現山への道すがら)

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(白い富士も本当に久しぶり・権現山より)

ここまで来ればあとは東の権現山を目指す段取りで、これまた素敵な雑木の稜線を30分ほど歩くと権現山に到着。ここはおそらく5、6年振りだったと思います。あまり覚えてなんですけど久しく訪れていないうちに三角点が新しくなりましたでしょうか??

あと団体さんがいたこともあって権現山にしてはかなり多い人出だったのも意外でしたけど、それでも最近とみに増えている若いハイカーさんはここまでは来ないようですね(笑)。おそらく扇山止まりなのでしょう。

B111204h
(浅川峠への下りしな)

そんな訳で山頂から少し下ったところで休憩していると、その間にもハイカーがぼちぼち上がってきて驚きました。

休憩を終えたらお次は曽倉山を目指して先ずは浅川峠へ向かいますが、この間も素敵な雑木林が続いて、落ち葉を分けつつゆるゆる下る感触がなんとも心地よく、好天と相まってこの下りもこの日のもう一つのハイライトだったかも。

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(曽倉山より扇山)

浅川峠に下り、登り返した940m圏の緩いピークが曽倉山で、ここは扇山から浅川峠への下りしなに通り過ぎるだけのピークだったので、こうやって一つのピークとして訪れたのは今回がもちろん初めてのこと。ピークは植林が絡んでしまいますが、その手前の西尾根が分岐する辺りはこれまた雑木の広尾根が楽しく、これから下る西尾根もちょっと楽しみな感じです。

ということでピークで少し休んだら、引き返して西尾根の下降に移ります。

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(曽倉山西尾根<地獄谷右岸尾根>上部)

最初は分岐の広尾根の雰囲気を残した雑木林と植林に分けられた間を降りる感じ。それから838m峰を過ぎてから植林が優勢になるとひと下りで左手から地形図の破線路と合流しましたが、結構明瞭なんですね。曽倉山の南鞍部からはこんなに明瞭に分かれていましたっけ?

破線路が合わさるとろくすっぽ歩かれてないながらも、かつてはかなり歩かれていたのでは?と思しき明瞭な道筋が尾根上を通るようになってこれにも驚きました。

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(左手から破線路をが合わさると明瞭な道形が現れる)

それでもその道筋も下るにつてあやふやになったりしたので、尾根を忠実に下っていくとじきに神社に出たので道中の無事を感謝して、そこからひと下りでお墓に降り立ち、県道に出ました。

あとは浅川のBSに戻るだけ。帰路は通りがかる集落を眺めたり、西側に聳える楢ノ木尾根の辺りが懐かしいなぁと思いつつその姿を眺めたり、この日歩いた雑木の尾根をまじまじと眺めたり。そして途中の公園の立派なロハモミジの紅葉を楽しんだりとこれまた思いもかけず楽しい道のりでフィナーレを迎えたのでした。
  
・・・・・☆
 
◆ 2011.12.04 (Sun)   快晴
浅川 08:30- 850m圏 09:15- 1252m峰 10:50/11:10- 権現山 11:35/12:35- 浅川峠 13:40- 曽倉山 14:10- 破線路合わさる 14:40- 取付 15:25- 浅川 15:50
 

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