バケモノ沢を繞る濃密なブナの森へ、再び
(大界木山南尾根<赤沢左岸尾根>中腹のブナの森)
ふう。いろいろあって山へ行けないうちに纏まった雪が降って世附(世附川流域の山山)の廃道探訪はできなくなっていたんですけど、ここのところ気温が急上昇して山の雪もかなり溶けてきたみたいですね。それでも奥世附歩道辺りは標高がそれなりにあるので、世附は世附でもこの日(02/26)は雪の状態の確認を兼ねての尾根歩き。
ということで今回は久しぶりとなるバケモノ沢(地蔵沢)の流域。先ずは城ヶ尾峠からさかせ古道を少し下った1090m圏のピークから赤沢へ延びている赤沢890m圏三俣左俣左岸尾根を下降。三俣に降りたら、東隣の890m圏三俣右俣右岸尾根を登り返して赤沢左岸尾根たる大界木山南尾根に上がり、今度は南隣の赤沢890m圏三俣右俣左岸尾根降りて再び三俣へ戻り、赤沢・バケモノ沢を水晶沢 戸沢出合まで行き、水晶沢右岸尾根たる畦ヶ丸南西尾根を再び登り返して畦ヶ丸に出るコースを歩いてきました。
(下りしなから素敵なブナが・赤沢890m圏三俣左俣左岸尾根上部)
いやぁこの日なにが一番驚いたって下善の木でボク以外にも降りる人がいたことでした。まぁそれはともかく、バスを降りたら今回は東沢へ入り、まずは城ヶ尾峠へ向かいます。ちなみに水晶橋より先は林道や山道が凍っている箇所も多く、慣れていない人はしばらくは要アイゼンでしょう。
着いた城ヶ尾峠でも珍しくパーティさんがいてこれにも驚きましたけど、さっさと南のさかせ古道に入ればあとは一人旅は決定したもの。道が地蔵尾根と合流して少し降りると目的の尾根が延びている1090m圏のピークに到着します。
(下るにつれスズタケが煩くなるが、自然林が素晴らしい)
のっけから素敵なブナの広がる尾根に入り込むと、いきなり元気なダニに大歓迎されて一瞬ゲンナリしかけたものの、周囲の自然林の様子はそんな気分も吹き飛んでしまう素晴らしさ。下るにつれてスズタケが煩くなり降りづらくなってくるのも、お構いなしにルンルン気分で下れます。
そして左手に小さい植林の一角を見るとまもなく奥野歩道(旧東海自然歩道)を突っ切るんですけど、奥野歩道にはこういう小規模な植林帯がぼちぼちあって良い目印になりますネ。
(赤沢890m圏三俣 左・降りてきた尾根、右・登り返す尾根)
そして奥野歩道を突っ切るとスズが一層深くなりましたが、ここで幹周り4m弱を筆頭としたミズナラの大木たちが出現したりするから、そのたびにスズタケの海をあっちへのろのろこっちへのろのろ。赤沢の890m圏三俣に降り立った頃にはもう全身ホコリだらけでした。
というわけで沢に降り立ったら何はなくともまずは全身ダニチェック。それから手や顔を洗ってようやく休憩という段取りです(笑)。でもここまでホコリだらけになるとさすがに花粉もたっぷりで・・・。
(赤沢890m圏三俣右俣右岸尾根・下部の様子)
くしゃみを連発しながらも休憩を終えたら、次は中央の赤沢を挟んだお隣の三俣右俣右岸尾根に取り付きます。とりあえずのっけはスズタケが薄いのが嬉しいですね。あとはいくら藪が濃くても、最初だけでもスムーズに入れると気分的に随分違うんですよねぇ。。。
とはいえ、こちらもスズが徐々に出てきますがさほどのことはなく、中間点辺りでは藪のない緩斜面もあったりして、ここはなかなか良い休憩ポイントだったんですけど、そこから先はさすがにスズが被ってきました。
(尾根上部はスズタケが深いが、こちらも自然林が素晴らしい)
でも林相的にもここからがハイライトでスズタケの上から木々を愛でる感じはすでに大界木山南尾根と同じ雰囲気。南尾根と合流する辺りは気にしていないとおそらく判りづらいかも知れません。
そして南尾根と合流したら次は三俣右俣左岸尾根が分岐している1010m圏まで南尾根を降りるんですけど、この辺りはスズタケがやや深いものの、美しいブナの並木道ではなく尾根といった風情です。
(大界木山南尾根から次に下る尾根を見下ろす)
そして尾根が広がり、じきにたどり着く1010m圏分岐の辺りは3mクラスの立派なブナが点在するまさに別天地。なんですけど、こちらも当然のごとくスズタケが茂っているのでそう易々と散策はさせてもらえません。
そして西へ分かれる↑↑三俣右俣左岸尾根も良い感じに延びていで、二年前の初訪の折りはこちらの尾根が非常に気になっていたのでした。
(う~ん、もう言葉がでません・・・)
(赤沢890m圏三俣右俣左岸尾根下部)
周囲の散策を終え、スズタケを分けつつのろのろと三俣右俣左岸尾根の方に向かえばあとは下るだけなので、スズタケがあっても気は楽です。下り始めは先ほどと同じような雰囲気のブナ林が続いて、やはりこちらの尾根も素晴らしかった。
こちらも奥野歩道が横切る辺りは小さい植林帯があって良い目印になったし、奥野歩道を越えるとスズが薄くなって歩きやすくなったのも嬉しいというかホッとしました。
(赤沢で見かけた幹周り7m超のカツラの大木)
そして赤沢の水流が見えてきた所で右へ降りると、そこは先ほど休憩した890m圏三俣。頃合い的にはお昼なんでしょうけど、さすがに藪潜りが続くと時間がかかりますね。とりあえず時間の読める赤沢の出合まで下ることにして、赤沢を下ると、
途中で↑↑こんなカツラの大木に逢えたのはこの日最大の収穫でした。ボクの両腕広げた状態で四抱え以上、7mオーバーの立派なもので、周囲を植林に囲まれているのがちょっとかわいそうに見えるかも。でもボクが世附に入って一番不思議だったのが沢に立派なカツラが全く見当たらない事だったんですど、まさかこんな形でカツラの大木に出逢えるとは本当に意外でございました。
(赤沢 バケモノ沢<地蔵沢>出合)
そんな想定外の出逢いもあったせいで赤沢出合に着いたのは13時ちょい前。これは帰りのバスのことを考えるとあまり宜しくない時間なので、ささっとダニチェックをしてから軽くランチをとり、再び歩き出します。
ここから先は二年前に歩いた時と同じルート。15分ほどで水晶谷出合に着いたら、そのまま中間の畦ヶ丸南西尾根に取り付きました。
(畦ヶ丸南西尾根<水晶沢右岸尾根>下部西側の緩斜面)
南西尾根の方は二年の間にスズタケが薄くなったようで、初訪の折りはちょっとイヤだなぁと思っていた取付からしてスムーズだったのが少々意外でした。
そんな急登をこなして1000m圏の広尾根に這い上がれば、あとはテーブルリッジと呼びたくなるような緩やかな尾根歩きが続きます。
(南西尾根・中部は緩やか)
でも尾根上は思ったよりはズスタケが残っていたものの、先ほどの赤沢周辺に比べればもうさして気にならない程度で、そんな中をゆるゆると自然林を愛でながら畦ヶ丸へ向かったのでした。
そうそう畦ヶ丸からは久しぶりに西丹沢へ下ったんですけど、訪れていなかった間にリニューアルした自然教室に寄るのがこの日の第二の目的だったのに・・・開いているのは16時半までなんですね。ざむねん。一度15時ぐらいまでに降りられるようなショートコースを考えないといけないですね。。。
(南西尾根上部・畦ヶ丸をバックに)
しかし最後は残念でしたけど、再訪したバケモノ沢流域はやはり凄かった。はっきり言ってバケモノ沢流域やイデン沢(菰釣沢)流域などの世附の残されたブナ林を見ずして今や丹沢のブナは語れなくなっていると思います。ほんとうに。
甚だ自分勝手ないい方なのは承知の上ですが、個人的にはスズタケとマダニが「森の番人」となって訪問者を選んでいる状況が一番都合が良いと思っているんですけど(笑)、世附でもスズタケの枯死が徐々に進んでいるのを見ると、この状態もあと10年も保つか保たないかでしょうね。とにかくスズの残っているうちに赤沢や大界木山南尾根周辺は枝尾根の一本一本まで丁寧に歩いてみたい、というか歩かなければいけないなぁ。。。(^^)
・・・・・☆
◆ 2011.02.26 (Sat) 快晴
相模湖駅 06:30→ 三ヶ木 06:45/06:55→ 月夜野 07:35/07:50→ 下善の木 08:30- 水晶橋 09:00- 城ヶ尾峠 09:45- 赤沢890m圏三俣 10:45/11:00- 大界木山南尾根 11:50- 赤沢890m圏三俣 12:30- 赤沢出合 12:50/13:05- 水晶沢 戸沢出合 13:15- 畦ヶ丸 14:50/15:00- 善六ノタワ 15:30- 本棚沢出合 16:00- 西丹沢自然教室 16:30
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