奥世附歩道の探訪 その2・樅ノ木沢の右俣と左俣の間をのろのろ
(奥世附歩道・1192m峰北鞍部附近)
さてさて、12月に入ってまだまだ暖かめとはいえそれなりに寒くなって、ようやく世附(世附川流域の山山)の山遊びが楽しい季節になりましたネ。(^^)
ということで日曜日(12/12)は4月以来となる奥世附歩道の探訪。今回は梅ノ木沢からではなく、金山沢と水ノ木沢の中間尾根上部の1192m峰北鞍部から西へ辿ってみたのですが、結果から云うとここまでは行きたいなと目論んでいたビリ沢歩道(樅ノ木沢ノ頭南尾根)どころか、樅ノ木沢ノ頭(1306m峰)へ突き上げる樅ノ木沢の左俣までもたどり着けずに、その二つ程手前の枝尾根までなんとか辿ってきました。
(朝の甲相国境稜線)
先の週末は土曜に野暮用があってバスで道志に入れなかったので、今回もリッチに都留市からタクシーでスカイバレーキャンブ場の入口まで入って(¥8190)からのスタート。
先月の紅葉の時期は別のキャンプ場ですけどそれはそれは大盛況だったのに、この時期にしてはかなり暖かめとはいえさすがにこの日は誰もいません。さっそくクッキリ綺麗に見える富士を励みに前ノ岳~ブナノ丸へ上がったのですが、気になっていた雪はブナノ丸近くになってちょこっと出てくるぐらいでした。
(1192m峰北鞍部附近の緩斜面)
ブナノ丸からは甲相国境稜線を西へ行き、金山沢と水ノ木沢の中間尾根のピークに着いた所で、目の前に見えるbさん呼称「いいくに山」(1192m峰)を眺めつつ奥世附歩道の通る北鞍部へ下ります。
じきに1192m峰北鞍部に降り立ったら、尾根を横切る奥世附歩道のかなり薄い道形を確認。今回はタクシーのお陰で早く登り出せたのでまずは北鞍部東側(水ノ木沢側)の緩斜面をゆるゆる散策してみると、周囲の林自体は若干荒れている印象ですけど、想像通りのゆっくりしたくなるような自然林の広がる素敵な所でした。
(最初こそそれなりに道形を確認できたが・・・)
そんな光景を目の当たりにするとこのまま東へ引き込まれそうになりますが、今回は訳あって??奥世附歩道を西へ行きます。
歩道を辿り始めると歩き出しこそ道形らしきものがあったものの、間もなくの枝沢を渡り終えると例のごとく判別しづらくなり、斜面は徐々にスズタケが深くなってきます。
(樅ノ木沢右俣1140m圏二俣)
それでもこの辺りはまだ何とかわかるような箇所もあって、スズや倒木を乗り越えつつ手持ちの施業図に近い形でのろのろ行くと小一時間程で樅ノ木沢の右俣に飛び出しました。
そこは1150m圏二俣のすぐ下で、そこから「道形らしきもの」を右岸に沿ってひと下りで出る二俣が1140mの二俣。ここは明るく小広い所で休憩もそこそこにまずはダニチェック。でもさすがに寒いせいかダニは殆どついていないことに一安心して、それから顔を洗ってようやく休憩です(笑)。
(奥世附歩道の道形は本当に少ない)
左に大岩の塞ぐ沢を見上げると空は真っ青で爽快。本当に気持ちが良いです。でも爽快な気分になったのは天気が良いだけじゃなくて、久しぶりにズスタケにまみれながら歩いたので気分が少々昂揚していることもあったのでしょうね。
まぁダニが少ないとわかればあとは道形が薄かろうと、スズが煩かろうと、倒木が多かろうと個人的には無問題。(^^) ここから先も道形は殆ど消滅しているので施業図に近い形でトラバースしてきます。
(モミの美しい枝尾根を横切り)
(偵察途中に見つけた露岩より1192m峰)
とはいえ藪に倒木が煩い上に、今回は歩道のトラバースなので横切る枝沢・枝尾根を一つ一つ確認しつつ、高さを確認するために枝尾根を少し上下して偵察したりもするので、元々進まないのがより一層進まないのはまぁ当然と云えば当然の話。
おかげで↑↑こんな露岩の展望地が見つかったり、基本二次林の中でもちょっと美しい林が見つかったりと、想定外の収穫もあったので、こんなのもまぁ悪いことではないんですよね。
(枝沢に降りると青空とスズタケの緑が美しい)
それでものろのろとしか行けないから、行く先に見えるビリ沢歩道(樅ノ木沢ノ頭南尾根)どころか、ここまでは問題なく行けるだろうと思っていた樅ノ木沢の左俣すらまだ先に見える状態ですでに12時過ぎ。もう三時間もかかってるのかよ(笑)。
まぁ4月の大ダルミ(大樽)から梅ノ木沢までの間だって一時間半かかっていた訳だから想像できなくはないけど、ここまで歩きづらかったとは・・・。
(結局左俣へもたどり着けず、今回はここまで)
平野バスの事を考えると歩道を辿るのは14時がリミットと考えていたんですけど、とてもとても。藪潜りが続いたおかげでご飯も食べられず、かなり疲れてきたので、結局左俣の二つ手前の尾根(樅ノ木沢右俣970m圏二俣左俣1070m圏二俣左俣左岸尾根・笑)で今回は打ち止めにしました。
でも打ち止めとは云ってもここから国境稜線まで上がらなければ平野へ帰れないので、急な藪尾根をもうひとがんばり。奥世附歩道から稜線までの標高差はまぁ知れていて、30分ほどで国境稜線に這い上がりました。
(かなり急な枝尾根を詰めていきます)
這い上がった所は樅ノ木沢ノ頭のちょい手前。でもここって今朝、国境稜線から降りた所から15分ほどで歩ける距離なんですよね。それをを5時間近く掛けて迂回してきたとは・・・我ながらなんともアホアホです(笑)。
それでもこういう歩きの後は妙な爽快感があってこれはこれで良いものです。気分が落ち着いたら入念にダニチェックをして、ようやくランチにありつき、あとはヘロヘロになりながら平野へ向かったのでした。
(甲相国境稜線・樅ノ木沢ノ頭附近)
そうそう、この日は予定より早く下山したので山伏峠を下った辺りから高速バスの予約をしたんですけど、「席は取れるモノ」と思い込んでいたら16時台の旭日丘発はおろか、なんと17時台の平野発の終バスまで満席だったのは全くの想定外でした。
こんなのは初めての出来事だったんですけど、バスの台数を減らしたのか単に利用者が増えたせいなのか。理由は今のところわかりませんが、早めに下山したお陰で16時前の吉田行き路線バスにに乗れたのは幸いで、これでこの日平野の終バスをあてにして行動していたら大変なことになっていました。まぁそうなっても石割の湯へ行ってヒマを潰せば良いと言えば良いんですけどネ。
奥世附歩道・・・当然の事ながらすでに廃道状態で、これまた当然の事ながら全く万人向けではありません。歩くのはもちろん個人の自由ですけど、歩くにあたっては「地形図とコンパスのみ」で確実な地形判断をできることが必須のスキルです。そして廃道歩きは後々のフォローのことを考えると尾根・沢・藪などの総合的なスキルも求められる、と心得てください。相変わらずしつこいぐらいに余計な世話を焼いているだけなのかもしれませんが、念のため。
・・・・・☆
◆ 2010.12.12 (Sun) 晴 時々 曇
スカイバレーキャンブ場入口 07:20- 前ノ岳 08:10- ブナノ丸 08:30- 1192m峰北鞍部 08:55/09:10- 樅ノ木沢右俣1140m圏二俣 10:20/10:40- 樅ノ木沢左俣手前の尾根 12:45- 甲相国境稜線 13:15/13:45- 石保土山 14:15- 山伏峠 14:50- 平野 15:45
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コメント
ハッピーさん、
4月の初訪の折りの大ダルミから梅ノ木沢の間もかなり時間がかかっていたので覚悟はしていたんですけど、実際辿ってみるとチトしんどかったですね。まぁここより西の一部区間では実際の道形が無くても判断の楽な箇所もあるので、そこまではこんな状態を楽しむのも良いかなと思っています。
しかしあの名称図は凄い。去年実物を目の当たりにした時、どうしようかとかなり悩んだんですけど、結局ある一定の区画分けをしたらあとは数打ちゃ当たるでバシャバシャとって、その画像を普段は照合しています。でもこれを一枚にまとめる気力は正直・・・無いですね(笑)。
投稿: komado | 2010.12.18 23:02
かずさん、
個人的にはスズタケは嫌いではないけど、やっぱりダニあまりつかないと安心して歩けますね。今回楽しんで歩けたのはスズがそれなりに疎であったこととダニが殆どいなかったことにつきると思います。
> 枝尾根をやりだすともうマニアを越えて変態の領域?
いや、やっぱり変態でしょう(笑)。
でも変態は変態でも、かつて高円寺百景の小森慶子さんがバンド加入時にリーダーの吉田達也さんのことを「吉田さんは素敵な変態だ」と言っていましたが、できることならそう言われたいですね。
投稿: komado | 2010.12.18 22:48
komadoさん
丹沢訪問はずいぶんお金と時間がかかるんですね~
タクシー代8190円をお一人で!もしかして高給取りの方?(笑)
今回も電子国土をプリントして辿ってみましたが、
見るからに大変そうな所を歩かれたんですね。
これは時間がかかるでしょう。
少しずつつなげていく楽しみですね。
「西丹沢頂稜河川土地名称図」にも奥世附歩道は記載されていますね。
ちなみに、この名称図のことはこちらのブログから知りました。
実物も見ましたが、友人が8倍に拡大してくれたものが
見やすくていいです。
投稿: ハッピー | 2010.12.16 18:46
15分のところを5時間!!!く(""0"")>
僕だったら、「何やってんだかな~?」って大笑いしてしまうでしょう。
僕も藪こぎしていると、時間を忘れます。
楽しいんだか、苦しいんだか…よくわからんとです。まあ、時間を忘れるくらい楽しいってことかな。
歩き終えた後の爽快感…。苦労して歩いた者だけの特権でしょう!
ほとんど道形の無いところだと、道形を見つけた時の喜びは数百倍だよね。
僕もやってみたいなあと思ったけど、こりゃあかなり厳しそうだ~。
枝尾根をやりだすともうマニアを越えて変態の領域?一緒にするなってか~!(笑)
投稿: かず | 2010.12.16 18:10