錦繍の世附・大栂東面からイデン沢の懐へ
(城ヶ尾歩道・大栂北東尾根を横切る辺り)
それなりに涼しい日が続いているせいかここへ来て紅葉の進み具合が早くなってきて、先の週末で1000mあたりでしょうか。日原でこのレンジはかなり悩んでしまうんですけど、よく考えてみるとこのレンジってちょうど城ヶ尾歩道のラインじゃん!って事に気がついて、日曜(11/14)は半年ぶりとなる世附(世附川流域の山山)でした。
と言う事で今回はサガセ西沢から菰釣山に上がり、大栂へ南下した後、大栂の短い北東尾根(これもイデン沢900m二俣中間尾根になってしまう・・・)を下って城ヶ尾歩道に。それからまずは北のイデン沢(菰釣沢)1000m二俣まで歩道を辿ってから引き返して、一月の初訪の折りに雪で今ひとつわからなかった大栂東尾根(イデン沢780m圏二俣中間尾根)までの歩道を確認しつつトレースし、東尾根に上がったらまた引き返して、途中から適当にイデン沢に降り、沢伝いに900m圏二俣右俣に入って今回も大ケヤキの緩斜面へ。それから再び城ヶ尾歩道をシキリ尾根まで辿り、シキリ沢右岸尾根を下降。忍橋に降りたら地蔵平に出て、西尾根を伝って屏風岩山へ登り返し、東尾根を下って大滝橋へ出る、という文字面だとかなりややこしいコースを世附の紅葉愛でつつのんびりと歩いてきました。
(菰釣山から大栂への道すがら)
今回は日曜という事もあり久しぶりに大枚はたいて都留市からタクシーを走らせ、なんとサガセ西沢ゲートまで(¥8090・ツルタクシーさんありがとう。そして教えてくださったKさんありがとうございました!)出てからのスタート。そのおかげで菰釣山に着いたのも8時過ぎと・・・これって普段ならまだバスの車中にいる時間ですよっ!
さすがに山頂附近は落葉寸前の状態でしたが、天気は今ひとつながら山頂からは富士や南アがクッキリと見えたのは意外でこれは幸先が良いカモ。少し休んだらさっそく南の大栂へ向かいます。
(大栂より菰釣山)
シキリ尾根はもちろん素晴らしい尾根だけど、菰釣山の南尾根だって大栂までは負けずに素晴らしい所です。毎度のごとく周囲のブナにひかれて、ついつい寄り道しながら降りていく感じになってしまうのはもうしょうがないですね。
そして降りていくにつれ紅葉も徐々に復活。まぁ枯れかけのブナだって大まかに言えば紅葉の類だし(笑)、コハウチワは終わりかけだったものの、コミネカエデの真っ赤に色づいた紅葉が多くて道中はなかなか見応えがありました。
(大栂北東尾根・若いイヌブナが多い)
そして大栂に着いたらまた一休みして(笑)それから短い北東尾根の下降に移ります。この尾根は短いながらも周囲から見るとなかなか優美に見せていて気になっていたんですけど、意外や尾根上は若いイヌブナが多いですね。これはすぐ下に城ヶ尾歩道が通っていることと無関係ではなさそうです。
でもここは尾根上よりも尾根の両サイドの林に紅葉が本当に素晴らしくて、できることなら晴れて欲しかった。それに尾根上のスズタケこそ薄かったものの、なぜかお約束のダニがひっついてきます。でも大栂までの道の方が藪は濃かったのにダニなんてつかなかったぞ。この差はいったい何なのか・・・本当に不思議だ。
(大栂北東尾根のひとコマ・Part2)
(イデン沢<菰釣沢>1000m圏二俣・黄葉はチドリノキ)
当初はスズタケが薄かった尾根上もイデン沢の沢音が聞こえてくる頃から徐々に濃くなってきますが、それでも程度としては知れたもの。途中立派な大モミを見つけたりとなっかなかスムーズに降りさせてもらえません。
それでもじきに明らかな切り開きとなっている城ヶ尾歩道に降り立つと、歩道からイデン沢の斜面もまた見事な紅葉に覆われていて、ビックリするやら嬉しいやら。沢に沿って黄色に彩るチドリノキはもちろん見事なんですけど、目をひいたのはメグスリノキの赤。高木ばかりでうまくカメラに収められなかったのは残念でしたが、まさか世附でここまで赤を楽しめるとは想像以上でした。
(城ヶ尾歩道・大栂東尾根へ向かう道すがら)
城ヶ尾歩道に出たら、まずは北の1000m圏二俣へ向かってから来た道を戻り、チドリノキの見事な黄葉輝くケヤキ並木の中にあるケヤキのご神木さん?にももちろんご挨拶。そして「大栂南東尾根から派生する尾根群と大栂から直接派生する尾根群を分ける沢」に着いたら、ここから一月の初訪の折りに雪でうまく探せなかった大栂東尾根までの歩道をトレースすべく登り返します。
さすがに雪がないとこちら側にも道形はそれなりにあって、きちんと辿れて拍子抜け。実際の歩道は一月に下った箇所よりも一段下を通っていました。
(大栂東尾根1050m圏附近)
結局先ほどの沢から20分とかからず大栂の東尾根に到着。ここから東尾根を忍橋まで下るのはさすがに早すぎてあんまりなので、またまた来た道を引き返し(笑)途中からは城ヶ尾歩道からも外れて、緩斜面を拾いつつ適当にイデン沢へ。
このイデン沢へ降りる箇所も、ブナにケヤキ、イタヤカエデなどの立派な木々が見られてなかなか素敵な雰囲気でした。
(イデン沢940m圏二俣右俣を行きます)
(今回も大ケヤキでランチ ^^)
そしてイデン沢に降りたら城ヶ尾歩道へは戻らず、沢伝いに900m圏二俣の右俣に入り、一路大ケヤキへ。そおいえばイデン沢も城ヶ尾歩道もかの豪雨の影響があまりないことに実はこの辺りでようやく気がついたんですけど、ホントそんなことを思い出させないほど荒れている様子がないんですよね。
というわけで大ケヤキの緩斜面も変わった様子はなく、今回もここでランチと相成りました。(^^)
(メグスリノキ)
(城ヶ尾歩道のコル<イデン沢840m圏二俣中間尾根>)
ランチを終えたら、緩斜面を適当に上がって斜面を横切る城ヶ尾歩道を捉え、歩道を東へ辿ります。
ここから先も荒れている箇所は以前から荒れていた箇所で、豪雨後に荒れた箇所はほぼ皆無。もちろんスズの煩い箇所もあるけど、ここも対岸や山肌に見える紅葉がとにかく見事で、そんな様子にか細い歩道をついついよそ見しながら歩いちゃうから、危ないことこの上ありません。
(オオモミジ)
(シキリ尾根に上がりました)
そしてシキリ尾根に上がったらあとはもうお馴染みのルートで、すぐ先のシキリ沢の源頭ピークまで降りてからシキリ沢右岸尾根の方に入ります。
右岸尾根の方は途中の植林帯に手が入ったおかげで明るくなっていて驚きましたが、これは嬉しいことですね。紅葉は右岸尾根ももちろん楽しかったのですが、意外だったのが富士見林道に降り立ってから忍橋へ戻る間の赤の多さでした。
(ウリハダ・・・ではなくホソエカエデ)
ここでようやく出てきたイロハモミジに、真っ赤なウリハダだなぁと思っていたのは実はホソエカエデ(念のため落葉をカメラに収めておいて良かった)で、そして橋の奥にはメグスリノキ。豪雨後の様子見で立ち寄っただけなのに、忍橋は富士見林道で一番赤を楽しめる所?なのかも??
そして忍橋から地蔵平へ向かうと、土砂や倒木が道を埋めている箇所かいくつかあって、ここまで下るとさすがに豪雨の影響が垣間見られます。富士見林道は去年からずっと改修をしていて、忍橋の手前辺りは簡易舗装まで施されていたのに、それもこの豪雨で残念ながらおしゃかの様相です。
(富士見林道は豪雨の爪痕が深い)
林道は酷いことになっていたけど、それでも頭上の紅葉・・・特にイロハモミジはどれも綺麗に色づいており、植林の多い地蔵平の辺りも、その赤が周囲をいい具合に彩りを添えて良い雰囲気でした。
さて地蔵平に着いたのが14時30分。この時間だと日の短い今の時期は道志歩道(さかせ古道)か大杉歩道で細川橋に出るのが穏当な線なんですけど、今までの紅葉の良さに欲張りしたくなって結局 屏風岩山へ登り返してしまいましたー(笑)。
(屏風岩山西尾根のひとコマ・Part1)
(屏風岩山西尾根のひとコマ・Part2)
屏風岩山西尾根ももちろん紅葉は盛りで、しかも時折晴れ間も出てくるようになったのは神の御業なのでしょうか。そんな光景に出逢えたことに感謝しつつ、後は日没との競争をしつつ東尾根を駆け下ったのでした。
去年、紅葉の時期にシキリ尾根を下ったときは赤が本当に少なかったので、実のところ今回赤は全く期待してなかったんですけど、実際に歩いてみたら先週のタワ尾根以上に赤を楽しめた一日になったのは全くの想定外でした。でもこれで晴れていたら最高だっただろうな・・・。来年こそはそんなタイミングで紅葉を楽しみたいですね。
・・・・・☆
◆ 2010.11.14 (Sun) 曇(薄日もちょこっと)
サガセ西沢ゲート 07:25- 菰釣山 08:15/08:25- 大栂 09:05/09:20- イデン沢1000m圏二俣 10:05/10:10- 大栂東尾根1050m圏 10:30/10:35- イデン沢940m圏二俣右俣の緩斜面(大ケヤキ)11:30/12:15- シキリ尾根1030m圏 12:55- 忍橋 13:45/13:55- 地蔵平 14:30/14:40- 屏風岩山 15:45/15:50- 大滝橋 16:50
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コメント
Kさん、
ご無沙汰しております。
そして今まで使わなかったこともありますが、お礼が本当に遅れてすみませんでした。
近況報告ありがとうございます。中津川や両神の方は物理的に遠いこともあってなかなか縁遠くなってしまいましたが、あの辺りは見た目にもひかれる奇岩等も多くて、面白い山域ですよね。あの辺り、もう一度アカヤシオの時期に歩こうと思いつつそのままになっちゃってます。
気がついた事や情報など今後も本当に気の向いた時で結構ですのでお話聞かせてもらえると嬉しいです。(*^-^)
投稿: komado | 2010.12.12 23:45
いつも楽しく拝読しております
都留タクシーのHさん、本当に親切で優しい方です 宝鉱山方面とかあちこち運んでいただいております(その度に、「悪路だから、もう行かないよ」とおっしゃいますが、なんのその、富士急タクシーのエリアでなければどこへでも!)
今年は夏休みもとれず(天候も安定しませんでしたが)、やっと秋半ばから週末の好天を狙って、秩父中津川方面へ4回出かけました
日帰りメインですので早朝5時に車で都心を出発し、登山口8時 (帰宅は深夜になる事も。。。)
秩父槍からしゃくなげ尾根、狩倉尾根、赤岩尾根。。。
こまどさんの記録を辿りながら、楽しみました
以上 近況報告まで いつもありがとうございます!!
投稿: Kです | 2010.12.10 23:04
ハッピーさん、
図説がなくて本当にスミマセンです。GPSや高度計とは全く無縁の上にPCで地図ソフトも使っていないという山関係は写真と記録以外ほとんどアナログな人間なもので。。。まぁその辺りも皆さんの想像力にお任せしていると好意的にとってもらえると嬉しいです。o(_ _)o
イデン沢の辺りは地形図で見るとおり緩やかな箇所が多くて本来でしたら「和み系」なのでしょうけど、かなり枯れてきているとはいえスズタケはまだ健在だし、ダニの存在は避けようがないから、その辺りをクリアできる人だったら本当に楽しめる所だと思います。ハッピーさんも機会があったらぜひ。(^^) そうそうメグスリノキはカエデらしくなくてわかりやすいですよね。でもボクは花は花が咲かないとわからないし、紅葉だって色づかないと興味が行かない。緑の頃の木々を見て紅葉の時期を想像できるようになりたいものですね。
投稿: komado | 2010.11.22 20:05
komadoさん
一度、訪問したのですが、もう一度じっくり拝見してから
ご挨拶しようかと・・・(笑)
記事と地図をプリントして足跡を辿りましたが、
この辺はほとんど歩いていないので、
イマイチ分からないところがあります。
でも、大ケヤキのある尾根は分かりましたよ、たぶんですが。
この辺を自由自在に彷徨うことがお好きなんですね。
私も機会を作って行ってみたいな~と思いました。
何年か前、カエデ類に挑戦したことがあるのですが、
もう忘れてしまいました。
コシアブラやメグスリノキは、分かりやすくていいですね(笑)
投稿: ハッピー | 2010.11.20 01:42
かずさん、
ふふ。今回植林帯を歩いたのはトータルで一時間なかったと思います。(^^) でも世附の山というのは昔から山に人間が入っていた山でもあって、植林が多いのは結局その名残でもあるんでしょうね。
でもそんな難を逃れたと言うか残された自然林は今となっては丹沢でも超一級のもの。そんな自然林と二次林が融合して今の世附の姿になっているのだと思います。今年は長年課題になっていたカエデの類も随分覚えて、そう言う意味でも楽しい秋でしたね。せっかく一万ナンボもだして図鑑買ったんですから、役立てないとね。
投稿: komado | 2010.11.18 23:11
zioさん、
珍しく?菰釣山だったんですね!
そうですあそこは三角点より大栂の辺りまでがブナの立派な木々も多くて(もちろんスズタケもついてきますが)、丹沢でも出色の美林地帯だと思っています。
とにかく菰釣山って一般には丹沢をひと通り歩いて最後に残る山、みたいなイメージを持っていますが、個人的には南面のブナ林を見る度に実は丹沢の名山であると言う思いを強くしています。これはこの場でもう何度も言ってることなんですけど、世附もあと10年もすればスズタケも枯れて今の日原のようになってしまうでしょう。そしてそうなると今の日原のように世附の残された自然林がクローズアップされて歩く人がグッと増える、そう確信しています。今の世附は一昔前の物好きしか入っていなかった頃の日原を思い出すのです。
投稿: komado | 2010.11.18 23:00
ba_sobuさん、
ああやっぱり南の方も紅いのが多いんですね。去年はブナにあわせたから下の方はほぼ緑。同じ日シキリ尾根を歩いていたら去年とはまた違った光景が見られたのかも、とお話を聞いて思いました。
メグスリノキはこの日のヒットでした。こやつは比較的立派な大木も見かけますけど、こちらでもぼちぼち。でもいろいろ考えると曇っていたのがとにかく惜しいというか恨めしいというか。ちょっと悔しくなってくる気持ちもあるんです。
投稿: komado | 2010.11.18 22:45
チドリノキに、メグスリノキなどなど、おもしろい樹名が並んでますね。
一つ一つの樹木の名前が分かるようになると、モミジ狩りがさらに楽しいの~?っていうか楽しそうだし~。
植林のショの字が一つも入って来ないところがええですね。
その辺は、こだわっているところなのかな?
僕の場合、植林を見ないことのほうが少ないかも。(笑)
僕が歩いた前道志のお隣の山域でこれだけの紅黄葉だっていうのが夢みたいです。
歩いた気分になって、モミジ狩り疑似体験して楽しみました。
投稿: かず | 2010.11.18 21:15
こんばんわ。
次の日(16日)に当たるでしょうか、菰釣~城ヶ尾峠を歩いてkomadoさんが逍遥したであろう森の紅葉を眺めてました。
菰釣の三角点辺りまでは覗いてみたのですが、あの先を進んで行ったのですね。
素敵な場所をご存知で、羨ましいかぎりです。
投稿: zio | 2010.11.17 23:33
西丹沢にはカエデ類が意外に多いのですね
そういえば 織戸峠には赤いのがけっこうあったのを思い出しました。
何も知らなかったので、全てイロハモミジとおもってたのですが
その コミネカエデとか ハウチワくんだったかも知れないです
それからメグスリノキは世附で多いと思いました。
サンショウバラの時 花が咲いていたので気がついたのです。
お写真の赤いのがなかなか立派な木ですね(^-^)
紅葉は都会にも下りてきたとか、うかうかしていると 一気に散ってしまいそう
(モミジ前線は、ことしは出足が悪かったのが、このところ急加速しているそうです)
投稿: ba_sobu | 2010.11.17 22:01
kbさん、
本当紅葉は意外やかなり綺麗でした。
できたらこの日は晴れて欲しかった。ここはいつか晴れた日に紅葉目当てで再訪したいですね。
世附は稜線やイデン沢の上流部こそほぼ無傷でしたけど、さすがに富士見林道まで降りると浅瀬ほどではないにしろ傷は浅くはなかったです。地蔵堂手前の東沢も土砂が流れ込んでいたし、歩きは問題ないけど、車の類は当分ダメでしょうね。個人的にはそれの方が都合が良いことは確かなんですけど、世附の林道が開通するまでにシカが増えまくってなければいいのですが。。。
投稿: komado | 2010.11.17 19:10
西丹沢の紅葉綺麗ですね。
この辺りは先の台風の影響は少なかったようですね。
浅瀬辺りは大変なことになっているようですが。
今年の春先に東丸や椿丸に行きましたが静かな秋も本当にいいですね。
14日は私も丹沢に半年振りに登って来ましたが一般コースで塔ノ岳から鍋割まで。
縦走路のブナはもう枯れ木になって居ましたが表尾根や檜岳山陵の斜面はまだまだ綺麗でした。
山ガール目に付く様になりましたね。
投稿: kb | 2010.11.17 10:49