奥世附歩道から水ノ木歩道へ。その前に城ヶ尾歩道の完歩も。
(奥世附歩道のひとコマ)
先週は城ヶ尾歩道でダニにかなりつかれたというのに、今週も懲りずに世附(世附川流域の山山)の廃道探訪は続いたのでした。(^^)
ということで今回はその城ヶ尾歩道で最後に残っていた忍橋から延びる大栂東尾根(イデン沢780m圏二俣中間尾根)と大栂南東尾根の間を歩き、これで城ヶ尾歩道を一通り完歩。そしてその後に大ダルミ(大樽)から西へ奥世附歩道を梅ノ木沢まで辿り、梅ノ木沢からは水ノ木歩道を完全にトレースして菰釣山林道~菰釣橋へ出るコースを歩いてきました。
(菰釣山からの下りしな)
今週も三週連続で相模湖駅から道志の下善の木に出ましたが、晴れの予報も実際には雨上がりの曇りというなーんか先週と同じような感じ。ダニのことを考えるとちょっと気が重いなぁと思いつつ、これまた三週連続でサガセ西沢経由で菰釣山へ向かいます。
ただこれまでと違うのは山に雪が全く見当たらなかったことで、それはこの先のことを考えると良いんですけど、やっぱりスズタケは濡れています。それでも予報の回復傾向を信じてまずは南の大栂へ。
(大栂より・バックは菰釣山)
菰釣山から一旦下り出すとスズタケが被るようになるのでもちろん服は濡れるんですけど、前日にしっかりした雨が降ったせいかのかどうなのか、意外やダニはつきません。おかげでスズを分けつつ尾根周辺のブナ美林を楽しみながら歩けます。
大ダルミでこの後歩く予定の奥世附歩道の薄い道形を確認したら大栂へ登り返し、山頂では一息ついただけで南東尾根を下りますが、この辺りもブナの美しい自然林が広がっているので、どうしてものんびり歩くようになってしまいますね。
(大栂東尾根・下りだしかも)
1120m圏のピークで南東尾根と別れて直進するように東尾根に入り、しばらく降りると薄い道形の城ヶ尾歩道が横切る地点に出てここでようやく一休み。心身共に落ち着いたら今回は城ヶ尾歩道の南側へ延びる道形を追います。
道形は比較的明瞭で、すぐ先の沢筋で上がり気味にトラバースする道形と、そのままトラバースする道形とに分かれたのですが、とりあえず明瞭な上がり気味の道形を選んだら、それは途中で薄くなりながらも自然林の中を行き、少々の藪のみで難なく南東尾根に到着。
(城ヶ尾歩道・東尾根からの歩き始めはごく薄い道形あり)
(この辺りは道形が判断できる)
ただ、辿り着いた南東尾根の位置が施業図と違って少し上の方に出た感じなので、とりあえず南東尾根を下ってみると、まもなく「平97」の石標がある尾根の肩に出て、そこからは施業図(第3次国有林野施業実施計画図)の記載通りに城ヶ尾歩道が北へ延びていたのでした(笑)。
なので今度は城ヶ尾歩道を逆にを南東尾根から北へ辿ります。道中スズタケが被ったり、道形が薄い箇所もありましたけど、途中で立派なブナを見てなおも西へ行くと、先ほど間違えた明瞭な道形と合流。これでようやく城ヶ尾歩道を一通り完歩できました。(^^)(^^)
(城ヶ尾歩道の終点?である大栂南東尾根の直前)
(大栂南東尾根・この日のランチ場)
城ヶ尾歩道の完歩という一つ目の目的が達成されたら、次は奥世附歩道です。とはいえもうお昼時なので一度南東尾根に這い上がり、ダニチェックをして(少しついていた)からブナの美しい平地でランチ。
でもこの辺りも一昔前まではスズタケの密叢地だったのでしょうね。こうやってのんびりできるようになっているのが、日原と同様に果たしていい事なのだろうかと言う疑問は少なからずありますけど、大栂周辺も本当に素晴らしい所だと思います。
(奥世附歩道・歩き出しこそ薄い道形を確認できたが・・・)
ランチを終えたら大栂へ登り返し、北へ下って大ダルミに戻ります。ここから西へ薄い道形が延びているのが奥世附歩道で、施業図によると大ダルミから甲相国境稜線の上部をただひたすらにトラバースして要所小屋ノ頭直下の山伏歩道まで延びている歩道です。
ただボク自身、過去にビリ沢歩道など樅ノ木沢周辺の尾根を上り下りしているときに、その横切っているはずの奥世附歩道の道形を確認できなかった事からもわかるように、こちらは廃道どころかすでに道形自体が自然に還っている箇所もかなり多そうな感じではありました。
(徐々にスズタケが濃くなり・・・)
なので大ダルミ側の薄いながらも道形らしきものを確認できたことが、実は少々意外ではあったんですけど、いざ辿り始めるとスムーズに道形を追えたのは枝尾根を越え、ザレ場を越えてしばらく行った所まで。
そこから先は徐々にスズタケが濃くなって道形が不明になった、と言うよりスズタケの中にそれらしきトラバースしやすい筋というか、獣道というか一部仕事道の跡なんかも通ってそれが交錯して、正直どれが本当の奥世附歩道なのかわからない状態になっていました。
(この辺りでは獣道と交錯して判断が難しい)
こうなったらあとはスズの中進みやすい箇所を選びつつ、小刻みな上下を繰り返しながら施業図に近い感じでトラバースするしかありません。
この辺りではさすがにダニがぼちぼちひっつきましたが、先週のようなこともなく、スズタケの中をのろのろ突き進み、ザレた沢筋を慎重に越えていくと、ようやく梅ノ木沢とその右岸尾根が間近に目に入るようになり、そしてこれまたようやく梅ノ木沢に飛び出しました。
(ようやく梅ノ木沢に飛び出しました)
飛び出したのは1150m圏辺りでしょうか。ここより上流側は大変急峻で歩道の横切る余地はなさそうな感じ。なのですぐ下の少々小広いテラスに降りてみると、そこから先の梅ノ木沢右岸尾根側へ道形らしきものが延びていました。
ということは実際よりちょっとだけ上をトラバースしていたのか、歩道の通りにトラバースできていて、沢に出た所で歩道もひと下りするのか、それは今となってはもうわからないんでしょうけど、ほぼ外さずに歩けたことがわかったのがちょっと嬉しかったです。
(水ノ木歩道??梅ノ木沢980m圏あたり)
とはいえ奥世附歩道がそんな感じでしたから、時間もかなりかかってこの時点ですでに14時半。菰釣橋に車を置けるような特別なヒトとか(笑)、車で道志側にからでも入ってない限り、帰路のことを考えると先週以上によろしくない時間です。
とはいえ今回はこの先も予定通りで、ここから梅ノ木沢というか水ノ木歩道をそのまま下ります。施業図によると水ノ木歩道は菰釣山林道から水ノ木沢沿いを北へ梅ノ木沢出合までで道が途切れているのですが、それが西丹沢頂稜河川土地名称図だとその出合からなおも梅ノ木沢沿いを遡り、奥世附歩道に接合する破線が記されているので、おそらくここからが水ノ木歩道の「始まり」なのでしょう。
(梅ノ木沢910m圏二俣・大ダルミへ繋がる右俣の滝)
なのでまずは梅ノ木沢を下りましたが、短いながらもナメ滝の多い、明るく、快い沢ですね。実際に下っていると高い滝もありましたけど、それも難なく捲けて山靴でもさほど問題なく下れました。そしてこちらも道中はハナネコノメがいっぱい。ただこちらでもコチャルメルソウが全く見られず、で世附にはコチャルメルソウが単に自生していないのか、いても稀品なのでしょうかねぇ。。。
なのでルンルン気分で軽快に下っていき、やがて左岸側に見覚えのある↑↑の滝をみると梅ノ木沢の出合はすぐ先。出合で水ノ木沢の本谷(ゼン棚沢)と合わさりましたが、雨後のせいか川幅一杯の水量がなかなか見事です。
(水ノ木歩道・梅ノ木谷出合からは道形あり)
梅ノ木沢出合からは左岸側に植林帯が絡むこともあって、水ノ木歩道の道形もスズタケが被るものの明瞭になります。ただ沢と離れて左岸植林帯の脇を行くのは少し趣に欠けるかも知れませんね。
そして左岸側から次の枝沢が合わさると、ここで水ノ木歩道は右岸へ移ることになっているんですけど、それらしきのが見つからなかったのでなおも沢に沿って下ると、次の滝を前にようやく右岸へ渡る道形を見つけ、そこから高捲き気味にひと登りした所で意外や明瞭な道と合流しました。
(水ノ木沢の枝沢を越えると登山道のように明瞭になった)
道は明瞭ながらも細く、当然のごとくスズタケも被りますが、植林の中、水ノ木沢の右岸をやや高捲き気味にトラバースする感じで延びています。その明瞭さに驚きつつ道を辿っていくと、まもなく1192m峰南東尾根を乗り越し、ここで一旦右岸側からの枝沢に少し入ってその枝沢を渡ると、再び水ノ木沢の右岸側を行くようになりますが、今度はきちんと高捲いてトラバースするようになりました。この辺りは施業図の方は正確だけど、地形図の破線路とはかなり違うので要注意です。
その右岸側の枝沢を渡ってからは「ほぼ登山道」とも言えるたいへん歩きやすい道に変わって、あとはすいすい。もうこのまま菰釣山林道まで行けるのだろうと思っていたら、突然という感じで間伐後の倒木帯に行く先を阻まれてしまいました。
(菰釣山林道に上がりましたが・・・)
これは困ったなと思いつつ、ここで梢越しに対岸の山肌を見るとそろそろ菰釣山林道も近いはずなので、下へ下る薄い踏み跡を見つけてそれを追うと、まもなく明瞭なつづら折れの道に変わって目論見通り水ノ木沢に着地。マーキングを追って水量の多い沢をなんとか飛び石で渡ると、そこは見覚えのある菰釣山林道でした。
この時点で16時前。これでは平野の最終高速バスを捉えるのも当然無理な話なので、このまま林道を下って浅瀬入口BSか、切通峠を越えて山中湖なら旭日丘まで、の二者しか選択肢はありません。しばらく悩んだ末、三週連続で新松田に出るものなんだし、山では見えなかった富士も見たいし、平野から旭日丘までの歩行時間も計っておきたかったので、今回は山中湖側へ出ることにして、長い長い帰路につきました。
(富士山が見たかったから平野へ降りたのです)
それでもお彼岸を過ぎて日が延びましたね。帰りは日没との戦いと思っていたら、実際は切通峠を越えて平野へ向かう所でようやく日没。平野で帰りの最終バスを予約して(実は平野発の吉田行き最終バスに乗れば、旭日丘発最終の高速バスに乗り継げる)、山中湖の夜景を楽しみつつなおも歩いて旭日丘に着いたのは19時過ぎ。
でも思ったよりというか普段よりも疲労感が少なく感じたのは幸いで、これは「山での登り」が行程上かなり少なかったからでしょうか。今回歩きそびれた世附川沿いの林道も一度は通しで浅瀬まで歩いておかなければいけないなぁ、と思いつつ、ようやくありついたビールを一気に飲み干したのでした。(^^)
奥世附歩道・城ヶ尾歩道・・・当然の事ながらすでに廃道状態で、これまた当然の事ながら全く万人向けではありません。歩くのはもちろん個人の自由ですけど、歩くにあたっては「地形図とコンパスのみ」で確実な地形判断をできることが必須のスキルです。そして廃道歩きは後々のフォローのことを考えると尾根・沢・藪などの総合的なスキルも求められる、と心得てください。相変わらずしつこいぐらいに余計な世話を焼いているだけなのかもしれませんが、念のため。
・・・・・☆
◆ 2010.04.03 (Sat) 曇 後 晴
相模湖駅 06:30→ 三ヶ木 06:45/06:55→ 月夜野 07:35/07:50→ 下善の木 08:30-サガセ西沢ゲート 09:10- 菰釣山 10:05/10:15- 大栂 10:45- 東尾根・城ヶ尾歩道分岐 11:00- 南東尾根(平97)11:40-(途中休憩50分)- 大栂 12:55- 大ダルミ(大樽)13:00- 梅ノ木沢 14:25/14:35- 梅ノ木沢出合 15:10- 菰釣山林道 15:45/15:55- 菰釣橋 16:10- 馬印 16:25- 切通沢橋 17:05- 切通峠 17:50- 平野 18:25- 旭日丘(山中湖BS)19:05
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