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2010.02.08

雪の酉谷山・青空と風と共に

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(日向谷右岸尾根・中部まではミズナラが美しい)

いや~二月に入ったらいきなり雪が降っちゃいましたねぇ。今シーズンもほとんど降らないんじゃないかと思っていただけに、普通に考えればごくごく当たり前の事なんですけど、少々意外でありました。

これでは世附の尾根・沢ならともかく廃道探訪となるともう無理なので、まっさらな雪面にトレースをつけるスノーハイクならやっぱり日原かなぁ、ということで今回(02/07)は久しぶりに雪の酉谷山。東日原から酉谷を上がり、懸案となっていた日向谷右岸尾根を辿って長沢背稜/都県界尾根の1702m峰に上がったら酉谷山、そしてタワ尾根を下降するコースを歩いてきました。

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(朝の三又)

しかしのっけからアレですが(笑)E233系は本当に素晴らしい車両です!つい二年程前までは通気性の良い201系の上に、交換の度に扉全開の長時間停車を繰り返されて、体感的には山より寒く、個人的に人権問題とまで思っていた、早朝の青梅線がチョー快適になっていて、奥多摩までの車中はもはや感動的ですらありました。

そのせいかどうかわかりませんが、日原行きの一番バスも真冬にしてハイカーが多い印象。朝も想像よりは暖かく、ストレッチを終えたらさっそく歩き出します。

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(酉谷・トレースはあったが半分以上は埋もれていた)

小川谷林道の方は圧雪4割、地肌が出ているのが6割といった感じで至って歩きやすく、一面の雪景色にワクワクしたせいか、ボクにしてはかなり早いペースで林道の終点まで行ってしまいました。

そして酉谷の登山道に入ると降雪直後に入ったと思しきトレースがありましたが、急斜面をトラばる箇所をはじめ、道中の半分以上は乾雪のおかげで道が完全に埋もれている状態。今しばらくは夏道を熟知した人向けでしょうね。でも積雪自体は深くても膝下ぐらいで、酉谷の雰囲気の良さと相まってトレースをつける作業が本当に楽しいです。

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(旧酉谷小屋附近)

そんな中、せっせとトレースをつけながら歩いた割には一時間ほどで旧酉谷小屋跡に到着。その左岸側に延びている尾根が目的の日向谷右岸尾根で、一息ついたらさっそく尾根に取り付きました。

登りだしこそ尾根が急で雪にずるずる滑りながら登る感じでしたが、それを登り切るとその先は思ったよりは緩やかで、ふと見上げると若いミズナラたちが青い空一面に枝を伸ばしていて、それは見事な光景でした。

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(日向谷右岸尾根・ここまで来ると縦走路は近い)

やがて尾根上に枯れたスズタケが現れると、それと同時に尾根を通る風がかなり強くなり、強風がゴウゴウ鳴っている中をひたすらに登っていく感じになります。

尾根の中間を過ぎると、素敵なミズナラ林から徐々にカラマツ植林が混ざるようになり、全面カラマツ林に変わったところであっけなく尾根を横切る縦走路に飛び出しました。んが、驚いたことに縦走路の方はトレースがありません。

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(矢岳と秩父市街を見下ろす・1702m峰附近より)

晴れてはいるものの風が強くて寒いし、もうお昼も近いのでこのまま避難小屋へ逃げ込みたかったのですが、やっぱり尾根を登りだしたら最後まで、ということでもうひと頑張りして1702m峰へ。しかし稜線は氷点下の北風がマトモに吹き付ける状態で、ほうほうの体で西の避難小屋へ逃げ込みました。

酉谷山の避難小屋は改修完了後初めての訪問。南向きの小屋には日が燦々と降り注ぎ、中は2℃でも体感的にはぽっかぽか。小屋からは富士も望めて、相変わらず素晴らし過ぎる小屋ですネ。

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(酉谷山避難小屋・改修完了しました)

おかげでこんな荒天にもかかわらず、展望を楽しみつつのんびりランチに休憩ができて、この日ほど避難小屋のありがたさを感じた事はありません。<(_ _)> <(_ _)>

休憩を終えたら酉谷山を目指しますが、縦走路にトレースがないのですから当然稜線にもトレースはなく、稜線へ上がる所からしていきなり膝上の吹きだまりを乗り越える展開。

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(酉谷山山頂より)

それでも強風のお陰か雪が風で飛ばされている箇所もあって、できるだけ雪の浅い所を選びつついきましたが、それでも普段の倍はかかってようやく酉谷山の山頂に辿り着きました。

山頂も当然寒いので、南側で展望を楽しみつつ少し日向ぼっこをしたら、そのまま西へ下り始めます。

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(行福ノタオ附近・膝上ぐらいの吹きだまり)

雪を蹴散らしつつ、そして乗り越えつつ下っていき、縦走路と合流する辺りは↑↑こんな感じになってました。それでも縦走路は基本、稜線の南側を捲くので積雪は平均すると20cmぐらいでしょうか。

それに一旦南へ捲き出すと風が来なくなるのもホッとする所。あとは周囲の自然林を愛でつつヘロヘロ西へ行き、タワ尾根を乗越す所まで来たら、一息ついて下降に移ります。

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(タワ尾根上部・雪はあまり多くない)

タワ尾根もトレースこそなかったものの、上部は黒木が多いせいか積雪は少なめ。ただ露岩と絡んで滑りやすく、モノレールの軌道も邪魔でこれはこれで歩きづらいかも(笑)。そして大京谷ノクビレからウトウノ頭への登り返しは、急な上に滑りまくってこの日一番しんどい所でした。

昨秋以来となるウトウノ頭では新しいプレートとようやくご対面。実際見てみると至ってシンプルなデザインでこれはこれで良いですね。

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(日向谷右岸尾根と石楠花尾根・ウトウノ頭附近より)

ウトウノ頭からもう一コブ越えれば、この先はほぼ下りオンリーで、素敵な自然林の広がる尾根上に好き勝手にトレースをつけつつすいすい行けます。

そして緩く登り返して篶坂ノ丸に着くと、ここで下からのトレースが来ていました。あとは傾きはじめた西日を浴びつつ下って行き、大ミズナラに寄って、そして鍾乳洞へ向かったのでした。

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(篶坂ノ丸山頂附近)

しかし積雪の方は今後はどうなるんでしょうねぇ。スノーシュー使うんだったらあと二降りぐらいは欲しいけど、この先の予報を見ているとさすがにそれは無理そうな予感。となるとあとは花粉が飛んでも良いから(笑)、雪が溶けてくれることを願うしかないのかなぁ。。。

それでも久しぶりの雪歩きは、普段使わない筋肉を久しぶりに使えて、そのお陰で忘れかけていたその感覚を思い出す事ができたのが、実は一番楽しかったことなのかもしれません。(^^)
 
・・・・・☆
 
◆ 2010.02.07 (Sun)   快晴
奥多摩駅 06:25→ 東日原 06:55- かろう橋 07:35- 滝上谷橋 08:05- 林道終点 08:50- 三又 09:10/09:15- 旧酉谷小屋 10:15- 縦走路 11:25- 1702m峰 11:40- 酉谷山避難小屋 11:55/12:45- 酉谷山 13:10- タワ尾根乗越 14:10- ウトウノ頭 14:50- 金袋山 15:35- 日原鍾乳洞 16:30- 東日原 16:55
 

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【奥多摩 2010】」カテゴリの記事

コメント

goroさん、

年末は天気に恵まれたので、さぞ佳き山行きだったことでしょうね。今は猟が入っているので日原には基本的には入りませんが、もう少し降ってくれればね、ボクも入れることになると思います。

でも暮れの迫った時期でも酉谷別荘には宿泊者がいるんですね。ボクも今年こそは重荷を担いで久しぶりに泊まりに行きたいと思っています。今年もどうぞよろしくお願い致します。

投稿: komado | 2011.01.07 22:07

komadoさんへ
新年おめでとうございます。年末、鴨沢から雲取避難小屋、酉谷避難小屋と廻り日原に下りました。長沢背稜は処女雪を楽しみました。踏み跡も無く、動物のトレールに感謝です。ヘリポートには興醒めでしたが西の展望が開けたのが救いです。テント持参でしたが酉谷小屋は4人で良い雰囲気でした。明け方の気温は-10℃と結構冷えてましたが冬山気分を堪能しました。四季折々長沢背稜の界隈、益々魅了させられます。今年もよろしくお願いします。

投稿: goro | 2011.01.06 20:13

goroさん、

取り替えお疲れ様です。ボクも確認しに行かなければ。(^^)
そうそうボクは23日に酉谷だったんですけど、別荘が満員とはgoroさんも先の週末に歩かれたのでしょうか? だとするとニアミスかも知れませんね。

それはそうとモノレールの件、やはりシカ撃ちも用途に入っていたんですね。モノレールは見た所他の水源林で見られるしっかりしたものとは違って若干簡易なものなので、これは事が終わったら取り外すのだろうなと思っているんですけど、工事が来年の三月末ですからね、その辺りもはいっているのかもと思っていたんですよ。しかし上段歩道はしばらく勘弁かも。

投稿: komado | 2010.10.26 23:26

komadoさんへ
初版の陶板が気になり8月に確認に行きましたが、やはりペイントが一部剥げており修復しましたが、合わせて第二弾を作成しました。今回はすべて釉薬ですので数百年は耐えられます。(持ち去られなければですが)。タワ尾根は結構人気があるようで昨日の小屋の8人中3人がタワ尾根経由。2人は二股から左上して長沢背稜を目指すも尾根の途中で断念、酉谷から上がってました。皆さん、この界隈が大好きな面々で喜ばしいことです。先々週、東尾根から上段歩道に入りましたが、別の方のコメント通り、ミニレールが延々と伸びてましたが、途中、タワ尾根横断巡視路に上がりましたのでその先は不明です。ハンギョウ尾根、タワ尾根上部そして上段歩道と掛けられるミニレールに原住民(熊たち)は怒り心頭でしょう。我々も迷惑ですが。尚、上段歩道のミニレールは鹿狩りと巡視路の補修を兼ねてるそうです。以上報告します。

投稿: goro | 2010.10.25 10:04

komadoさんへ
今月新たな陶板が仕上がりましたので早速取り替えました。
四軒小屋尾根から入山しました。取替え後、酉谷山避難小屋
に向かいましたが、ヘリポートからの資材降ろしのヘリの音に悩まされました。長沢背稜は一部紅葉が始まってましたがやはり今年は遅いようです。スタートがゆっくりでしたのでキノコを採りながら小屋に着いたら8人ほどの宿泊者で満杯。持参のテントでのんびりと雲海とおぼろ月夜に眺めながらチビチビと夜長を楽しみました。翌朝、引き上げた陶板が皆さんの目にとまりウトウ談義となり記念写真で皆さん悦に入ってました。

投稿: goro | 2010.10.25 09:41

goroさん、

すいぶん凝られてますねぇ。
ただあんまり宣伝しちゃうと、また取っ払っちゃうのが出てくるとも限らないから(笑)、旬を過ぎたこの記事でのやりとりが相応しいのかも知れませんね。

孫惣谷の情報ありがとうございます。そのぐらいなら大丈夫そうですね。あの辺りも新緑が綺麗な所なんですよねぇ。。。

投稿: komado | 2010.05.12 23:13

komadoさんへ
お早うございます。早速の返事有難うございます。善知鳥の羽の部分ですが、釉薬を間違えた結果ベージュ色に焼きあがってしまい黒ペイントで修復してます。いずれ焼き直します。取りあえずご覧になって下さい。当日はオロセ尾根→鈴坂の丸→タワ尾根→長沢背稜→梯子坂のクビレ→孫惣谷の周遊ルートでした。梯子坂から砕石場までの下りは部分的に多少の崩落がありましたが歩行可能、沢筋も特に問題なく林道終点に降り立てました。次回は四間小屋尾根から目指します。

投稿: goro | 2010.05.12 08:39

goroさん、
ようこそいらっしゃいました。やはりあれは仮のものでしたか。

でももうすこし早く言ってもらえたら、昨日確認しに行ったのになぁ(笑)。それでも次の機会はボクもその陶器のを見に行きたいと思います。ありがとうございました。(^^)

関係ない話ですけど、今ボクの靴はみんなgoroのです。。。

投稿: komado | 2010.05.10 18:48

お早うございます。昨年12月、ウトウの頭に木製の仮の山名板を掲げましたが、本年4月、陶器による善知鳥の名板が焼き上がりましたので、連休の3日に取り替えました。皆様に末長く大切にして頂ければと願ってます。初代の方の作品より見劣りします。

投稿: goro | 2010.05.10 09:13

こいずみさん、こんばんわ。ようこそいらっしゃいました。(^^)

肝心な所が不親切なレポで申し訳ないです。この手の山歩きに於いては「未知のわくわく感」がやっぱり欠かせないとボクは思っているのでああいう形になっています。もちろんコースによっては歩く人を選ぶ意図もなくはないんですけど。。。

あの日は風が強かったから北側からは大変だったでしょう。雪遊びなら断然北斜面なんですけど、あの日は風が強くなると聞いていたので急遽酉谷山に変えたのでした。

そおいやあの日は一緒のバスだったのですね。あの中で怪しい身なりをした細身のバンダナ野郎がいたらおそらくそれが私です(笑)。ということでどうぞよろしくお願いいたしますネ。

投稿: komado | 2010.02.12 19:17

Hgさん、

今回は雪で少々長目だったので久しぶりに一番でしたけど、次の便には金森さんもいたんですか!休日はそのままですけど土曜は30分遅くなったせいか、早い便でも乗客が多めになりましたね。

実は酉谷もトレースがないんじゃないかと目論んでいたんですけど、でも乾雪でトレースが埋もれていてラッキーでした。この日は林道端でも乾雪が山側から林道へ滝のように流れて、林道の幅半分近くを塞いでいた箇所がいくつかありました。

投稿: komado | 2010.02.12 19:03

AKIOさん、

この日の本当に寒かったです。特に稜線は風がもう2、3℃低かったら確実に凍傷を意識する冷たさ。稜線歩きは短かったのでマスクでごまかしましたが、久しぶりでした。

こういう歩きをしていると基本アイゼンが使えないので滑るのはもうしょうがないんですけど、後半になるとかなりしんどいですね。(^^ゞ

投稿: komado | 2010.02.12 18:58

すみません、手が滑って途中で送信してしまいました。

石尾根でもカラ沢の頭から城山を降りるあたりまでは風でトレースが消えていました。
寒かったので浅間尾根ですぐに降りてしまったのですが、降りてみるともったいなかったかと少し後悔したりしました。

投稿: こいずみ | 2010.02.09 23:36

はじめまして
いつも更新されるのを楽しみにしています。
レポートもよく参考にさせていただいているのですが、私の経験不足のため自分で歩いてみてようやく書いてあることが理解できるようになったりして、何度も楽しませていただいている状態です。

ところで日曜日ですがkomadoさんと同じバスに乗っていました。ネズミサス尾根を歩いて鷹ノ巣山まで行ってきました。雪の状態はこちらも似たようなものでしたが、やはり強風のせいでカラ沢尾根と合わさる辺りからカラ沢の頭までが随分と長く感じられました。その後、城山の先まで風でトレースが無くなっていて石尾根でも

投稿: こいずみ | 2010.02.09 23:20

自分も先日はなぜか、日曜隊でした^^;
自分は2番のバスでした。もしかしたら?と思っていたら1番だったとは!
...でも金森さんに会いましたが^^;

酉谷山周辺はやはりトレースはないのですね。
風の強い日は南向きの酉谷小屋はほんと有り難いですね。
酉谷も当然ながらトラバースは雪で埋もれた箇所が多いようですね。

投稿: Hg | 2010.02.09 22:24

こんばんは。小生は今週は山はお休みでしたが、この写真を見て文章を読んでいるとジンジンとした寒さが伝わってきます。大京谷のクビレからの登り返しは確かにサラサラ雪だと大変でしょうね。黒木よりスズ竹のほうが摑まるところがあって登りやすいでしょうね。

投稿: AKIO | 2010.02.09 19:20

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