氷の花咲く蛭ヶ岳 から箒杉沢、鍋割山へ
(氷の花、満開。蛭ヶ岳直下にて)
先週も相変わらずぐずついた日が続きましたね。とはいえスノーシュー持って雲取・石尾根!ってぐらいにドカッと降ってくれる訳ではないし、かといって雪は降る訳だから世附(世附川流域の山々)の廃道探訪もちょっと無理なお話。
それならば、こういう時こそ雪の時期に歩いたことの無かった蛭ヶ岳へ行ってみよう!ということで今回(02/20)は東野から丹沢主脈に上がって蛭ヶ岳へ行き、なおも不動ノ峰まで主脈を辿ったら棚沢左岸尾根たる不動ノ峰南尾根を下降。箒杉沢に降り、河原を尊仏ノ土平の少し先のコシバ沢(越場沢・寄コシバ沢ではない)出合まで歩いて、鍋割山へ直接上がれるコシバ沢右岸尾根を登り返したら、あとは後沢右岸尾根の径路経由で寄に降りる、という丹沢を北から南へ縦断するルートを歩いてきました。
(姫次より)
今回はいつもより一本後の電車でいい、藤野・やまなみ温泉経由で東野へ出てのスタート。バスの車中から真っ白になった大室山の姿にわくわくしっぱなしで、バスを降りたら少しストレッチをしてさっそく歩き出します。
蛭ヶ岳も東野もかなり久しぶりの事で、登山道までの道のりも今ひとつ自信がなかったのですが、道標もあることだし(笑)こちらは難なくクリア。北斜面という事もあって登山口から雪がうっすらで、そこから八丁坂ノ頭までは雪も薄く、若干滑りやすいものの比較的スムーズに歩けます。ただ急な所は雪の下が凍っており、そのあたりが要注意かもしれません。あといつの間にやら尾根に沿ってモノレールもできているんですね。
(蛭ヶ岳への登りしなのひとコマ・Part1)
登り出す前こそ山肌は白かったけど晴れて気温は高いし、木に着いた雪が主脈まで保つかなぁと思いつつ、少し気が急く感じで登っていたんですけど、いざ主脈に上がると稜線の木々はまたまだ真っ白。えっ??と思って木をよ~く見てみると完全に樹氷になっていました。
そんな木々が真っ青な快晴の許、たっぷりの日差しを浴びて輝いている訳ですから素晴らしくない訳ありません。そんな木々の様子に周囲をボーッと眺めてしまい、しばらくしてからハッと気がついたように再び歩き出して姫次へ向かいました。
(蛭ヶ岳への登りしなのひとコマ・Part2)
さすがに稜線に出ると積雪も深くなりますが、根雪が凍っており踏み抜くこともなく、快適に歩けたのは助かりました。そして辿り着いた姫次が良かった。この時期に来て初めて心底良い所だと思えたかも。
そんな姫次でパンを食べて少し休んだら、目の前に聳える蛭ヶ岳を目指します。雪はここからが本番かな?と思っていたら、こちらも積雪自体は多くても20cmほど。道中も至って歩きやすく、白くなった周囲の木々の様子にルンルン気分で歩けました。
(蛭ヶ岳山頂はこんな感じ)
(不動ノ峰、丹沢山方面)
さすがに蛭ヶ岳の直下まで来ると滑るし、しんどかったけど、それを何とか登り切って山頂に出ましたが、山頂には先客さんが二人だけ。蛭ヶ岳でもさすがにこの時期はこんなものなのかな、と思っていたらその先客さんもいなくなり、一人になってしまいました。
おかげで広いテーブルベンチを占領して、のびのびランチをとっていると青根側からもう一人来て、そして休憩を終えて、さぁ歩きだそうとしたらパラパラとハイカーがやってきた感じ。雪のせいもあるのかもしれないけど、意外に人出が少ないというのが正直な感想です。
(鬼ヶ岩ノ頭付近だったと思う)
(蛭ヶ岳を振り返る)
しかし関東周辺で快晴な「鉄板の晴れ」でも丹沢だけは雲がかかってしまうことが多いのですが、お昼を過ぎたらこの日も徐々に曇ってきて、やっぱり!という感じ。それでも不動ノ峰へ向かう道中が光の具合といい、樹氷の様子といいこの日のハイライト。周囲を眺めつつ、写真を撮りつつ、のろのろ歩く感じになってしまいます。
そして不動ノ峰に着くととうとう完全に曇ってしまいましたが、それでも山頂周辺のブナは真っ白でまだまだ見事。そんな中で一息ついたらさっそく南尾根の下降に移りました。
(不動ノ峰南尾根<棚沢左岸尾根>上部にて)
のっけは丹沢主脈の稜線らしく小笹の敷き詰められた、藪もなく広くて歩きやすい尾根。ブナに混じって白いような茶色いような細い木も見かけましたけどあれはヒメシャラでしょうか。もともとシカの多い地域の上に人がほとんど入らないせいか、シカがそこかしこピョンピョン跳びはねてます(笑)。
地形図にも載っている途中の崩落地からは、尾根の続きにこの次に歩くコシバ沢右岸尾根と鍋割山を確認。それからしばらくはそんなスッキリした自然林が続きましたが、尾根が急になる1350m圏辺りから、アセビや灌木が若干被りだし、岩屑が尾根を覆ったり、痩せたりして、雪が残っていることもあって一気に歩きづらくなります。
(崩落地より、中央奥には鍋割山とコシバ沢右岸尾根も見える)
しかしそれも尾根の肩と言った風情の1253m峰からは植林帯に入って一息つけたんですけど、まもなく植林下の急降下に変わって、所々痩せた箇所もあったりしてこの下降がちょっとしんどかったです。それでもこの急さですからねぇ・・・登りに採らなかったのは正解だったのかも。
結局不動ノ峰から一時間ほどで箒杉沢に到着。上から何となく見えてましたけど、この辺りは山奥の沢とはとうてい思えないようなだだっ広い、そして過去に相当暴れたのが容易に想像のつく荒涼とした沢ですね。
(棚沢 箒杉沢出合と不動ノ峰南尾根の末端部)
広い河原はどこでも歩けるのですが、さすがにゴーロは歩きづらいので左岸側の廃林道を下って鍋割沢との出合へ。そして出合からは適当に対岸へ渡って林道に這い上がり、これまた箒杉沢と同じような様子の鍋割沢に沿って緩く上がると、まもなく塔ノ岳への道が沢の遠い対岸へ渡る所に出ますが、この辺りが尊仏ノ土平と言われる所でしょうか。
林道はここで終わっているので、堰堤を捲いてから河原に降りるとそのすぐ先がコシバ沢の出合。この時点でもう14時を回っていたのでそのまま右岸尾根に取り付きました。
(コシバ沢右岸尾根のひとコマ)
地形図を見る限り、植林の多い尾根という予想は大きく外れて、実際は自然林の許、ブナの立派な木々を見ながら登れる気持ちの良い尾根でした。ただ尾根は急だし、曇って寒いし、新雪のせいでズルズル滑る登りがここへ来て課せられる訳ですからですから、実際はもうヘロヘロでした。
それでも尾根が短いのが幸い。一時間弱で花立~鍋割山の稜線になんとか這い上がったらすぐ先が鍋割山でした。山頂も変わらず寒いし、ここに来たらやっぱり鍋焼きでしょーと言っても、15時を回った時点で泊まりでもないハイカーが鍋焼きうどんなんて頼んだら怒られそうなので、ここはそそくさと下山を始めるしかありません。
(稜線に出ると鍋割山はすぐ先だった)
下山と言っても行程上大倉へは降りたくないので、今回は後沢右岸尾根の径路経由で寄に降りましたが、後沢右岸尾根は全編植林の趣に欠けた尾根でした。でも人気の山のメインルートはすでに泥濘になっており(とはいえ、そんな状況でもそれなり歩きやすく整備されているのはほんとうに凄い事だと思います!)、慣れている人であればそれを避けられる格好のルートしての利用価値は小さくないと思いました。
あと寄への道も、最後の寄へ向かって周囲が直線的に広がる光景が個人的には印象的でしたし、バス停前のみやま浜善も気になる存在。これならバスの時間が合わせなくてもいいなぁ、と思いましたけど次もまた6年後かも(笑)。でも個人的に丹沢と言えば近年は世附オンリーだったので、たまには丹沢の別の所も新鮮でなかなか面白かったです。(^^)
・・・・・☆
◆ 2010.02.20 (Sat) 晴 後 曇
藤野駅 06:45→ やまなみ温泉 07:00/07:15→ 東野 07:35- 登山口 08:15- 姫次 10:00/10:10- 蛭ヶ岳 11:30/12:05- 不動ノ峰 12:50- 1253m峰 13:20- 棚沢出合 13:45- 尊仏ノ土平 14:05/14:10- 鍋割山 15:15/15:20- 径路分岐 15:40- 762m峰 16:00- 登山道入口 16:15- 寄大橋 16:30- 寄 17:00
・・・・・☆・・・・・☆
リンクの紹介なんて久しぶりですネ。(^^ゞ
今回は老少年さんの やま旅・はな旅 北海道 をリンクしました。
その題名の通り、あこがれの日高の山にハマり通い続ける記録がメインですけど、北海道だけでなくこちらの山の、特にお花絡みの山歩きの記述も多く、充実したページだと思いました。みなさま是非ともご覧ください。(^^)
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コメント
タカさん、
えータカさんなら、あのくらいの雪ですし普通に歩けるでしょう。
でも本当はもっと降っていると思ってたので正直拍子抜けでしたが、SAKURAさんのレスにも書いたけど、あの樹氷は意外でした。お陰で不動ノ峰までが行程的にマクラのつもりが、実際は逆になっていました。
投稿: komado | 2010.02.24 19:37
SAKURAさん、
やっぱり普通に歩くつもりでも、どこかでひとヒネりしてしまうからいつも孤独なソロなんですよ(笑)。でもこうやって好き勝手に歩いているほうがボク的には楽しいのも確かなんです。もちろんパーティで歩くのも別のおもしろさがありますけどね。
しかしこの日は思いつきで決めた割には、樹氷が思いの外ものすごく綺麗で、本当に楽しめました。(^^)
投稿: komado | 2010.02.24 19:35
かずさん、
本当はなべやき食べるつもりでいたんで、ランチもカルメにおやつを食べないで鍋割へ向かったんですけど、いざ着いてみるともう山頂は閑散としていてとてもそんな雰囲気ではありませんでした(笑)。
なので寄に着く頃にはお腹が空きすぎて少し気持ちが悪くなってて、だからこそみやま浜善が気になってしまったのでした。
投稿: komado | 2010.02.24 19:31
見事な樹氷、タカも行きたくなりました。
でもこの季節に日帰りで蛭へ登るとは。
投稿: タカ | 2010.02.23 07:01
青空に真っ白な見事な樹氷にうっとりです。
お花の変わりに楽しめますね~♪
この季節にもロングコースを歩かれるんですね。
それも孤独なソロで…
面白いコースだと地図で追って拝見しました。
蛭ヶ岳から鍋割山の間は怪しげですねぇ…
投稿: SAKURA | 2010.02.23 01:19
やっぱり日帰りかあ。すごい!
15時に鍋割山だと、そこまでお昼を我慢するのも大変だよね。
おやつに鍋焼きうどんってのもちょっとハードなおやつかな~。(笑)
それにしても見事な樹氷!
ヘロヘロになってもおつりが来るほど価値がある景色だね。
投稿: かず | 2010.02.22 15:21