二本杉峠~大栂~高指山・世附の山山を再び横断
(アカガシの大木・織戸沢右岸尾根にて)
さてさて紅葉も終わりに近づき、徐々に寒くなってくるとそろそろ西丹沢は世附の季節到来でしょうか?(^^)
ということで日曜(12/06)は世附通い再開の第一弾。今回は細川橋から二本杉峠を越えて千鳥橋に降り、大栂南東尾根を登り返して、織戸沢右岸尾根を下降。水ノ木(馬印)に降りたら切通沢橋まで林道を歩いて、今度はバラシマ沢右岸尾根たる高指山東尾根を登り返して平野に出るという、世附の山山を再び横断するコースを歩いてきました。
(畦ヶ丸~屏風岩山の稜線と奥に大室山)
さすがに12月に入るとハイカーも減りますね。西丹沢行きバスも余裕で座れて一路細川橋へ。ここで降りたのもボク一人で、二本杉峠への道すがらに一人抜いたらあとは平野まで完全な一人旅でした。
千鳥橋に降りたら、橋を渡ってさっそく大栂南東尾根の枝尾根に取り付きます。土曜にしっかりした雨が降ったせいかスズタケはまだまだしっかり濡れていたけど、尾根上には道筋がついていたのでさほど濡れずに済んだのは助かりました。
(大栂南東尾根のひとコマ・Part1)
この枝尾根は地形図通りの急な尾根で、植林から伐採後の低木灌木帯にかわって登り切るとあっさり大栂南東尾根と合流します。そしてその先が広い830m峰なんですけど、植林が多くて若干暗い感じなのが何とも惜しい。椿丸を想起しますね。
830m峰を過ぎると、植林に雑木林、残された自然林、伐採跡を交えつつ尾根を行く感じ。そして最初はわからなかったんですけど、道中、黒木(針葉樹・ここでは主にモミ)ではない緑がやたらと目につくので、その辺りをよ~く見てみるとなんと照葉樹!調べてみたらアカガシでした。
(富士見峠附近の林道より)
モミやブナの大木に混じってアカガシも幹周り2m近い立派な大木が散見され、なにせこれだけ照葉樹の多い山を歩いた記憶がほとんどないのでとても新鮮でした。しかし世附は照葉樹も豊富なんですねぇ。こうなると丹沢の他の山域はどんな感じなのだろうと丹沢初心者のボクは単純に疑問を持ったんですけど、これは新たな発見でもありました。(^^)
830m峰からさほどの時間もかからずに林道に上がったので、そのまま尾根伝いに936m峰を越えて富士見峠へ。峠から林道に出て東の展望地へ向かうと、ようやくここでマトモに見える富士とのご対面だったんですけど、なーんか南や西から怪しい雲が。。。
(大栂南東尾根のひとコマ・Part2)
このまま大栂まで行ってしまうとおそらく曇ってしまうので、予定を変更してここでランチにしました。結果としてこの判断は正解で、再び腰を上げて大栂へ向かうと予想通り徐々に曇ってきました。
富士見峠から上は二年前に歩いたんですけど、以前と比べると藪が若干薄くなって歩きやすくなっている気がします。
(大栂直下はブナ林が美しい)
登るにつれ尾根上(イデン沢側)に立派なブナがぼちぼち現れはじめるとここからがハイライトなんですけど、この辺りになるととうとう曇ってしまってそれが惜しいというかちょっと悔しい!
それでも山頂直下のブナ林はやっぱり素晴らしいですね。尾根上に見えるのももちろん良いんだけど、大栂の東斜面に広がる落葉を終えて姿を現した裸木一本一本の風情が殊の外美しくて、しばし見とれてしまう程です。
(大栂より菰釣山)
そんな尾根の雰囲気を楽しみつつ上がるとようやく大栂の山頂に到着。菰釣山の方はガスが湧き始めていましたけど、こちらの方は休憩している間に日差しが復活し始めていました。
こんな事ならもうちょっと富士見峠でのんびりしていれば良かったのかなぁ?とも思うけど、平野へ向かうとなるとそこまではのんびりできないし、まぁ今回の所はちょっと運がなかったと言う事なのでしょうネ。
(織戸沢右岸尾根のひとコマ・Part1)
適当な所で腰を上げれば次は水ノ木です。まずは稜線を椿丸方面へふた下りほどしてから織戸沢左岸尾根の下降に移ります。
左岸尾根は下り出しこそ植林と雑木林といった感じでしたが、下るにつれ植林やスズタケが時折絡むもののモミやアカガシ、ブナなどが現れて、さきの大栂南東尾根の中腹辺りと同じような雰囲気になったのにはまたビックリ。
(織戸沢右岸尾根のひとコマ・Part2)
850m圏から800m圏の尾根のクランクするところもわかりやすく、明るい雑木林になったり痩せ尾根になったりとそれなりに変化もあって良いアクセントでした。
そして4m近いモミに大ブナを見かけるとそのすぐ下が富士見林道で、ここは林道を突っ切りそのまま尾根通しに下ります。再び藪っぽくなった中、シカ柵の網とスズタケに挟まれつつノロノロ下っていると、首に何かがついている感触があったので手を回したらなんとマダニ(笑)。今回はハードに藪歩きをしてないし、大丈夫だと思ったんですけどねぇ。。。
(織戸沢 水ノ木沢出合)
ということで尾根末端の織戸沢出合に降り立ったところで全身ダニチェック。チェックを終えたら水ノ木沢を渡らなければいけないんですけど、予想通り前日の雨のせいで水量が多くて道なりの飛び石はX。でも少し上がった所から難なく飛び石で渡ることができ、馬印へ向かいました。
馬印からは大棚沢の林道に入って、林道をてくてく。馬印に着いた時点で時間的にリミット近かったので大棚ははしょって、ただひたすらに日陰の暗い林道を歩いて行きます。
(高指山東尾根<バラシマ沢右岸尾根>のひとコマ)
バラシマ沢の出合がある切通沢橋までは馬印から40分弱で到着。ここからそのまま切通峠へ向かうか、それとも当初の予定通り高指山東尾根を登って高指山へ向かうかちょっと迷ったんですけど、結局東尾根を登ることにしちゃいました。
尾根末端からは尾根に取り付けなかったので、その先の沢筋からせっせと登って東尾根上に上がるとしばらくは無粋な植林が続きましたが、それもじきに抜けてモミやブナの自然林を交えるようになります。同時にスズタケも出てきますがこちらも被る程度であまり濃くはなく、なかなか良い雰囲気なんですけど時間が時間だけに日陰が多くて。。。
(東尾根・最初の送電塔より、大栂と東丸)
じきに最初の送電塔に上がると、ここは久しぶりの展望地。今さっき歩いて来た世附の山山を眺めつつ、帰りのバスの予約をしようとしたら意外やX(FOMA)。しょうがないのでパンを食べただけで先を行くと、次の送電塔(尾根を右に外れたところにある)を過ぎた辺りから明瞭な巡視路が現れてあとはすいすい。
しかも登るにつれ立派になるブナ林の様子にまた驚きつつ、気分を良くしつつ行くとあっさりと縦走路に飛び出して、そのすぐ先が高指山でした。
(東尾根上部はブナが見事だった)
もう日が沈んでと言うか「日が富士に隠れて」暗くなり始めた周囲の様子をボーッと眺めつつ、帰りのバスの予約をしたらあとはチンタラ平野へ向かったのでした。
今回はとにもかくにもアカガシの多さに気がついた事が一番の収穫だったんですけど、そのおかげで今まで植林ばかりなのでは??とあまり興味の湧かなかった水ノ木や世附の南の方も俄然気になってきました。この冬もやっぱり世附通いが続きそうです。(^^)(^^)
・・・・・☆
◆ 2009.12.06 (Sun) 晴 時々 曇
新松田駅 07:20→ 細川橋 08:20- 二本杉峠 09:10- 千鳥橋 09:35/09:45- 830m峰 10:10- 富士見峠 10:50/11:35- 大栂 12:30/12:40- 分岐 13:05- 織戸沢出合 14:10/14:20- 切通沢橋 15:05- 最初の送電塔 15:40- 高指山 16:10/16:20- 平野 16:55
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コメント
ごんべセンセ、
ちなみにアカガシとアラカシはまったく別物ですから~、と他の人のためにも言っておきますネ。
武蔵野の雑木林も落葉樹じゃなくて樫や椎などの照葉樹も少ないけど確かにありますね。でもそれが何でかなんて全く知らなくて、今回のことでようやく知ったのでした。ちなみにその図鑑では今雑木林が放置された結果、照葉樹が出てきているなんてことも書かれていました。
照葉樹は常緑だから確かに暗さを感じるし、落ち葉の心地よい感触もないけど、今回はその良さにもちょっとだけ触れることができたのかなーとも思っています。(^^)
投稿: komado | 2009.12.12 14:43
武蔵野あたりも照葉樹林帯だったのですか?
そういえば 子どもの頃、近所にあまり山はなかったけれど 思い出は、ケヤキの大木とまわりのテラテラする照葉樹でした。テラテラを「田舎臭い」とヒガンでおり たまに郊外のナラなどの雑木林に出会うと、すらりとした容姿にロマンチックに憧れていましたっけ。 あらかし、ゆるせ。よづくいきてぇす
追伸
「畦ヶ丸から屏風岩山の稜線」と「奥に大室山」 だったのか
畦ヶ丸から「屏風岩山の稜線」と「奥に大室山」だなんて、、、
わたくしがまちがえておりますた (^_^;)ゞ
投稿: ごんべセンセ | 2009.12.08 22:05
ななしのごんべさん、
いや、あれだけ木があればイヤでも目に付きますよ。それぐらい多かったです。
以前登った椿丸から大栂の辺りもなーんか雰囲気が違うんで何でだろう?と思っていた疑問もこの日下って解決しました。あの辺りというかあのくらいの標高にいるのかどうかその辺りはわからないけど、そういえば道志歩道の二本杉峠直下も同じような雰囲気だった事を思い出しました。
今回調べた図鑑には武蔵野も当初は照葉樹だったのが徐々に人が利用する落葉広葉樹に変わっていったなんて記述がありますネ。
とにかくアカガシの話からして今回の山行きは世附に嵌り込む新たなきっかけになったような気がしています。
投稿: komado | 2009.12.08 19:02
komadoさん こんにちわ
いきなり 千鳥橋から始まりましたので 前半を読み落としたのかと一個前の記事に戻ってしまいました
ずいぶん分長距離を歩かれたものですね。
感心するばかり・・・
高指山 16:00 平野 16:50 ということは夕暮れの富士山をみれたのでしょう? いや 曇っていたか? それでは 山中湖が黒い穴のようだったのでしょうか? 見たことがないので想像してしまいます
高尾陣場。いえ津久井の里山では当たり前の照葉樹林ですが 丹沢が北限とか聞いた記憶があります、
かつては 低山の雑木林はコナラナラに限るなんて思っていました(紅葉するし明るいし素敵ですし)
最近は照葉樹にも目がいくようになりました komadoさんもこの種類の樹林に興味を持っていただけたなら嬉しいです。
それにしてもトップ写真のアラカシは見事ですね
ついでに 2枚目の写真は本当はどこから写したの????
投稿: | 2009.12.08 15:28