« 横尾山~飯盛山・草原と藪の交錯する稜線 | トップページ | 色づき始めた南アの稜線へ 1(鳥倉林道~三伏峠) »

2009.09.15

富士をお供に・初秋の小金沢連嶺と南大菩薩

B090915a
(石丸峠附近より)

しかし9月に入って今までの鬱憤を晴らすかのように好天が続きますねー。先週末も日曜(09/13)がきっちり晴れてくれて、今回選んだのは御坂と同様、今年の盛夏は全く訪れなかった南大菩薩。バスの事もあって石丸峠から米背負峠までお花の様子を見つつさらりと歩いてきました。

甲斐大和からのバスに乗るのは彼のバス運行初日以来ほぼ一年ぶり。この日も満員御礼で20分後に臨時便が出るとの盛況ぶりでしたが20分の差は大きいので最初のバスに乗ったんですけど、バスが小屋平に着き、出発の準備をしていたら5分と経たずに後の臨時便がやって来たのにはかなりガックリ。

B090915b
(狼平より天狗棚・熊沢山を振り返る)

それでも空は晴れ渡り、涼しい風が吹き抜ける爽快な朝とあっては気分が悪い訳ありません。若干色づき始めたカラマツ林の中をせっせと歩いて40分ほどで石丸峠に到着。風が強いわ!でも東側はまだ曇っているものの、正面には富士。そして西側には南アの主立った山ほぼ全山が久しぶりに見渡せて、しばらくは展望を楽しみながら歩く感じ。

天狗棚は風が強すぎたので一旦下った狼平でようやく一息つけ、それから小金沢山へ向かいます。でもわかっていた事とは云え草原にはお花がほとんどいませんでした。ウメバチソウにハコネギクを数株見かけるぐらいだとちょっと淋しいですね。。。

B090915c
(牛奥ノ雁ヶ腹摺山から賽ノ河原への下りしな)

小金沢山には周囲のサラサドウダンがすこし色づいていました。そしてここからは好天の許、気持ちの良い稜線歩きの楽しめる所で、ここは歩くのが楽しかったところ。ただお花は先ほどのとプラスしてアキノキリンソウにキオンが一株。。。

それも牛奥ノ雁ヶ腹摺山を越えて賽ノ河原へ下ると、終わりかけながらマルバダケブキ、ツリガネニンジン、ノコギリソウ、ウスユキソウ、ノコンギク、ハンゴンソウと徐々にお花の種類が増えてきて、こちらも徐々に楽しくなってきます。

B090915d_2
(こちらのヤマトリカブトもとうとう??・黒岳の広葉樹林にて)

黒岳山頂の周りが少し伐採され、周囲が明るい雰囲気が変わっていたのには驚きましたが、今回一番驚いたというか驚愕したのがその下の広葉樹林に生えるヤマトリカブトの事。どこを見ても↑↑↑のようなのばっかりで、あの一帯のトリカブトの9割ぐらいは丸裸になっていました。これを見た瞬間は2000年代前半から丹沢で猛威をふるっている病気(テングス病??)か??と思ったんですけど・・・

彼の病気の特徴でもある黒く変色して枯れるような株は見られないようだし、よ~く見てみると葉も花もキレイに取られている感じにも見えるので、もしかして動物が食べた??。それでも例えばシカ(毒草でも啄む姿を確認済)がこんなに器用に花と葉っぱだけを食べられるともあまり思えないし・・・実際はどうなのでしょうね。とにかく病気だったりすると丹沢ではその影響が長期間続いているのでかなりやっかいなことにはなりそうなのは確実です。来年以降、周辺のトリカブトは要注意かもしれません。

B090915e
(白谷ノ丸より)

せっかくの自然林をあまり愛でる事もなく緩く登り返すとそこはもう白谷ノ丸の草原ですが、残念!この日は先客さんがいたので、さっさとケルンのあるピークへ移動します。でも総量では減ってはいるもののさすがにお花が増えて、ヤマハハコにタムラソウ、ノハラアザミ、ヒメヒゴタイ、ハバヤマボクチ、タチコゴメグサ、コウゾリナ、カイフウロ、ヨツバヒヨドリ、ハンゴンソウ、セイタカトウヒレン、シシウド、マツムシソウ。

ケルンのピークで展望を楽しみながらのんびりランチをとったら、また先を行きます。湯ノ沢峠への下りしなではヤハズハハコにノブキ、シオガマギク、そしてゴマナ。先週の横尾山では終わりかけだったので綺麗なゴマナを見れられたのがちょっと嬉しかったです。

B090915f
(この日見かけたお花の一部)

B090915g
(大蔵高丸より)

湯ノ沢峠から秋の花咲く草原を抜けて、大蔵高丸に着くとやはりお花はここからが本番でした。良くても盛りすぎ、大抵はそろそろ終わり近かったんですけど前述の花花が濃くなって、以前に比べると花の減った今でもまだまだ見応えがあります。

そしてハマイバ丸を過ぎて天下石へ向かうと、近年一番ヤブの濃かったこの辺りの道にもようやく刈り払いが入って、すこぶる歩きやすくなっていました。

B090915h
(ハンゴンソウはまだまだ盛り)

ハマイバ丸から一段下るとここでヤマハッカの登場。花はさすがに盛りで、実はこの花を見るまでヤマハッカの存在をすっかり忘れていたのは秘密です(笑)。まぁこれは今年の盛夏に御坂へ行かなかったせいでしょうけど。。。

やがて天下石が現れると長く続いた草原歩きもお終い。樹林帯に入るとまたヤマトリカブトが出てきましたけど、こちらの方は黒岳のと違ってどれもしっかりと葉っぱを付けて花を咲かせていたので本当にホッとしました。

B090915i
(天下石への下りしな・中央は大谷ヶ丸)

ところで米背負峠といえば、自分で勝手にブナハバチ基準木にしているブナがあって、その状態が気がかりでまたまたドキドキしながら峠へ下ると、いましたいました!よかったー、まだ生きていました。とはいえ葉は僅かしか展開させていないし、その葉も実は喰われている(笑)。

でも葉を喰われていても春先からの葉のままで、周囲のブナも同じような感じ。ハバチの発生は今年も小規模にとどまった模様です。

B090915j
(米背負峠のこのブナも何とか生きながらえていた)

周囲の自然林が美しい米背負峠ではこれまた忘れかけていたアズマレイジンソウを見つけて、それをカメラに収めたら、ここから稜線を離れて米背負沢の道に入ります。

米背負沢の道は近年ほぼ放置状態で若干荒れていたのですが、去年の夏以降最小限ながら道の改修が入った模様で、草や藪の被る箇所はあるものの慎重に行けば道筋をたどれるようになっていましたし、道標も増えたので今の段階なら初心者でなければそれなりに歩けるでしょう。ただ、また大雨でも降れば倒木が道を簡単にふさいで判り辛くするでしょうから、基本的にはある程度慣れた人向けの道である事に変わりはないと思います。

B090915k
(米背負沢の道は最低限ながら改修された)

30分ほどで登山口に出たらあとは林道歩きを残すだけ。途中でショートカットしたお陰で県道までは一時間とかからなかったので、バスの時間に余裕があり、久しぶりにそのまま甲斐大和へ向かいました。

とはいえもう16時を過ぎているので田野の湯が終わっているのがとにかく残念。福祉施設なのでビールは買えないけど、お湯が大変に良い(個人的には天目山温泉より断然良いと思っている)のでここは時間が合えば浸かりたい温泉なんですよね~。
 
・・・・・☆

◆ 2009.09.13 (Sun)  晴 時々 曇 
甲斐大和駅 08:10→ 小屋平 09:00- 石丸峠 09:40- 小金沢山 10:25/10:35- 牛奥ノ雁ヶ腹摺山 11:00- 黒岳 11:55- 白谷ノ丸 12:10/12:55- 湯ノ沢峠 13:15- 大蔵高丸 13:40- ハマイバ丸 14:05/14:15- 米背負峠 14:55/15:05- 登山口(大蔵沢二号橋)15:30- 県道の大蔵沢橋 16:15- 甲斐大和駅 17:05
 

|

« 横尾山~飯盛山・草原と藪の交錯する稜線 | トップページ | 色づき始めた南アの稜線へ 1(鳥倉林道~三伏峠) »

【大菩薩・権現山稜 2009】」カテゴリの記事

コメント

zioさん、

16日は残念でしたね。近年は天気がかなり不安定な傾向にあるので朝は晴れていても、それ以降は雲が出てくると言うパターンがより多くなったような気がします。なのでボク自身終日富士が見えたなんてかなり久しぶりの事でしたんですよ。

田野の湯、お湯はマジでお勧めします。
ただ、ここの本業は老人保健施設なので天目山温泉のように畳敷きの休憩所や軽食の提供など、その手の「色気」はまったくありません。その辺りもお望みだとしたらちょっと意に沿わないことになることと思います。

ただお湯は本当に良い。

投稿: komado | 2009.09.19 19:24

komadoさん、こんにちわ。

石丸峠から、このように富士山が見えるのですね。
あわただしい程の季節の推移に突き動かされて、ZIOめも富士と花を求めて、小金沢連嶺に行ったのですが、遠望きかず、花もさっぱりと、帰って来ました(09/16)
湯ノ沢峠まで足を延ばせば、良いのですが、なにせ大菩薩からのピストン、それに、なによりも鈍足、小分けにするしか、ないですね。
田野の湯がいいですか、今度はそちら行ってみる事にします。

投稿: zio | 2009.09.19 06:57

AKIOさん、

あらAKIOさんはもう少し南でしたか。
実は元気があったら滝子まで足を伸ばすつもりでいましたけど、結果米背負までにして良かったです。

南の方のトリカブトは大丈夫でしたね。ただ大蔵高丸の登りしなにはトリカブトの個体数自体少ないものの、丸裸になったのが数株目に入りました。

ボクも今シーズンはあと何度かあのバスを使いたいと思っています。バッタリした時はそうぞ宜しくおねがいしますネ。

投稿: komado | 2009.09.16 22:31

タカさん、

ダメですよ~、ボクごときにそんな大物を求めては(笑)。とりあえず掲示板に貼っておきま~す。(^^)

投稿: komado | 2009.09.16 22:25

かずさん、

もう今回は遅い電車だったし立ちなのは覚悟していたけど、あの臨時便がすぐにやってきたのにはちょっとむむ・・・(-"-;)。タクシーだと軽く5000円オーバーですからね。これからますます人が増えるでしょう。

御坂のトリカブトは大丈夫だったようですね。今のところ局地的のようだけど、これからどういう情報が入ってくるのか正直びくびくしています。

投稿: komado | 2009.09.16 22:24

SAKURAさん、

あのバスはホント近年運行を始めたバスの中で一番画期的な路線だったと思います。あのバスのお陰で大菩薩のほとんどが日帰り圏内に入りましたモノね。好天であれば満員なのも頷けるというもの。

でもそちらからも間に合うのなら、一度は是非。ちなみに写真はカメラが勝手に撮ってま~す(笑)。

投稿: komado | 2009.09.16 22:21

yamaさん、

あれれ、お久しぶり・・・でした(汗)
バスは盛況でしたけどあちら方面は意外に少なかったのですれ違った人は限られますね。そのすれ違った人が細身の青いバンダナ野郎だったら間違えなく私だと思います。

でも朝は本当に寒かったですね。先週の信州峠も全く同じだったんですけど、その時にそろそろ手袋を忍ばせなければと思いつつすっかり忘れておりました。

またどこかで逢えると良いですね。しかしようやく食害調査とは...少なくても5年は遅いでしょうに~。

投稿: komado | 2009.09.16 22:18

こんばんは。13日は前日までは小生も例のバスに乗るつもりでした。もし乗っていたらまたお会いしていましたね。予定を変更して大久保山から大谷ヶ丸へ行きました。午前中は風もあって本当に気持ち良かったですね。ヤマトリカブトといえば大谷ヶ丸付近は立派なのが結構沢山ありましたよ。(もちろん、まだツボミのものも)ホリヌキドウミの上はイワカガミの葉がビッシリでした。この夏は例のバスのおかげで湯ノ沢峠~ハマイバ間を何回か訪問することが出来ました。KOMADO さんの記録をいろいろと読ませて頂いて登り下りのルートに変化をつけることが出来て感謝しています。まだ紅葉もあり今年もまだしばらくは例のバスで楽しむことが出来そうです。

投稿: AKIO | 2009.09.16 20:05

小金沢山の針葉樹の中に、

「オオツガタケ」出ていませんでしたか?

そろそろ時期なんですけど。

投稿: タカ | 2009.09.16 07:12

バスは混み混みなんだね~。空いてから乗ろうとか思ってたけど、これはもうシーズン中はずっとだろうねえ。
臨時便なんて驚きです。
混んでても以前はタクシーしか入らなかった小屋平へバスで行けるのがいいよね。
ちょっと登れば、後は稜線漫歩だもん。
狼平が近くなった~。
それでもまだ夢は叶ってないけど…。(笑)

ヤマトリカブトの画像びっくりです。
よからぬ前兆じゃなければいいね。
知らないうちに、こんなことが進行していたなんて、勉強になります。
三ツ峠山のヤマトリカブトは元気一杯でしたよ~。

ロングコースお疲れ様でした~。

投稿: かず | 2009.09.16 00:03

小金沢連嶺と南大菩薩のロングコースを歩かれたんですね。
好天でお花も楽しまれたご様子を羨ましく拝見です。
身軽で足も長そうだしガンガン歩かれる御様子が目に浮かびます。
お写真もいつも綺麗ですねぇ~♪ほれぼれです。

上日川峠まで今はバスがあるんですね。
いい事教えていただいてラッキーです。
早速調べたら始発ならバスに間に合うし~♪
貴重な情報をありがとうございま~す。

投稿: SAKURA | 2009.09.15 23:22

あれ(^_^)v
一年ぶりです。
komadoさんとは小金沢山と牛奥ノ雁が腹摺山の
途中でたぶんすれちがってますよ。
姿・形からどっかで見た人だと思ったのがたぶん
komadoさんでしょうね。失礼しました。
単独行のオヤジです。
今年はマイカーで石丸峠下まで行ったので、
バスより一時間早く牛奥ノ雁が腹摺山に到着
見事な富士山に見とれて一人のんびりして
大菩薩に引き返しました。
朝は風が強くどうなることかと思いましたが
日中はすばらしい山行日和でしたね。

大菩薩方面の鹿の食害も近々調査との
報道もありました。

また「すれちがえる」ことを楽しみにしています。

投稿: yama | 2009.09.15 22:59

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 富士をお供に・初秋の小金沢連嶺と南大菩薩:

« 横尾山~飯盛山・草原と藪の交錯する稜線 | トップページ | 色づき始めた南アの稜線へ 1(鳥倉林道~三伏峠) »