色づき始めた南アの稜線へ 2(三伏峠~塩見岳~熊ノ平)
(雪投沢の下降点附近より塩見岳を振り返る)
昨晩星空が凄かったわけですから、翌日も天気が悪い訳がありません。とはいえ3時過ぎに起床したので起きたときはまだまだ星空。三伏峠小屋では4時から朝食が摂れるというのが、この日の行程が長目だし、それがたいへん嬉しいことでした。(^^)
おかげで4時半前にはもう出発。ヘッデンつけてさっそく歩き出します。暗い内から歩き出したのも久しぶりの事だけど、星空から徐々に明るくなって周囲の山山が見えてくる様子というのはなかなかいいものです。
(朝の塩見小屋)
本谷山に着くと夜も明け、しばらくは展望を楽しみつつ稜線歩きが続きますが、やがて稜線を離れてシラベ林のトラバースに変わります。日中なら涼しくて良いのでしょうが、朝の内は日陰だし結構寒かったです。
そして再び稜線に上がるとそこは塩見新道との分岐。20分ほどで塩見小屋に着きましたが、塩見小屋って本当に小さい小屋なんですね。実物を見て本当にビックリしました。塩見岳自体が深田百名山だし、これでは完全予約制になるのもしょうがないかなぁ、と一人勝手に納得したのでした。
(ウラシマツツジ)
小屋からは塩見岳の山頂に向け本格的な登りに変わります。決して広範囲を云う訳ではありませんがウラシマツツジなどの草紅葉も見頃になっていてなかなか見事でしたけど、見た目通りなかなかキツいですね。ヘロヘロしながら登って、なんとか三角点のある東峰に到着。
この日は若干霞んではいたものの、南ア南部の山々や雲海の奥に浮かぶ高山たちもしっかり見えます。
(富士と塩見岳東峰)
(北俣尾根の奥に荒川三山)
(中央アルプスと塩見岳西峰)
個人的には以前から読んでいた永野(敏夫・正子)さんの歩かれた尾根をようやく目のあたりにできてちょっと感慨深かったです。いつかはそれらの尾根を歩きたいなぁ、と思いつつ山頂でいろいろな方とお話ししながらのんびり。
あと蝙蝠岳への稜線も完全にボク好みの緩やかなカタチで、ここもいつかは歩きたいと思いました!
(イワベンケイ)
(蝙蝠岳の稜線も気になります)
しかしのんびりしているうちにもハイカーが三伏方面から続々とやってくるのでそろそろ潮時かな、と腰を上げて先を行きます。山頂から北俣岳の間がこの辺りで一番草紅葉の見事なところでもありましたが、何が良いってここからは人が一気に減ってくれた事です。
人が減ると本当に落ち着くますネ。もちろん連休ですから熊ノ平から人は来ますが、三伏~塩見間に比べればほとんどいないも同然。北俣岳からの急降下をこなせばあとはゆったりした稜線歩きが待っていました。(^^)
(間ノ岳・農鳥山の左脇に仙丈と甲斐駒も見える)
(北荒川岳・旧テン場の小屋も見える)
本や雑誌でその名前だけは知っていた雪投沢や北荒川岳のテン場跡をこの目で見られたのも少々感慨深かったです。
その北荒川岳西側の崩落地を見るとここで道は稜線の東を捲くようになりましたが、森林限界附近のせいか歪曲したダケカンバの風情が印象的。ダケカンバやナナカマドの紅葉もそろそろ見頃の感じでしたけど色づきとしては今ひとつかも。でもそこは強烈な日差しでカバーしてくれて、なかなか見事でした。
(木々の紅葉は見頃だが色つきは今ひとつか)
ダケカンバ林のお花畑はシカの嫌いな枯れかけたマルバダケブキやコバイケイソウばかり、いやあとおそらく枯れたミヤマコウゾリナも結構いましたけど、咲いている花となるとホソバトリカブトやハクサンフウロ、キオン辺りがちょこっと咲き残っているぐらい。
道は時折稜線上に上がりますが、基本的にはそんなダケカンバ林に黒木のそれらしいシラベ林を交えつつ稜線を東に捲きながら行く感じです。この標高で日差しを避けられる所に事欠かないのはさすがに南ア、というかこういうのが南アのイメージなのかなぁ、とおのぼりさんのボクは思ったのでした。
(熊ノ平が近づくとガスってきたが・・・)
時間に余裕がある事もあってのんびり歩いて行きましたが、やがて安倍荒倉岳に近づく頃、とうとうガスが出てきて後ろの塩見岳が、そして目の前の間ノ岳が消えかかってもうこれまでか・・・と思ったけど、これがなかなかしぶとい。結局熊ノ平の小屋まで天気がもってしまいました。ラッキー。
熊ノ平は黒木に囲まれた所で小屋もそれらしい雰囲気なのがいいですね。水も豊富でコレで昔のように風呂に入れたらなぁ・・・なんて云っちゃぁいけませんネ(笑)。
(本日のお宿・熊ノ平小屋)
小屋閉めを翌日に控えているため、ビールが夕方前には売り切れてしまったり(ボクは早く着いたのでたてつづけに二本も飲んでしまったのでした・笑)、食事もそれらしい感じではありましたけど、小屋番さんを始め話し相手にも恵まれ楽しい一夜を過ごす事ができました。
・・・・・☆
◆ 2009.09.21 (Mon) 晴
三伏峠小屋 04:20- 本谷山 05:20- 塩見小屋 06:35/06:45- 塩見岳西峰 07:35/07:55- 塩見岳東峰 08:00/08:40- 北荒川岳 10:45/11:10- 安倍荒倉岳 13:00- 熊ノ平小屋 13:35
熊ノ平小屋 一泊二食 ¥8000
ビール(ショート缶)x2 ¥1200
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コメント
yyggさん、
塩見の方、拝見してたんですけど北側からだとどうしても北岳に泊まるか、それを避けると3泊になってしまうんで考えあぐねていたんですけど、旨い具合にリブルさんが歩かれてくれてラッキーでした。
ビールは小屋番さん曰く、今年の夏はお客さんが本当に少なかったので9月に入ってから余りそうなビールをヘリで戻したとの事。そうしたらあの連休前半で恐ろしいぐらいに売れてしまい、品薄になったらしいです。
そうそう針ノ木古道歩かれたんですね。あそこはボクも興味があって、立山へ行く機会があったらあそこを歩いて訪れようと思っているんです。(^^)
投稿: komado | 2009.09.29 19:24
zioさん、
南ア南部は小屋閉めが早い所も多いので仰る通りボクも夏しか考えていませんでしたけど、お彼岸までなら何とかなるんですね。
この連休はどこも相当混んだようですので、南アのマイナーな小屋も連休が長く続く時は9月いっぱいぐらいまで営業期間を延ばすんじゃないかなぁ~と思いました。
投稿: komado | 2009.09.29 19:19
SAKURAさん、
こちらで返信しちゃいますけどm(_ _)m、シルバーウィークは日光だったんですね。それまでがボクなんかよりもお盛んに高山へ行かれていた印象があったので、SAKURAさんもどこか高い所へ行かれていたと思っていました。
でも混んでいたとはいえ、三伏でも熊ノ平でも人間扱いされたスペースが確保できたのでラッキーでした。三伏から北も南もあの連休はエラい混みようだったようで。。。今から思えばそれもラッキーというか神の御業でした。(^^)
投稿: komado | 2009.09.29 19:15
tawaさん、
南ア南部、特に三伏から荒川は標高も低く、正直あまり興味がなかったんですけど、今回歩いて是非とも歩きたくなりました。高山裏から荒川はキツそうだけど、めどもついたし。来年が楽しみです。(^^)
投稿: komado | 2009.09.29 19:11
8月に登ったばかりなのでひじょうに興味深く拝見しました。
コースは逆でしたけど、蝙蝠岳についてはまったく同感です。
私たちの最初の計画にはあったんですけど、仙塩尾根を歩くのが目的だったので却下でした。
私事で言えばシルバーウィークに針ノ木古道から五色ヶ原を歩いてきましたが、やはり小屋閉めを控えているためにビールに有りつけない小屋がありました。
登って来る人たちに小屋に行ってもビールは無いよ、と伝えたら本当にガッカリしていました。
どこの小屋とは言いませんが、残酷というのは言い過ぎ??
投稿: yygg | 2009.09.28 20:44
南アは懐が深いので、夏しか考えた事がありませんでしたが、秋の高気圧の下もいいですね。
ZIOめも熊ノ平小屋は好印象の山小屋のひとつです。
ある夏、家族4人で辿りついた時の、柔らかな感じを想い出します。
そうそう、南ア好きの昔の書記長さんが、ヤマケイのスタッフと来ていましたっけ。
投稿: zio | 2009.09.27 10:40
素晴らしい展望でよいお天気だったんですね。
雄大な山々を羨ましく拝見です。
やっぱり南アと言えども連休は小屋は混むんですね。
それにもう早々と小屋閉めなんですねぇ…寂しい!
北アも南アも好天の山旅でラッキーですね~♪
思い立ってすぐ行動できる気力と体力が羨ましいな…
投稿: SAKURA | 2009.09.26 22:42
南ア南部というと、聖~赤石~荒川三山と歩いたことがあります。特に3日目に百間洞から千枚小屋(最近焼失したのですか)まで歩いた時は、山のスケールをイヤというほど味わいました(笑) でも、荒川岳南面のお花畑は凄かったです。
投稿: tawa | 2009.09.26 00:33
タカさん、
タカさんも蝙蝠、行きそびれておられましたか。
あそこは塩見小屋に泊まらない限りロングを強いられるし、その後もけっして利便の良い所ではないのでどうしても後回しになってしまいますよね。
でもボク的には今回歩いてめどがついた感じです。(^^)
投稿: komado | 2009.09.25 22:26
Tetsuさん、
仙丈や間ノ岳以南は今回初めて歩いたんですけど、いわゆる南アらしさというか南ア南部の雰囲気をちょっと味わえたのが今回一番有意義なことだったかもしれません。
蝙蝠は絶対行きたいし、恐らく次の南ア行きの時はやっぱり南部になるでしょうね。
投稿: komado | 2009.09.25 22:24
リブルさん、
あら熊ノ平の小屋には若い女性がいたのですか!ボクが歩いた時はもう小屋閉め直前だったこともあっておじさんが一人で切り盛りしていました。
云うべき事はきちんと言う人でしたけど、時折人を喰った事を云ったりしてなかなか面白い人でしたよ。(^^)
投稿: komado | 2009.09.25 22:21
南を歩いた時に、歩き残したのが蝙蝠岳。
いつかは歩きたいと思いつつ、はや20年を過ぎました。
投稿: タカ | 2009.09.25 07:03
塩見は三伏から往復の方ががほとんどで熊ノ平へ向かうのはほんの一握りですね。
先へ進んだ3~4名が同じコースを相前後して歩いていると、一期一会なのに旧知の友みたいになってしまうのも山歩きの面白さです。
当時のままの姿で大分貫禄がついた熊ノ平小屋。北荒川岳のテン場がなくなり、お花畑が少なくなったとはいえ、奥深い南アの記憶を呼び起こしてくれました。
そうそう「ゆったりした蝙蝠岳への稜線の一条のトレース。いつかは辿ってみたい」と自分の山行記にも書いてありました。
投稿: Tetsu | 2009.09.25 00:02
「富士と塩見岳東峰」の写真は自分も同じ所で撮りました。あのセットがいいですよね。人が立っているのもやっぱり同じ。(^^;
熊ノ平の小屋番さんは結構若い女性の方がいましたね。
水は美味しいし、ほんといい小屋だと思います。
投稿: リブル | 2009.09.24 21:46