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2009.08.22

やっとこ遠出のお山へ 4(槍ヶ岳~双六小屋~笠ヶ岳)

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(槍ヶ岳から西へ下ると景色が一変する)

翌朝は雨の音もいつのまにやら消えて、3時頃になると槍ヶ岳でご来光を迎えようとしている人たちが起き出した所でボクも起床。外へ出てみるとまだガスが多いもののもうかなり晴れている感じ。

ということでしばらくは外で徐々にガスが晴れて行く様子を眺めつつちょっとのんびりしたら、昨日とは違いみなさんテンションが高いような雰囲気の中、朝食をとってさっそく出発します。

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(朝の槍ヶ岳)

個人的にこの日は行程が長いし、穂先はおそらく大渋滞だろうから端から穂先へあがるのは諦めていて、実際槍ヶ岳山荘に着いてみると、クリアすぎるぐらいに晴れ上がった穂先へはやっぱり蟻のような人の列ができていました。

山荘前からコレで最後となる東鎌尾根や常念山脈をしばらく眺めたら、ここで西の双六方面へ歩を進めますが、一歩下り始めると今までの景色とは一変。西鎌尾根の短いギザギザ部分の先には何ともたおやかな稜線が広がっていて(全ての稜線がそうではないけど)ちょっとわくわくしてきます。

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(笠ヶ岳はまだまだ遠い)

こちらへ下ると人が一気に減るのも好ましい。尾根の左右に広がる飛騨沢や千丈沢の緩やかな斜面に引き込まれそうになりながら急な斜面を下って千丈沢乗越まで降りると、ここからが本格的な尾根歩きの始まり。

西鎌尾根は見た目こそ鋸刃状の稜線ですが実際の道は東鎌尾根と違ってギャップは少なく、非常に歩きやすいことに驚きつつホッともしました。なんせ周囲の稜線やお花を愛でつつゆるゆる歩ける余裕があるのが大変良いですね。というか完全にボクの好みなのでした(笑)。

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(飛騨沢を見おろす)

そんなわけでいつのまにやらギザギザ部分を過ぎればあとはその稜線の姿からして稜線漫歩しか待っていません(笑)(^^)。

しかし歩いていると徐々に硫黄臭が漂ってくるようになったんですけど、これはやっぱり硫黄尾根から漂ってくるものなのでしょうかね??二年前に初めてその特異な姿を見た硫黄尾根を間近で見られるのも個人的には妙な感慨がちょっとだけありました。

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(西鎌尾根と槍ヶ岳を振り返る)

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(雪田が残っていたせいかコバイケソウまだ満開だった)

お花は今までに見慣れた花にプラスして、タカネナデシコにイブキジャコウソウ、クロトウヒレン、ミヤマタンポポ、ミネウスユキソウ、ミヤマリンドウ。左俣岳を過ぎると雪田も残っていたせいかシナノキンバイに、しおれかけたイワカガミも残っていてビックリ。でも一番目を引いたのは運良くまだまだ盛りだったコバイケイソウ。かなり濃い所もあってなかなかの見応え。もう遅いかと思っていたので充分に満足できました。

とりあえず硫黄尾根のピークに寄って(登山道は捲いている)硫黄乗越に緩く降りると、そこから先のピークの続く様子に結構なアップダウンが待っているのかなぁ、と思っていたら、実際の道はそのピーク群をうまく捲いてくれて樅沢岳だけに上がるようについています。

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(ゆるゆる歩ける西鎌尾根)

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(親子の雷鳥も見かけた)

樅沢岳から双六小屋へ降りる所は急ですけど、な~んかいい感じですね。小屋にすぐに着いて欲しくないなぁ、と思ってもあっという間に降り立ってしまいます。

さて、小屋に着いたらここで早めのランチ。実は前の日になぜかお腹をコワしてしまったので、お弁当は頼まずここのうどんをあてにしていたのでした。でもまだ朝の9時過ぎだというのにうどんを作ってくれる双六小屋って・・・今回は本当に助かったし、ありがたかったです。そしてうどんの味もかなりのレベルだったことを付け加えておきますネ♪

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(樅沢岳から双六小屋へ下るところ)

美味しいうどんを食べてますます気分が良くなった所で、すぐに腰を上げ再出発。双六小屋でもまだこの日の行程の半分以下なんですけど、時間はまだ10時前。これなら問題なく笠ヶ岳へ向かえます。

小屋から弓折岳の分岐までは今回の行程で唯一過去に歩いたことのある所。再び登山者も増えてきましたがそれほどでもありません。クロユリ平では個人的にクロユリを期待していたんですけど見る影もありません。さすがにこの時期じゃ遅いよなぁ。。。

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(この日見かけたお花のごく一部)

・・・と思ったらここでなんと今回は端から諦めていたキヌガサソウがいてビックリ。するとそのしばらく先にいました!いましたよっ!クロユリがっっ!!咲いていたのは一株だけだったけど月山以来丸七年ぶりの再会だったのでひとり狂喜してしまいました。(^^)

クロユリは弓折岳分岐を過ぎてもちょっとだけ見られてもうそれだけで満足。分岐から笠へ向かえば人は減るんじゃないか?という予想は外れてこちらの方もそれなりにハイカーがいたのは個人的には意外でした。

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(大ノマ岳から秩父平を見下ろす)

でも弓折岳分岐から笠ヶ岳の間がこの日西鎌尾根と並んでのハイライトで、お花は西鎌尾根よりも多く、雪はほとんど見かけなかったものの、ミツバオウレンにイワカガミ、ハクサンチドリが咲き残っていたのは嬉しかった。そしてその反対に今まで見かけなかったオヤマリンドウ?やトウヤクリンドウがいて、花の種類では今回の山行きで一番多い箇所だったと思います。

それに大ノマ岳から見下ろす秩父平の広がりもなかなか感動的で見事だったんですけど、実際に降りた時にはガスってしまってそれが残念ではありました。

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(ここまで来ても笠ヶ岳はなかなか姿を現さなかった)

でもこの日はガスが出ても一昨日のように完全にガスに覆われることはなく、しぶとく晴れてくれたのは幸運でした。稜線の右側に見慣れない高峰がいて、アレは何??と思って地図で確認したら黒部五郎だったとか、道中どうでもいいことでいちいち感動していたような気がします。

それにしてもガスが湧いていたせいかどうかわからないけど先ほどまで歩いていた西鎌尾根よりも秩父平から抜戸岳~笠ヶ岳の稜線の方が歩いていて妙な高度感があったような。。。なんでだろう??

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(雲海の奥に白山。笠ヶ岳山荘の裏手から)

抜戸岳を過ぎるとようやく笠ヶ岳との再会、ですが山頂だけがなぜかなかなか姿を見せてくれなくて、イライラしながら登っていたらいつの間にやら笠ヶ岳山荘に着いていました(笑)。もう山頂のガスは晴れそうにないのでさっさと小屋で宿泊手続きをすると・・・

なんと小屋は新しくて綺麗だし、蚕棚の寝所から寝ながらにして↓↓こんな光景が見られてただただ感動!食事もたいへん美味しく、なによりちょっとイカついおっちゃんあんちゃんがキビキビと動く姿は小屋としては異色なのかもしれないけど、端から見ていても大変に気持ちのいいものでした。

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(寝所の窓からこんな写真が撮れる素晴らしさ)

この日も布団一枚以上を確保でき、まわりの人もいい方達ばかりでこの日も楽しい一夜を過ごせたのでした。(^^)(^^)(^^)
 
・・・・・☆

◆ 2009.08.14 (Fri)  晴 
ヒュッテ大槍 05:20- 槍ヶ岳山荘 05:55/06:10- 千丈沢乗越 06:40- 硫黄乗越 08:00- 双六小屋 09:10/09:40- 弓折岳分岐 10:30- 秩父平 12:00- 抜戸岳 12:55- 笠ヶ岳山荘 13:50
 
 
うどん(双六小屋) ¥800
トイレチップ(双六小屋) ¥100
笠ヶ岳山荘 一泊二食 ¥8800
トイレチップ(笠ヶ岳山荘) ¥100
ビール(ロング缶) ¥800
PETお茶2本 ¥800 
 

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コメント

れれちゃん、

まー今は重荷がもてないのでボク的にはかなりベタなコース取りではありましたけど、上高地も穂高もはしょった今回のコース取りは結果として良かったのかもしれません。

しかし食事付きだと楽ですね。そのぶん着替えを持ってったので嵩はふくれましたけどやっぱり軽いわ。今回は「歩いてること自体」が爽快で気持ちの良いものでした。別に急いでいるわけでもないのにこの時間でまとまったのはそのお陰でしょう。毎回こう歩ければ良いんですけどねぇ。。。

投稿: komado | 2009.08.27 19:45

ba_sobuさん、

双六では本当にニアミスだったんですね。ボクの当初の予定では10時ぐらいに着いて半くらいに出発かな~と思っていたので、もしバッタリだったら無理してでもお連れしたと思います(笑)。

とはいえ笠までは遠いですのでやっぱりこれで良かったのかも。行く機会はきっとありますよ!

投稿: komado | 2009.08.27 19:39

komadoちゃん、おはよ。
楽しく拝見させてもらいますた~

槍へは、どのルート使って行ったのカナ?
って思ってたんだけど。
行った事無い山の地図は頭の中で描けないので…
今回は、うちのママを巻き込んで予想していました(笑)

予想はビンゴ♪(笑)
母がね「凄い!健脚なのね~」って褒めてたよん。
(ピーク踏むのに)ダブってる部分が一杯あるのが凄いって^^

槍から見て、西と東でこんなに違うとは~!
山容がガラッと変わるのって、目も楽しいから飽きないよね~♪

わー!コバイケイソウ~当たり年だったんだね。
黒百合にも再会出来て良かったね。
8月のキヌガサソウにもビックリだわさ~!
あたしも8月下旬にヒナザクラを見た事あるんだな。
条件揃わなきゃあ見れないもの…
狂喜乱舞にイチイチ感動…わかるぅ(笑)

投稿: れれちゃん | 2009.08.26 09:08

すみません、名前が入ってなかった。
タカです。

黒百合、また見たい花ですね。

投稿: タカ | 2009.08.26 07:10

いいなぁ

もしわしらも朝から気合いを入れて歩いていたら
笠ヶ岳に行けたんじゃないかと 思ったりして・・・
双六小屋に出ていた笠へのコースタイムが5時間半ほどだったので、それなら 行けるんじゃないの?という話もでたのすが
自信がなかった・・ (/_;)

いいなぁ雲海の  さすがの景色  

投稿: ba_sobu | 2009.08.25 20:29

かずさん、

ほんと西鎌尾根はあの姿からするとかなりあっけなかったです。でも個人的にはその方が好みなので歩いて良かった。前日はお腹をコワしていたので実はこのまま槍平へ下ろうかともちょっとだけ思っていた時もあったのでした。

あの水晶小屋はレポ見たけど、かなり悲惨だよね。ぼくもそろそろそういう経験をするのかな??と思っていたら運良く今回も快適に過ごすことができました。以前から小屋の方がお盆は以前のように混まなくなった、といのは本当なのでしょうね。


あとはタカさん??ですよね?

クロユリはなっかなか縁のないお花で実は二年前も狙っていたんですけど全くいなかったので今回は諦めてモード。なので尚更嬉しかったかも。

でも今回も匂いをかぐ勇気はなかったな(笑)

投稿: komado | 2009.08.25 18:55

クロユリ、何年見てないかな~?

八ツの黒百合平で見たのが最後だから、17年位
ですかね。

投稿: | 2009.08.25 06:46

西鎌尾根は、まだ歩いたことが無いので、双六岳から見た感じでは、アップダウンが激しそうで、険しいんだろうなって思っていたけど、意外とすんなり歩けてしまうみたいだね。

花に雷鳥に、美しい山並み…。
北アを思いっきり満喫しちゃってるね~。
ちゃっかり僕も満喫させていただきました。
自分も一緒に歩いた気分です。読むのはタダだからお金も体力使わなくって楽チンだあ。(笑)

水晶小屋のギュウギュウを体験した後双六小屋に泊まった時は天国でしたよ。
布団一枚に寝られるのがどれだけ幸せなことか思い知らされました。
今回は、布団一枚に3人とかの苦労話は無くて良かったね。
小屋が多いところは、疲れたら今日はここまでって気軽に中断できるとこがいいよね。それでもこの日はずいぶん歩いてるよ~。天気が良くて、眺めがいいと足が軽いのかな?

コバイケイソウの群落は半端ね~くらいすごい!
スケールが違うよなあ。
雲海の写真もドマティック~♪

投稿: かず | 2009.08.24 18:46

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