初冬の石尾根をのんびりと
(石尾根縦走路、城山附近にて・Part1)
ここへ来て12月らしくない暖かい日が続きますね。前の晩の雨から天気が回復することが予想されたので10日はなぜかお山に行ってました(笑)。本当は別の所の予定だったんですけど、前の晩の雨がしっかり降ったので薮は避けて、今度こそ回復途上の展望をのんびりと楽しもうと9月以来となる鷹ノ巣山に変更。あとは六ツ石山まで縦走してから10年以上ぶりぐらいにハンノキ尾根を降り、むかしみちを歩いて奥多摩駅に出ました。
ここのところ鷹ノ巣というと稲村岩尾根ばかりなので、今回の登路は毛色を変えて久し振りとなるネズミザス尾根。平日なのでバスは中日原で降りたのですが、ここでバスを降りたのもかなり久し振りのことだと思います。
(ネズミザス尾根上部にて)
雲一つない青空に聳える稲村岩をカメラに収めてから日原川におり、お次の鷹ノ巣谷を渡る橋へ向かうと、なんと橋が朽ち始め、しかも傾いていてここの通過はちょっとスリリングでした。
さっそくネズミサス尾根に取り付き、初っぱなの露岩混じりの急斜面をこなして739m峰に上がれば、あとは難場もなく尾根をひたすらに登っていくだけ。初訪の折りはほぼガスだったので周囲を見ながら登れたのがちょっと嬉しかったです。
(石尾根縦走路、城山附近にて・Part2)
植林が切れて自然林が現れるとじきにカラ沢尾根と合流。ここまで来ると鷹ノ巣ももう間近で、素敵な林の中を20分程でカラ沢ノ頭に到着しました。
ちょっと休んでから石尾根伝いに鷹ノ巣山を目指します。こらちも立派なブナやミズナラの木々が見られる明るい防火帯でゆるゆる歩ける幸せな道のり。ネズミザス尾根やカラ沢尾根に足りない自然林はこちらでカバーできるのです。(^^)
(縦走路より日陰名栗峰と雲取山)
しかし気温が高いせいでしょう。今まで雲一つない青空だったのに雲がだんだん出てきて、楽しみにしていた富士はもう見えませんでした。でも雲の切れ間から真っ白に化粧直しをした姿を見せてくれた南アの山は塩見か?聖か?周りが見えないのでいまいち判断できません。
誰もいない鷹ノ巣山に着くともう日差しすらなく、それでも周囲が見える分9月の時よりはマシだけどちょっと期待はずれ。一人貧しい食事をしたためていると今度は南側からガスが上がるようになって思わずうーん。(-"-;)
(鷹ノ巣山からの展望は・・・)
このあとの予定では七ツ石まで尾根伝いに歩くつもりだったんだけど、こんな天気じゃ歩く気もしない。じゃどうしようかなぁとしばらく考えていたら六ツ石山の南斜面はず~~っと歩いていないことを思い出して、それならハンノキ尾根があるな!と。
ということで下山路が決まったら腰を上げて、今度は下の捲き道を歩いて六ツ石山へ向かいます。
(全般に亘ってスズタケが枯れ出していた・石尾根縦走路の捲道)
捲道を歩くのは丸二年ぶり。こちらも上の尾根道と同様に自然林の多いなかなか素敵な道なのですが、驚いたのは石尾根南面のこちら側もとうとうスズタケが枯れ始めていたことでした。北側の日原側に比べると南面の方はスズタケが比較的良好に残っていたのですが、こちらも時間の問題なのでしょうね。
あとスズタケが枯れ出したのとシンクロしているのかは不明ですけど、こちらはシカのフンにその姿も頻繁に見られました。特に六ツ石山周辺はフンがあちこちに落ちていて最盛期(2000~2003年くらい)の日原を想起させるような様相になっていたのにはビックリと云うより、驚愕と言った方が近いかも。
(六ツ石山より石尾根と鷹ノ巣山)
こんな日ですから六ツ石山にも当然誰もおらず、振り返って鷹ノ巣の姿を一瞥してからそのまま南の防火帯を下ります。
ふかふかの落ち葉を踏みしめながら、蹴散らしながらゆるゆる降りていき、じきに水根への分岐となるトオノクボに着きます。ここで防火帯をなおもそのまま行くように降りるのがハンノキ尾根。この辺りはまだ何となく覚えていました。
(トオノクボへの下りしな)
結局防火帯は尾根を右に分ける1180m圏まで続いて、それからは植林と雑木林に分けられた尾根を降りていく感じ。一くだりで左から水根からの水平路と合流します。下りしなふと落ち葉を見るとミズナラにコナラの混交する様子がわかってそれがちょっと新鮮で面白かったです。
岩こぶというよりは石庭のような雰囲気もある1041m峰(沖ノ指)にはまだT.Yuiさんのプレートが残っていて、これも個人的には懐かしかった。一昔前はそこかしこにあったのに、少なくなりましたね。
(ハンノキ尾根下部の伐採跡より)
そして一面の伐採跡に出るとここで境への径路は尾根から外れるので、行ったことのないイソツネ山へ寄るためになおも尾根伝いに下ったのですが、途中には結構な露岩帯もあってそこは慎重に捲きました。
小笹の敷き詰められた広いイソツネ山に寄ったら来た道を戻り、途中からややトラバース気味行って径路に復帰。道も次第に明瞭になり、ススキの茂る中をずんずん下っていきます。
(境への下りしな)
そして趣のある境の集落を縫うように降り、むかしみちの通る所まで降りたところで境橋のバスの時間を確認すると次のバスは40分後。ここまで来たのだから歩いたことのないむかしみちでも歩いてみようか、ということ歩いてみました。
実際に歩いてみるとなかなか風光明媚ですね。青梅街道と比べると当然遠回りですけど趣はこちらの方が全然あるし、それよりなにより道中みかける鉄橋などの橋脚、トンネルなど昔に小河内と氷川を結んでいた廃線跡のアイテムが随所にあり、それがヲタ心をちょこっと刺激して(笑)それも楽しかったです。
・・・・・☆
◆ 2008.12.10 (Wed) 晴 後 曇
奥多摩駅 08:10→ 中日原 08:35- 739m峰 09:05- カラ沢尾根合流 10:20- カラ沢ノ頭 10:40- 鷹ノ巣山 11:30/12:10- 六ツ石山 13:30/13:40- トオノクボ 14:00- 1041m峰(沖ノ指)14:30- イソツネ山 15:00- 境 15:45- 奥多摩駅 16:40
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コメント
笹の観察人さん、こんばんわ。ようこそいらっしゃいました。(^^)
今年はスズタケの花が本当に凄いことになっていますね。記事では触れなかったんですけど奥多摩だけでなく南大菩薩の方も同じような状況で、スズタケの花粉にまみれることのできた貴重な年でしたけど、仰るとおり今後が心配ですね。
個人的には日原方面でスズタケが一斉に枯れた10年ほど前の事が植生に興味がなかった事もあってよくわからなかったのが心残りなのですが、今回と同じような形で枯れたのか?まぁその辺りはよくわからないんですけど、今回ショックだったのが石尾根南面にしろ南大菩薩にしろスズタケ後退の兆候が徐々にあったにしろ、この山行きの三ヶ月前まではそれなりに緑に茂っていた所が一斉に葉を落とし、ああなってしまったことでした。
本当に原因は何なんでしょうねぇ。。。原因がわからない以上もう推移を見ていくしかないんでしょうけど、スズタケに限らず今後の森の変化が気になっています。
投稿: komado | 2009.07.15 21:58
はじめまして。
ネットで奥多摩地域のスズタケの開花の情報を見つけて、2009年5月から観察を始めている者です。石尾根のスズタケは広範囲で開花しているようです。鷹ノ巣山の周辺もかなり激しく開花しています。すでに枯死した部分も多く、よーく見ると朽ちた穂の一部が付いているので数年前に開花枯死した物の様です。稈が完全に朽ちているものは、開花が原因かはわからないですが。もし、そうだとすると、5年以上前の物だと思います。六ツ石山頂からトオノクボまでもかなり開花してます。こちらも場所により枯死がかなり進み、枯れ残った部分から穂を出して咲いています。
今年の開花は5月中旬から始まって6月終わりでひとまず収束してます。(一部に追加の穂が出て咲いている所もある。)現在、結実が始まっています、結実の割合は悪く、1割5分ほどでした。結実成熟が終わると穂が崩れやすくなり、9月を過ぎると注意しないと穂の痕跡は気が付かないと思います。
七ッ石山、雲取山、蕎麦粒山などでも開花が確認されているようなのでかなり広範囲の開花のようです。
鹿の糞はあちこちで見られますが、今回は広範囲の一斉開花が見られるので鹿の食害による枯死ではないと思います。枯死の範囲も開花の範囲とほぼ一致しているので鹿によるスズタケの枯死は奥多摩地域では起こっていないものと思います。丹沢の枯死については、観察していませんが、状況からすると鹿の食害の可能性が高そうです。
投稿: 笹の観察人 | 2009.07.14 17:28
zioさん、こんにちわ。ようこそいらっしゃいました。(^^)
ハンノキ尾根は昔寺田さんのアルパインガイドがきっかけで登ったのですが、水根からの道は高校生の時に登って以来、未だに歩いていません(笑)。なので今の状況が正直わからないんですけど、林道も今はそれなりに延びているのでしょうね。
でも道迷いでなくてもイレギュラーなことが起きて何かを置き忘れたというのはごくたまにですけどボク自身も何回か経験があります。焦ったり反対に呆けたり(笑)心に余裕がなくなっちゃうんでしょうね。ボクはデジカメを買い換えたばかりなので、前のカメラの頃だったらおそらくそのまま諦めちゃう可能性が大きかったと思います。
投稿: komado | 2008.12.14 13:14
かずさん、こんにちわ。
むかしみち。面白いねぇ。ほんとおっしゃるとおりレールの上を歩くのは妙な高揚感が涌きますよね~。(^^)
でもあそこはまだ休止線なんですか!あくまで噂レベルですけど大昔某西武あたりが食指をのばしていたとか何とか。トロッコもいいけど個人的には新ニツからそろそろ入らなくなるであろうキハ52を譲り受けてあそこで走らせて欲しい(笑)。スズタケのことはBBSの方で書きますね~。
投稿: komado | 2008.12.14 13:07
はじめまして。
いつも楽しく、拝見しております。
そのゆったりした登山スタイルに、いつも感心しきりです。
ところで、先日(11/30)奥多摩湖、水根から六ツ石山を目指した際、ちょっとした道標の読み違いで林道のドンズマリまで行ってしまい、そこから一気にトオノクボを目指してしまいました。
祠や猪のヌタ場らしき場所などに遭遇して面白かったのですけれど、位置確認に気が集中していた為か、一息入れた地点でカメラを置き忘れてしまいました。
やはり、慣れない事は禁物ですね。
六ツ石山の下りの記事を見て、笑い話を書いて見ました。
投稿: zio | 2008.12.12 21:30
枯れたスズタケが当たり前のような景色が増えたよね。
鹿が食べているのか、どうか疑問なんだけど、他に原因は無さそうだしねえ。
根っこが残っていれば、復活しそうな気もするのですが、それも無いでしょ?不思議だなあ。
むかし道歩いたのね~。僕は4年前に歩いてました。
レールが残ってるのが嬉しいよね。廃線(実際は休止線)なのに、レールがあるのは、かなり珍しいですよ。レールの上を歩くと、ワクワクするのはなぜだろう?気分はスタンドバイミーですよ~。
投稿: かず | 2008.12.12 21:20
>日原街道を少し入ったあたりは貨車が置きっぱなしですね
リブルさん、こんばんわ。
そうそう石灰列車がまだ走っていた頃はバスの車窓からホキ(石灰用の貨車)が留置されていましたね。バスに乗るたびアレをのぞき見るのが楽しみでした。
確かに橋脚の方はちょっと心配です。でも今と違ってきちんとつくっているはずだから今のより却って丈夫なのかも(笑)。
投稿: komado | 2008.12.12 18:57
こんにちは。
ネズミサス尾根からでしたか。あの3つの尾根はずっと気になっていますが、冬枯れのこの時期が楽しくて良さそう。
真夏に登って倒れそうになったことがありますが、ハンノキ尾根もこの時期は楽しそうですね。
廃線跡と言えば、氷川から日原街道を少し入ったあたりは貨車が置きっぱなしですね。いつも歩きながら眺めてしまいます。
台風とかで鉄橋が倒れたりしないのかなと余計な心配ですかね。
投稿: リブル | 2008.12.11 23:06