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2007.10.26

バリエーションルートを楽しむ

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新ハイキング社刊  ISBN:9784915184338  ¥1,680

もうすでに買われた人も多いようですので説明は不要でしょうか。(^^ゞ

新ハイキング誌での記事(・・・にだけになってしまいましたね)でもお馴染みな松浦隆康さんの二年ぶりとなる著作第二弾「花・巨樹・滝・眺望 魅力の100コース バリエーションルートを楽しむ」が10/20に発売されました。

内容はもう言うまでもない?かも知れませんが今回の本も基本的に前の本(静かなる尾根歩き)と同様、概念図+文章という新ハイキング誌に近いフォーマットでまとめられており、その上に前の本ではなかった詳細な略図(主に取付など)がつくなど改善点も見られて、ガイドとしての完成度も上がっているのではないでしょうか。

とこう書いてしまうと前の本とあまり変わりないような気もしますけど、今回の本では副題にと記されているようにバリエーションのガイドとしてだけでなく山歩きの様々な楽しみがより強調されており、コース的にも困難さよりはそれらの趣?を重視したものになっています。とういことで個人的には痛し痒しな所もあったりしますけど(笑)まぁそれはそれ。内容の正確さや写真の素晴らしさ(雷岩からの写真は正直泣けました)と相俟ってある程度経験を積んだハイカーの皆様にはたいへんお勧めできる本になってます。(^^)(^^)

・・・・・☆

ええと、これは松浦さんの本が出てから・・・と言うわけではありませんけど、この手の歩きをされる人が近年増えつつあるのは肌身で感じていることで、まぁ基本的な持ち物(地形図&コンパス)で山歩きをされている方は問題ないとして、ボクが気になるのがそういう基本的な装備を持たずにこういう記事やインターネットで得た情報のコピーだけを持って山に入られている人も増えているということです(実のところ私自身そういう方を何度か救出しております)。せめてそういう方達におかれましてはごくごく基本的な山のスキルを備えられてからこの手の歩きをして欲しい、と願わずにはいられません。

山は、全ての人に平等ですが、また不平等でもあります。岩壁を登攀してピークに立つにはロッククライミングの技術が必要になりますが、バリエーションルートの世界を楽しむためには、地図読みの技術とコース情報の収集が重要になります。(-まえがきにかえて- より) 

ボクは後者の作業(情報収集)をまったくしない悪い子ですけど(笑)結局こういうことかな、と。ですので初心者の方はもちろんのこと、たとえ岩や雪や沢をやっていたベテランだとしても、この手の歩きはまた別のスキルであると言うことは実は声を大にして云いたいことでもあるのです。
 

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2007.10.23

青空と岩と紅葉と・・・

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(カンマンボロンと洞ノ岩の空洞)

さて秋の飯豊スペシャル山行も無事終わり、これからは徐々に寒くなってホームの山山の季節になってきました。それでも今年の紅葉の遅れの具合から近場の見頃はまだ少し先のようなので、今週(10/20)はちょっと高いところ・・・奥秩父の瑞牆山でした。

今回は刊行されたばかりの筆まかせさんこと松浦隆康さんの「バリエーションルートを楽しむ」に載っていた瑞牆山西尾根にあるカンマンボロン経由で上がるつもりで、まずはタクシーで取付のあるみずがき大橋へ向かったのですが。。。

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(みずがき大橋・ここが登山口)

あの・・・ボク自身瑞牆山荘からみずがき山自然公園を通って小川山林道を結ぶ林道が出来ていることを全く知らずに、タクシーを天鳥川沿いのダートの林道(ヘルシーランドへ向かう道)に入れてしまった。まずこれが第一の間違い。まぁこれは新しいエアリア地形図やを見せてもらい間違いに気がついて、少しの歩きで登山口であるみずがき大橋に到着。さっそく遊歩道を歩き出しました。

カラマツ植林の中方々に延びる遊歩道の中で沢に沿うようにそして上へ上がるような道を選んで行き、「この道は登山道ではありません」という標識を見るとここで道は細い山道に変わりますが道筋はしっかりしています。じきに沢に沿っていた道が尾根へ向け登りに変わるとさすがは瑞牆山だなぁと思わせる様々な形の巨岩を見るようになり、やがてとある分岐点に出ます。

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(尾根北面はこんな感じ・間違い岩峰より)

その分岐の双方向には赤スプレーで「↑カ」と「ミ↑(瑞牆??)」と描かれていたので「カ」がおそらくカンマンボロンだろうと思い込んでカの道へ入って行くと、道はひと登りで巨岩の基部に出てその基部を西へ回り込むように登ると西尾根の鞍部に上がりました。

カンマンボロンはドコよ~??と思いつつ尾根を西へ行くと、上がれそうな岩コブがあったので何とか這い上がると↑そこはほぼ360度開けたところで、瑞牆の岩塔群が並んで聳えておりなかなか壮観な風景が広がっています。

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(道中は黒木の中に紅葉を見る感じ)

とはいえ、ここはここでたいへん良いところだけど明らかにカンマンボロンじゃないよ。ということでなぜかここで本のコピーが出てきて(笑)それよく見てみると今歩いたのは本で書かれたX印のルートだったことが判明してこれが第二の間違い。あの「カ」のスプレーは単に間違いなのかそれとも別の意味があるのか。。。とにかくここは引きこまれないようにご注意ください。

実際の分岐はそのスプレーの描かれた分岐から「ミ」の道を奥(東)へ少し行くと記述通りに根が岩を抱えたコメツガが居て、そこがカンマンボロンへの本当の分岐。さっそく急な踏み跡をたどり岩の基部に出たところで右へ行くと例のブナの巨樹も発見。そこから上へ少し行き見上げるととこれまた迫力のある洞ノ岩の空洞が目を引きます。

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(登山道合流点手前にある枝尾根の鞍部より)

ところがここまで来ても肝心のカンマンボロンがよくわからない。とりあえずすぐ左手に岩に挟まれた人の通れそうな狭い隙間があったのでそこを入ってみると、すぐ先が狭いながらもちょっとしたテラスになっていて周囲が開け、そして先程の空洞も先程以上の迫力で迫ってくるちょっと良いところでした。

暫くは景色を楽しんだり写真を撮ったりしたものの、じゃぁカンマンボロンはどこよ?ということで再び捜したんですけど、あれっ後のってもしかして・・・とその後の岩壁をよ~く見てみると、あっ これがそうなのっ!って感じでようやくカンマンボロンとご対面(笑)。ふぅ、ずいぶんと時間がかかったな。でもお陰でいろんな所を見られて楽しかったからまぁいいや。

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(八ヶ岳も白いものが・合流点近くより)

んで本来の道に戻ればあとは黒木の中、尾根の南側を捲くように付けられていて、まばらに色づく紅葉を愛でたり風光明媚な巨岩を見たりしながら登っていくと、枝尾根の鞍部出て右脇には富士がひょっこりと顔を出しています。そして梢越しながら上部にボチボチ見えていた細長い岩頭は大ヤスリ岩だったことがここでようやくわかりました。

ここまで来ればもう登山道との合流地点も推測できて、なおも急になった道を一頑張りすると大ヤスリ岩の基部に出ます。ここは西側の展望がひらけてこの日はじめてとなる八ヶ岳とのご対面で高い所はさすがに白くなっていました。

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(登山道合流点より大ヤスリ岩を見上げる)

その基部を東へ行くと富士見山荘からの登山道と合流しますが、登山道に出た途端まぁまぁなんとすごい人人人。天気は良いし紅葉も見頃だしそこそこの時間で登れるし深田百名山だし・・・まぁこれだけの人出も納得ではあるんですけど、想像よりも遙かに多くてそういう山に慣れていない身にはただただとまどうばかり。

結局渋滞したりのんびり休憩したりして(笑)山頂までは思いの外時間がかかってようやく到着。到着が遅れたお陰で山頂も人で溢れていましたがこれでもマシな方なのでしょう。でも好天もあって展望は本当に素晴らしく、人気があるのは当然っちゃぁ当然なワケなんですよね。(^^)

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(瑞牆山頂より大ヤスリ岩を見下ろす)

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(同じく・小川山)

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(同じく・金峰山、カラマツが多い)

でも混んだ山頂でランチをとる気はしなかったので先程の展望の良い大ヤスリ岩の基部まで戻ってから八ヶ岳をおかずに?ランチ。そしてランチを終えればあとは瑞牆山荘へ下るだけです。その下りは急な分だけ紅葉を愛でつつもすいすい行けます。

それでもヤナギ坂の登り返しが下りと決めた体には少々しんどかったりもしましたが、富士見山荘を過ぎるとミズナラ主体の自然林に変わって瑞牆山荘までがもう一つのハイライト。紅葉には少し早かったのですが、というか近年マトモに色づかない状況を考えると下手な紅葉より色の抜けかけた明るい緑の方がいっそ美しい。そしてそれが西日に当たって殊の外美しく、その夕日に向かって下るのは偶然とはいえ最高のフィナーレでした。

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(富士見平より下は見頃までもう少し)

瑞牆山荘に着いたらもう16時を過ぎていたので韮崎駅直通のバスは終わっており、あとは増富温泉止まりの終バスしかありません。心も体も落ち着くとバスがやってきて、さっそく乗り込むと運転手さんが「韮崎まで行かれる方は手を挙げてくださ~い」と言ったので手を挙げたら、なんと「5人以上挙がっていますので韮崎駅まで行きまーす」とのこと。ラッキー!!これで一時間は早く帰れる。しかしこの路線がこんなシステムになっていたとはまったく知らなかったです。

そんなわけで直通とわかればあとは・・・ということで発車時間の短い間にビールを買い込み(笑)バスは出発。車中は運転手さんの興味深い話に耳を峙てながら聞いたり、ビール片手に甲斐駒のシルエットを眺めたりと至福のひとときでした。(^^)

・・・・・☆

◆ 2007.10.20 (Sat)  晴
みずがき大橋 08:20-(道間違い30分ロス)- 本当の分岐 09:41- カンマンボロン 09:55/10:15- 枝尾根の鞍部 11:25/11:35- 登山道合流 12:15- 瑞牆山 12:45/13:05-(途中休憩50分)- 天鳥川 14:50- 富士見山荘 15:20/15:30- 瑞牆山荘 16:05

韮崎駅~ヘルシーランド タクシー ¥9000程
発泡酒(ロング缶・瑞牆山荘) ¥350
瑞牆山荘~韮崎駅(山梨峡北交通) ¥2000
 

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2007.10.19

飯豊はやっぱり・・・(^^) 4

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(えぶりさし、ようやく姿を現す。 ^^)

この日はとりあえず4時に起きたらまだまだ風雨が止んでないのでもう一度寝直して、再び目が覚めたら風は相変わらず強いものの雨はようやく止んだ模様、ということで時計を見たらちょうど5時でした。

しかし寒いわ。小屋の温度計は2℃(ちなみに前の日到着した時は12℃)でした。これで晴れとは云わないまでも空気がちょっとカラッとしてたら白いのも期待できたんだろうけど、この湿度の高さではそれも無理な話。のろのろ朝食を取り、貸し切り状態だったことを良いことにまわりに干していたモノを取り入れていそいそ準備を始めます。

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(鉾立峰に着いてしばらくすると・・・)

そして表に出て水場で顔を洗い、監視員さんに挨拶してから出発。前日ほどではないにしろ西風は強いし、相変わらずのガスの中でしたが、雨が降ってないだけで嬉しいものです。紅葉に名残のタカネマツムシソウやハクサンイチゲなどのお花も愛でつつ写真だって撮れるし(笑)。

大石山を過ぎ、鉾立峰でちょうど一時間。丁度よいのでちょっとお茶を飲んでいると、なんか行く先に山の姿がうっすらと見えるような見えないような・・・。

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(ガスが晴れて・・・↑↑トップへ)

まぁ気のせいだろうと思い北へ下り始めると、あれれガスが強い西風に飛ばされ、そしてみるみる切れて・・・ちょっ ちょっと杁差の姿がうっすらと見えてるじゃない!

もうもうそれだけで興奮していたら、西風がいつのまにやら周囲のガスを完全に吹き飛ばし杁差がその姿を、そして西俣も東俣も周囲の山山も現れ、そしてなんと日本海までクッキリ!この天気でまさかここまで見えるとは。。。

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(杁差への登りしなより鉾立峰を振り返る)

まさかまさかの思いがけない光景にひとり絶叫して展望を楽しんだり写真を撮ったり。振り返ると鉾立峰の紅葉もいい感じです。

天気は回復傾向のハズだしもしかしたらこのまま晴れるの?とも思いかけましたが、残念ながらそれも杁差小屋に着く頃にはまたガスに覆われてしまい、残念ながらつごう40分ほどのショータイムでした。

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(ガスが晴れていたのも杁差小屋まで)

結局杁差岳山頂で休むのは諦め小屋に寄って小休止。飯豊も建て替わった小屋が増えてこの小屋も古い方の小屋になった割にはまだまだ綺麗に使われているなと言う印象。とにかくここはロケーションが最高だから晴れてたらここに泊まりたかったんよな~。

小屋でパンを食べながらまだ決めていなかった下山ルートここで決めなければ・・・またガスっちゃったし西風も相変わらず強いので結局早く下れる東俣を下ることにしました。

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(長者平の一角)

小屋を出てガスガスの杁差岳に上がり祠に参拝すれば、名残惜しいですがあとは下山するしかありません。前杁差への道すがらもガスが晴れそうな事もあったのですが、先程のように綺麗に晴れることはなく基本的にはガスの中。

でもそれでも心底満足したのはやはり先程のショータイムがあったお陰でしょう。前杁差を過ぎるとまもなく背の高い灌木が現れ、おとといの早川のつきあげから続いた飯豊の稜線歩きもおしまい。千本峰へ向け急降下が始まります。

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(権内尾根が見えてきた)

やがてガスを抜け周囲が晴れてくると足下に権内尾根が見えるようになり、まもなく千本峰に。権内ノ峰へ向かうとブナの高木も現れ、木々は美しいものの下界がだんだん近づいて来るのでちょっと複雑な気分です。

そしてカモス頭からは主尾根を外れて東俣へ急降下。ブナやヒメコマツの立派な木々が目を引きますが、よそ見していると重荷ですしコケるので慎重に慎重に。。。

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(下ってきた尾根を振り返る・千本峰附近より)

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(カモス頭にて)

そして東俣の沢音が聞こえてくるとまもなく東俣にかかる橋に降り立ち山道はおしまい、ではなく対岸に渡ってからその対岸の尾根を上がる大高捲きのもう一仕事が残っています。しかしその登りもそう大したことはなく、再び降りて若いながらも美しいブナ林に変われば今度こそ山道はフィナーレ。

もう一度東俣に架かる橋を渡るとそこは東俣の林道終点で、フィナーレとはいえまた大石ダム8kmほどの道のりを残していますが、ここまで来ればもう下山したも同様。ちんたら歩いて大石ダムへ向かいます。

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(林道に出る手前、林は若いがブナが美しい)

途中で雨に降られて雨宿りしたりもしましたが、実働一時間ほどでゲートに到着。ここまで一般車が入れるのでもうタクシーでも呼んじゃおうかな~とケータイの電源を付けたらあっさり圏外(ドコモmova)で、やっぱりそう簡単に楽はさせてもらえないようです(笑)。

結局大石ダムまで足を延ばして山歩きはここで本当のフィナーレ。ここでタクシーを呼んで桂の関温泉ゆ~むへ直行。ここはR113沿いの道の駅関川に併設されており、しかも米坂線の越後下関にもほど近いという公共交通機関利用のハイカーには絶好の位置にある有り難い温泉です。

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(大石ダムより)

さっそくひとっ風呂浴び、それから16時台までない米坂線の時間までどうしよう・・・と思っていたら、館内に越後交通観光バスの時刻表が掲示されていたので、さっそく見てみるとなんと坂町行きの終バス(下関営業所15:41発)が20分後にあるじゃないの!でも始発が下関駅ではなく「下関営業所」となっているのでフロントの方に聞いたら駅からほど近いと云われたのでそれなら20分あれば行ける!と踏んで慌てて表に出て営業所へ。

下関営業所は駅前を通る旧米沢街道をなおも西(坂町方面)へ行った郵便局の隣にあり温泉から所用10分ほど。無事にバスに乗れ、坂町から新潟への電車の車中では綺麗な夕暮れも見られて今回の飯豊行きは無事に幕を閉じたのでした。あっそうそう下関~坂町のバスは土休日運休の平日運行オンリーですので悪しからずです~。
 
 
おしまい。(^^)
 
 
・・・・・☆

◆ 2007.10.09 (Teu)  曇 時々 晴
頼母木小屋 06:30- 大石山分岐 07:00- 鉾立峰 07:30- 杁差小屋 08:15/08:35- 杁差岳 08:40- 前杁差岳 09:15- 千本峰 10:00- 権内ノ峰 10:35- カモス頭 11:00- 東俣第二の橋 11:45- 林道終点 12:15- ゲート(東俣彫刻公園) 13:30- 大石ダム 14:15
 
大石ダム~桂の関温泉 タクシー(迎車) ¥2700
桂の関温泉ゆ~む 入浴料 ¥500
下関営業所~坂町駅(新潟交通観光バス) ¥440
 

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2007.10.16

飯豊はやっぱり・・・(^^) 3

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(御西小屋前の朝・・・05:30)

あの・・・前もって云っておきますけど、この日は以下の事情によりまともな写真はございませんので悪しからずです。<(_ _)>

ということでこの日も4時に起床。起きた時はすでに風が吹いて雨も降り出していたものの、まだ夜景が見えていたのに、のろのろ朝食と摂って出発する頃になると夜景が消え、大日岳も消えて・・・結局ガスガスの中のスタート。

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(天狗ノ庭から少し行ったところだと思う・・・06:31)

ガスガスの中でも紅葉も草紅葉も盛りでしたが雨が降っている上に風もかなり強く、ただただ歩くしかありません。今の様子を見てみたかった天狗ノ庭や御手洗ノ池なども一瞥して素通り。それでも烏帽子岳までは稜線の東側を捲くことが多いのでまだマシでした。

それが烏帽子岳への登りに差し掛かると道は稜線上に出ることが多くなり、途端に風や雨がバチバチとまともに吹き付けるようになります。おかげで体はフラれるし雨粒が痛いこと痛いこと。そして梅花皮山から梅花皮小屋のある十文字鞍部へ下りはじめると風はなおも強くなり、飛ばされそうになります。でも足下の紅葉がキレイなので思わず変な姿勢で立ち止まってしまうと、もーヤバ~い。(-"-;)

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(建て替わってキレイになった梅花皮小屋・・・08:27)

ほうほうの体で十文字鞍部に降り立ち、逃げるように小屋に入ってちょっと休憩。今の時間ですから中はみんな出払っていて誰もおらず、お隣の管理棟にも人のいる気配がありません。建て替わった小屋はもちろん中もキレイでしたがもう小屋内へ上がる気力はなく、土間の中でパンを食べてから再び外に出て嵐の中を歩きます。

ヘロヘロ北股岳に上がり山頂の祠に参拝して行くと、ここから門内岳の間の紅葉がこの日一番キレイでしたがもちろん写真も撮れずに見るだけ。そしてこれまた風の通りまくる門内小屋へヘロヘロ降りてまたお休み。こういう大荒れの時、避難小屋の存在って本当にありがたいですね。

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(風除室の扉も仕切もゆるゆる。ボロくなりましたねぇ。門内小屋・・・09:51)

休憩中にここで泊まっても翌日は西俣・東俣どちらを選んでも大石まで問題なく下れるので、もうここで止めてしまおうという誘惑に駆られたりもしましたが、まだ朝だし(笑)やはり水場の近い頼母木小屋までは行くことにして再スタート。相変わらず飛ばされそうになりながら先を行き、頼母木山からは見事な草紅葉の中をただただ歩いて、無事に小屋に到着しました。

連休の最終日とはいえこんな天気だし小屋には誰もいないだろうと思っていたのに、管理棟前の水場にはな~んとビールがプカプカ浮かんでいるじゃぁあ~りませんか!そんな想定外の光景に思わず絶叫していると(笑)管理棟から管理人さんが出てきたので「お世話になります」と管理費(宿泊代ね)を支払おうとしたら、その方は管理人ではなく「監視者」だから管理費はいらないと云われました。

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(頼母木小屋・・・実は翌朝の写真です ^^;;;)

その上翌週には水場を(おそらくペダルを漕ぐ夏期トイレも)かたづけると言っていたせいでしょうか、ビールも飯豊価格から北ア価格に値引きしてもらい、端からビールの入手を諦めていた身にはこれだけでこの日の労が報われた感じです。(^^)(^^)

小屋に入って荷物の整理をしていたら何とザックの中まで浸水していたものの、被害は着替え用のタイツだけですんだのはラッキーでした。こんな天気なので後はもう誰も来ないだろうと思っていたら夕方近くになって杁差から一人やって来てこの日の宿泊者は2名。寒冷前線が通過した後も風雨は止まず、それでも気温はしっかり急降下してかなり寒い一夜でした。
 
 
・・・つづく。(^^)
 
 
・・・・・☆

◆ 2007.10.08 (Mon)  雨(風 非常に強し)
御西小屋 05:30- 御手洗ノ池 06:45- 梅花皮小屋 08:15/08:30- 門内小屋 09:45/10:15- 頼母木小屋 11:40
 
ビール(ショート缶2本・頼母木小屋) ¥1000
 

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2007.10.13

飯豊はやっぱり・・・(^^) 2

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(大日岳直下より来た道を振り返る・右は牛首岳)

翌日は4時に起床して、チンタラ朝食を取りつつ空が明るくなり始めた5時半に出発。上を見上げれば青空が広がって嬉しい山日和。(^^) オンベ松尾根の登山口は林道終点の直前左手にあり、まずはアシ沢に下って橋で沢を渡りそれからオンベ松尾根に取り付きます。

まずはブナやミズナラ、ヒメコマツの立派な木も目立つ美しい自然林の中をせっせと登りますが、飯豊につきものの?極端な急傾斜がなく、重荷ながらも木々を愛でながら歩く余裕がありました。

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(登りだしはブナが美しい)

そんなわけでいともあっさりと月心清水に着くとここで立て続けに日帰りの方がやってきたので、休憩の後先に行ってもらいそれから再スタート。ひと登りで高木が少なくなると周囲が開け、目の前に行く先の尾根に櫛ヶ峰の稜線が目に入ります。ただ紅葉は10月に入っているというのに思いの外進んでいない感じ。

それでも辺りが開けると開放感があってやっぱり良いものです。一服平にも月心清水から一時間かからず到着すれば周囲に高木は完全になくなり、もう本山や御西の小屋も見えている。ナツカシー!!でも早川のつきあげの方を見るとすでに西側から妙な雲が出てきています。。。

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(一服平より櫛ヶ峰、早川のつきあげ方面)

さて事前の情報では一服平からはネマガリが被って藪道になると聞いていたのに、その先も刈り払われており至って快適。最後の登りは針金が張られているものの必要とするほどでもなく、じきに早川のつきあげに上がると・・・をを!なんと稜線の西側は紅葉真っ盛りじゃない!!

でも行く先となると牛首山は見えているものの、大日岳はすでにガスに覆われておりかなりガックリ。まさか今日はこのままなの??・・・とイヤな予感にさいなまれつつ、ぼちぼち出る日差しを逃さないように周囲の紅葉を撮りながら先を行きます。

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(早川のつきあげより・左は大日岳)

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(同じく・櫛ヶ峰を振り返る)

少々わかり辛いですけど↑の櫛ヶ峰の写真、稜線を挟んで色づきの違いがわかるでしょうか。

この頃から御西泊まりのハイカーとすれ違うようになり、情報仕入れがてら(ちなみに前の晩の御西小屋は土間まで人が溢れたらしい)のお話しの中でこちらがタクシーで六千円かかったって云ったら「お金持ちね~っ」とからかわれたり(笑)、まぁ紅葉が盛りのせいでしょうかみなさん笑顔笑顔。

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(牛ヶ首へ下り始めると大日岳がようやく姿を現した)

牛首山を越え牛ヶ首へ降り始めるとようやく大日岳も姿を現して、これは嬉しかったというより心底ホッとしたというのが正直なところでした。

そして牛ヶ首へ下ればあとは山頂へ向けての最後の登りで、道は一度尾根を右に捲いてから尾根上に戻り、これも見た目よりもあっさりと大日岳の山頂に着いてしまいました。

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(大日岳より御西、本山方面)

山頂には先客さんが5.6名ほどおり、ここでようやく加治川を挟んで聳える北股岳とも再会。しばらく周囲の展望を楽しんだらこの日のもう一つの目的、ほとんど相手にされないながらも飯豊第二の三角点峰である西大日岳へ向かいます。

その西大日への道は大日岳からの下りだしこそハイマツが被って歩きづらくなっていましたが、藪が被るのはそこだけ。あとは道筋もしっかりしており大日岳から20分ほどで到着。

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(西大日岳へ向かいます)

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(西大日岳山頂にて)

三角点をカメラに収めたら今回は静かなこの西大日でのんびりランチを取り、ちょっとお昼寝。やっぱオイラにゃ静かなこちらの方が性に合ってるわ。

一時間近くのんびりしたら腰を上げて大日岳に戻ります。戻りは25分。これなら大日岳から往復一時間も見れば充分ですね。大日岳に着いたらもう一度周囲の展望を楽しんで、とりあえず御西小屋へ向かいました。

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(文平の池と天狗岳、御西)

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(大日岳を振り返る)

紅葉はこの間も楽しめて、のんびり写真を撮りながら歩いても建て替わって黒くなった御西小屋が徐々に近づいて・・・間もなく到着。

小屋は将棋駒型ながら杁差小屋をちょっと肥えさせた感じでしょうか。さっそく中に入るとやっぱりキレイで、二階へは階段で上がれるようになってるし、内トイレ(!)もありましたけどこれはすでに使用中止(旧小屋時代の別棟トイレが冬季トイレのようです)でした。

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(御西小屋より北股、烏帽子方面)

それに周囲の開けまくったロケーションは当然ながら良いところで、こんな所だとねぇ・・・やっぱりビールが飲みたくなってしまい思わずザックをごそごそ・・・プシューッッ・・・あ~あ、開けちゃった。。。(^^)

とういことで梅花皮小屋へ向かう余裕がまだまだあるのに、ここで打ち止めが決定(笑)。

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(大日岳と御西小屋の夕暮れ)

結局あとは飲んだくれながら御西岳へ寄ったり表でボーっとしたりと、まったり過ごしているとさすがに連休ですね。あとからぞくぞくとやって来て結局この日の泊まりは15名ほど。この小屋の規模では丁度よい塩梅でした。

その後も夕暮れを楽しみ、夜景も天の川も見られて上々の一夜でしたけど、翌日は寒冷前線が来ており天気は下り坂。ちょっと不安を持ちつつシュラフに潜り込みました。
 
 
・・・つづく。(^^)
 
 
・・・・・☆

◆ 2007.10.07 (Sun)  晴 時々 曇
湯ノ島小屋 05:35- 月心清水 06:50/07:00- 一服平 07:55/08:15- 早川のつきあげ 08:55/09:05- 牛ヶ首 10:55- 大日岳 10:35/10:45- 西大日岳 11:05/12:00- 大日岳 12:25- 御西小屋 13:25
 
御西小屋 寝具無素泊(しかありません) ¥2000
 

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2007.10.11

飯豊はやっぱり・・・(^^) 1

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(初日のお宿、湯ノ島小屋)

いやぁ・・・ホンマに長かった。。。
体をこわしバイクを手放してからず~~~~~~っとご無沙汰だった上に、計画してからは天気にも見放されて・・・いつの間にやら12年も経っていましたヨ。

ということで体育の日の連休は紅葉見物も兼ねて12年ぶりの飯豊でした。(^^)

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(実川ゲートからの歩きしな)

ボクにとっての飯豊は新潟側は加治川上流の湯ノ平温泉をベースにするのが大半だったのですが、加治川の林道が表向き歩けなくなってもう5年以上経っているのに未だに入れないので、今回は主立った登山道でまだ未踏だった鹿瀬というか今は阿賀町に変わった実川からオンベ松尾根を登っての飯豊入りです。

ということで初日は新潟まで新幹線で出てから先月も乗った磐越西線に乗りかえて日出谷へ出ます。

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(前川ダムの様子)

日出谷っちゃぁヲタな話なんですけど(笑)、最近磐越西線にSLが走って再び脚光を集めた駅弁とりめしが有名で、ボク自身湯ノ平の帰りには必ず買って駅で食べていたのでここは買いに行きたかったのですが、山行きの前とあってはお弁当はゴミになるだけなので泣く泣くスルーせざるを得ません。予約したタクシーに乗ってさっそく実川のゲートへ出ました。

心配した実川までのタクシー料金も某新ハイ誌の記事よりもなぜか安く済んで気分も上々。重荷をヨイサと担いでさっそく林道を歩きます。

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(これが恐怖の??トンネル)

初日は湯ノ島小屋まで二時間ほどの林道歩き。足下の実川や林道端のお花や木々をめでながらのんびり歩けて雰囲気は悪くありません。所々葉が赤く枯れた木々が散見されましたけどこれがナラ枯れの木々なのでしょう。しかしゲートからは一般車は入れないはずなのに一般車らしき車を見かけるのはなんでだろ~??♪

前川ダム、実川発電所を過ぎるとまもなくこの林道で一番イヤだな~と思っていたトンネルに出ます。このトンネル、長さ800mほどの電灯が皆無なキョーフのトンネルで、日中にトンネルを歩くのが苦手なボクは手持ちの'95エアリアで赤破線で記載されているトンネルを避ける旧道をまずは捜したのですが藪に埋もれて道形なし。しょうがないのでヘッデン出してトンネルの中へ。所要時間は10分ちょいでした。

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(こりがオンベ松尾根の登山口)

トンネルを抜けしばらく行き周囲が美しいブナ林に変わると、左手に「ようこそ」と書かれたブナの木の脇に道が延びていてこれが湯ノ島小屋への道。ブナ林の中を行くとまもなく到着しました。

小屋はそんなブナ林の中にあるせいか小屋内は若干暗めですけどキレイで、そのロケーションの良さと相俟って至って快適です。中に先客さんの荷物が一つあり、その後三人パーティが来てこの日の宿泊者は計5名。しかし避難小屋で黒一点なんて珍しいな。。。(笑) 用足しがてら夜表に出ると、ブナの木々の間から星空がキレイに見えました。明日はいい日になりそうです。
 
 
・・・つづく。(^^)
 
 
・・・・・☆

◆ 2007.10.06 (Sat)  晴
実川ゲート 13:20- 前川ダム 14:05- トンネル入口 14:40- 湯ノ島小屋 15:20

日出谷駅~実川ゲート タクシー(迎車+回送料) ¥6320
 

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2007.10.03

中段歩道の現況

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(桟道は流されていたが歩行に支障なし・中段歩道 滝上谷にて)

いやいや、先々週末のことなのにアップが遅れてしまいました。(^^ゞ
ということで酉谷山避難小屋泊まりの翌日(09/23)はすでに予報の段階で天気が下り坂だったのでみっちり歩くことはしないで、小川谷左岸を高捲くように通る中段歩道の台風後の様子見をしてきました。

「晴れてる、晴れてる!」の声で目覚めた朝はうっすらと青空が広がっていましたが、それも朝食を終える頃には雲に覆われどうやら天気は予報通りのよう。うだうだしていたらいつのまにか同宿の方々は出ていき、毎度の如く?最後になってしまったので小屋の掃除をしてから出発。

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(酉谷山避難小屋の朝)

避難小屋から一杯水方面へ縦走路を行き、七跳尾根分岐に着くと真新しい私製の道標に導かれる形で七跳尾根の下降に入ります。

七跳尾根はまだゴンパ尾根といわれていた5年前の積雪期に降りて以来かなり久しぶりで、しかもこの時期に歩くのは初めてのこと。上部の自然林はともかく中部の植林帯に入ると木々に食害防止の網が張られていた以外に大きな変化はなく、それより種類は少ないながらもお花が結構咲いていたのが驚き。

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(七跳尾根の分岐には・・・長沢背稜縦走路にて)

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お花はシロヨメナにホソエノアザミ?かアズマヤマアザミ?、そしてヒヨドリバナにヤマトリカブト、キオン、セキヤノアキチョウジぐらいですけど、この植林帯がこの山行きで一番花の濃かったところでもありました。

そして40分ほどで犬麦林道へ降り立つと、ここで林道を下るのではなく登っていきます。フジアザミも大きな花を咲かせ、そしてなぜか林道端で見かける(ここは以前から咲いていた)ヤマハハコは日原においてはけっこう稀品?かも。(^^)

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(犬麦林道にもこういう箇所が)

林道は犬麦谷の手前で↑こんな箇所がありましたが酷いのはそこだけで、あとは難なく歩いて林道終点に着いたら、その先を行くように中段歩道に入ります。

その中段歩道も最初は植林の中を歩くせいか荒れている感じはなく、大栗尾根を乗越して辺りが自然林に変わると小規模なデブリも散見されましたが歩行に支障はありません。

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(心配していたカロー谷は被害なし)

そして滝上谷に降り立つと沢を渡る直前の桟道は残っていたものの、沢を渡る桟道は流されておりその桟道が下流の滝に引っかかっていました。直前の桟道がダメだったらかなり下捲かなければいけなかった所です。でももともと水量の多い沢ではないので沢は難なく渡れてこちらも歩行に支障はありません。

滝上谷を過ぎても道は普段とさほど変わりはなく、にょきにょき生えまくるタマゴタケを見つつハンギョウ尾根を越え、カロー谷へ下り始めると荒れた箇所が出てきてカロー谷はどうなっているのだろう・・・と少々案じられましたが、実際には沢自体は倒木が多かったものの桟道は↑ほとんど無傷な状態でした。

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(カロー谷~日原間は改修されていたが・・・↓)

カロー谷からヨコスズ尾根の西側を捲く箇所も近年改修されまくっている周辺の水源林巡視路と同様ようやく改修が入り、真新しい桟道に石組みとかなり歩きやすくなっています。

でもここも台風9号の影響でしょう、石組みが崩れていたりちょっとしたデブリを乗り越えたりした箇所はありましたが、それでも改修前に比べたら気は楽です。この頃には予報よりも早く、雨も降り出していたんすけどそれも運良く植林帯に入ってくれて雨具や傘を出さずに東日原まで行けました。

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(すでにこういう箇所もあった)

東日原のバス停に着いて、顔を洗い着替えを終えて一息ついたら、雨だというのにこれまた運良く臨時のバスがやってきて・・・11時にはもうバスの車中の人になっていました。(^^)

結果として中段歩道は想像よりも荒れていませんでしたが、多摩川流域は先の台風でかなり雨が降ったのでここに限らず他の水源林巡視路の様子も気になっています。せっかく巨費を投じて??方々で改修したのにおシャカになってなければいいんですけどね~。
 
 
おしまい。(^^)
 
 
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◆ 2007.09.23 (Sun)  曇 後 雨
酉谷山避難小屋 06:45- 七跳尾根分岐 07:25- 犬麦林道 08:05- 林道終点 08:25- 滝上谷 08:45- カロー谷 09:30- 東日原 10:45
 

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