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2006.09.11

初秋の丹沢は花の丹沢

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(蛭ヶ岳まであと少し・主脈縦走路にて)

きっかけは一昨年に歩いたトリカブトの大室山だったと思うんですけど、9月のこの時期はなぜか丹沢へ通うのが恒例となりつつあります。

ということで先週の土曜(09/09)は久しぶりとなる丹沢入り。例によってba_sobuさんに車をだしてもらい、今まで計画しながらも流れに流れていた(これは多分にボクが悪かったのですが・・・)地蔵尾根を登路にとり、蛭ヶ岳~臼ヶ岳と主脈主稜を縦走して源蔵尾根を下降するという周回コースを組んで歩いてきました。

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(神ノ川岩水沢出合附近にて)

前日の予報では晴れと出ていたのに、神ノ川へ向かう道中は霧雨の降るあいにくの天気。少々気分も沈み気味でしたが、ゲートのかかる日陰沢橋から広河原へ向け歩き出すと雨は止み、晴れ間も覗くようになってようやく気分もノってきます。そんな林道脇の岩場にはイワギボウシが咲きはじめていてなかなか素敵なのですが、どいつもこいつも気軽には撮らせてもらえません。

しかし今度は晴れたお陰で蒸し暑くなり、広河原へ着くまでにすでに大汗。地蔵尾根の取付は広河原から神ノ川の本谷をしばらく上がったところにあるので、この河床歩きは正直有り難かったです。

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(こりがカニの横這い??・地蔵尾根上部にて)

さて個人的には未踏ゆえメインだった地蔵尾根ですが、のっけからロープにつかまって道に這い上がり、またまたロープの張られた箇所を慎重にトラバース。小尾根に上がってもグズグズの急な登りが続いて気が抜けません。ボクのように趣味で歩くのならともかく(笑)、これを整備して登山道にするのはどうなのだろう??と少々疑問が残ります。

そんな登りも「胸突き八丁目」なる標識をみると間もなく地蔵尾根上に上がりほっと一息。蒸し暑さもあって服はすでにびしょ濡れでした。

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(地蔵平にて)

先はまだまだ長いのにこんなに暑くてこの先どうなるのだろう・・・と少々不安がよぎりましたが、とりあえずアセビにツガやモミ混じりの二次林といった感じの尾根を淡々と上がっていきます。するとじきに晴れ間が出だして空気がそれなりに乾燥され、そしてそれなりに爽やかな風も吹くようになり、それなりに歩けるようになります。下草のシキミが尾根を埋めていた箇所を過ぎると尾根が痩せ、いよいよ地蔵尾根核心部の始まり。

名前こそ「剣の刃渡り」だの「カニの横這い」だの「鹿落とし」だのついていますが、総じて登降の難しさはなく、むしろグズグズで不安定な箇所が続くのでそちらの方に気を遣う感じ。こちらでもイワギボウシがポツポツ咲いていましたが、これまた撮るとなるリスキーな所にいやがるのがかなりもどかしかったです。

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(今日のお花は当然しろよめな)

そんな核心部を過ぎると依然として急なものの歩きやすくなり、ハンカイシオガマの意外な多さにちょっと嬉しくもなって、「タコの松」を見るとまもなく広々とした地蔵平に飛び出しました。

すっかり晴れ上がって秋の空が広がっていた地蔵平は心地よさそうな草地の広がるピークで、その天気と相俟ってなかなかの場所。でも周囲の草地には入ってはいけないようなので眺めるだけでしたが、ふと気がつけばいつの間にやら大休止していました。(^^)

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(しろよめな満開・主脈縦走路にて)

地蔵平に上がってしまうともう終わったような気分になってしまいますが、最高点の蛭ヶ岳まではまだ300mほどの登りを残しており、これからもう一頑張りしなければいけない所。地蔵平を捲いている主脈縦走路に降り蛭ヶ岳へ向かいます。

主脈縦走路に出るとブナやモミの自然林も見事なのですが、目奪われたのは登山道の脇にわんさと生えている満開満開のシロヨメナ。地味な花ながらもこれだけ咲いていると本当に見事です。とはいえお花の99%以上あると思われるシロヨメナ以外はホトトギスにヤマトリカブト(病気になったのも多い)、トネアザミ?、マルバダケブキがちょこちょこといった具合で、その単調な植生の裏にはシカさんが絡んでいるのは間違いのない所でしょう、と丹沢初心者のボクは思うのです。

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(臼ヶ岳にて)

途中、蛭ヶ岳山荘の管理人さんと会ったりして(小屋犬パル嬢とも再会)、蛭ヶ岳への登りも楽しく意外にラクチン。紅葉の始まったシロヤシオを見るとまもなく蛭ヶ岳に着きました。

山頂には1パーティに単独の方のみで閑散としていたのは意外でしたが、この時期の丹沢はこんなものなのかも知れません。山頂に着く頃にはガスってしまい展望はダメでしたけど、お陰で快適に過ごせたので痛し痒しといった所。あと山頂の小屋でどなたかがビールを本当に買ってきて・・・結局3人で分けたのですが・・・普段山では飲酒しないボクも今回は我慢できずにググっと・・・う~ん、口惜しいけどマジでんまかったです。

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(臼ヶ岳周辺はしろよめなが特に濃い)

一時間程のんびりしたら今度は主稜を西へ向かいます。どこもシロヨメナの白で埋まる中、一部だけ白と黄色(おそらくキオン)のカラフルな箇所があったのには驚きました。そして本ダルミへの急降下が始まると一年ぶりとなるビランジを見つけて大喜び。

本ダルミに下るとあとは相変わらずシロヨメナで埋まる自然林の中を行く感じ。そして周囲のシロヨメナが一層濃くなると臼ヶ岳に着きます。臼ヶ岳はフェンス越しながらブナ林が見事なのですが、今回は周囲のシロヨメナにどうしても目を奪われがちです。この臼ヶ岳周辺が今回のコースでもシロヨメナの一番濃い箇所でした。

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(神ノ川乗越の手前辺りだったと思う)

臼ヶ岳を過ぎるとあとは去年も歩いた道で、期待していたシラヒゲソウは満開、イワシャジンも咲き始めながらも逢う事ができてもうもうありがと~~って感じ。(^^) そして下りの源蔵尾根は先頭のba_sobuさんが飛ばしに飛ばして、一時間とかからずに広河原に降り立ってしまいました。

飛ばしたお陰で大汗かいたので彦右衛門沢でおのおの水浴びに顔洗いをしたりして小休止したら、今度は周囲に群生するフジアザミの撮影大会。林道に近いところなので御坂で見かける時よりもありがたみには欠けますが、その多さゆえ様々な状態の花を見られてこれがなかなか楽しく、今後は「フジアザミを見るなら広河原」になりそう??です。

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(広河原のふじあざみ・・・咲きはじめ)

とにかくba_sobuさんに誘われて行ったトリカブトの大室山から行き始めたこの時期の丹沢でしたが、今回歩いてみて確信したのはであるという事。先に書いた理由というか予測から、決して種類が多い訳ではないけど、人の少ない時期に山が一番華やぐというのも何か皮肉ですね。

・・・・・☆

ということでこの日のREPはこちらをご覧くださいませ。<(_ _)>
 

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【前道志・道志・丹沢 2006】」カテゴリの記事

コメント

そっかそっか。ヒルの事をすっかり忘れておりました。主脈だって一歩早戸川の方へ降りればもうそこは・・・ですものね。

しっとり静かに・・・おっしゃるとおりそんな佳い一日でした。おかげさまで今回を久しぶりに歩いて丹沢の良さを再認識する事が出来ました。(^^)

しかし、塔が草花に埋もれていたなんて・・・いったい何十年ぐらい前のお話しなのでしょう。山頂と登山道以外はくシカさんだろうけど、山頂附近の裸地化は人様のせいのような気がしますね。あっ、そのころだったら大倉尾根も歩いて楽しい尾根だったのかも(笑)。

投稿: komado | 2006.09.13 23:15

komadoさん、ba_sobuさん、こんばんは。

昨年は大室山でトリカブトの盛りを見ようと思い、開花状態を西丹沢自然教室に問い合わせて立ち枯れを知りました。今年は某掲示板からの情報です。昨年については花はそこそこ着いているとのことだったので、今年の蛭ヶ岳と同じ状態だろうと思います。他の山域に広がらなければ良いのですが。

私は今年も見送りでまた来年に期待です。

投稿: 茄子 | 2006.09.13 20:42

今頃の丹沢は ヤマヒルの赤信号点滅なので 人も少ないのでしょう。コースをあやまると散々な思いをすることになります。そのおかげで?、今回のように、メイン通り歩きなのにしっとり静かな丹沢を楽しめたのでしょうか??  (^^)

で、花の丹沢・・・ですが「丹沢今昔」という本に かつては塔の岳の山頂がさまざまな草花で埋まっていたと書かれていました。 どっかに、人も(鹿も←無理)しらないヒミツの花園あるんじゃない? 地蔵平は違ってた、みたい、???

投稿: ba_sobu | 2006.09.13 08:51

おっとコメント書いている間に・・・ba_sobuさん、詳細有り難うです。大室山の件はba_sobuさんにフろうと思っていたのです。

病気のトリカブトはおそらく夏越しの間におかしくなってしまうような気もします。だって葉はなくても花は咲いているのですから。タイミングはわからないけど、花の咲く前におかしくなって葉を落としてしまう??

ここいらは定点で通わないとわからないけど、病気はウイルス???だけでなく植生の単調さも一因なのかも知れませんね。

投稿: komado | 2006.09.12 23:37

タカさん、茄子さん、こんばんわ。
トリカブトは猛毒だからわかるんですけど、シカさんはシロヨメナもおそらくお嫌いなのでしょう。なぜ手をつけないのか、ちょっと理由を知りたいですね。毒がなければにおいとか??そおいや同じキク科だから除虫菊に近いのか、とかテキトーな事を話したりもしていました(笑)。

大室山のトリカブト、やはり病気の株がなくならないようですね。あの時はこれから回復するのかも・・・と思っていましたが、土曜に蛭ヶ岳のトリカブトを見て大室山の事を案じておりました。

蛭ヶ岳附近のトリカブトは数はまばらですけど、大半が葉を全て落とした茎の上に花がついている状態で明らかにおかしい姿です。この日は正常なヤツをやっとこ見つけてカメラに収めたのでした。

投稿: komado | 2006.09.12 23:29

茄子さんこんばんわ
大室山のトリカブト 去年今年と立ち枯れていたのですか?

たしか 99年か2000年 大室山のトリカブトがすごく綺麗と きいたので 2001年行って見ました。
そしたら 2001年は 黒く枯れ悲惨な状況で、翌年2002年訪ねたら  西側復活 東北側の群落 ヤヤ回復傾向 ということで 2004年Komadoさんといってみたら なかなか見事なさきっぷりでした。西側はいまいちでしたが 東北側はとにかく素晴らしく、「これで大室山のトリカブトはもう大丈夫」と思ってしまい、去年は行っていません。
去年、今年と 枯れているのですか?  黒くなって病気のようにではありませんか?
去年5月はトリカブトの芽がわんさか出ていたのですよ! もしかして夏越しのときだめのなってしまうのかなぁ・・・?

蛭ヶ岳のこの時期は初めてなのでよく分かりませんが株数自体少なかったです。先週の山中湖では去年に比べて数が少なく「ことしはハズレ年なのかな」と勝手に思っていました。開花が遅れているのは確かですので。

おととしのようすから大室山のトリカブトについては安心と思ってましたが、これでは気が抜けませんね。あの群落はほんとうに見事ですもの。

ところで、ことしはいつ満開になるのだろうか??

檜ボラのトリカブトどうだろう、春の葉っぱはなかなか元気だったけど。
ba_sobu@蛭ヶ岳レポートまだできましえん~。


投稿: ba_sobu | 2006.09.12 23:23

大室山のトリカブトは昨年に続いて今年も立ち枯れが目立つと聞いてましたが、
蛭ヶ岳でも枯れた株が多いのですか。
大室山の株は少なくとも一年では回復しなかった訳で少し心配です。

投稿: 茄子 | 2006.09.12 20:46

シロヨメナの群落、見事ですね。

投稿: タカ | 2006.09.12 07:24

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