天祖山の南面をめぐる
(大ブナ別レ・・・大ダワ林道と唐松谷林道との分岐点)
9月に入るとすっかり涼しくなってお花めぐりもそろそろおしまい・・・というか涼しくなってくると無性に恋しくなるのが日原の山山。ということで先週の土曜(9/16)は久しぶりに日原に入りました。
日原というとここのところタワ尾根や小川谷周辺に偏っていたような気もするので、今回はどこを歩こうかな~♪と考えていてフト思いついたのが天祖山の南面のこと。↑の大ブナ別(わかさ)レを最後に訪れたのも「花のひかり」を始める以前の事だったんですよね。ということで今回は五年ぶりに旧日原林道と赤石尾根を登路にとって天祖山を訪れました。
(旧日原林道にて)
折角の三連休初日も台風が近づいていまひとつの予報が出ているせいか人出もいまひとつで、久しぶりに対面した稲村岩もガスが切れたりかかったり。東日原を後にすればあとは一人旅と思ったら八丁橋への行きしなに単独さんに抜かれました(笑)。
八丁橋先の登山口からさっそく表参道に入りえっちら登り始めます。表参道は登りだしから主尾根に上がるまでがガレた急斜面が続いて気を遣う所で、主尾根上がればとりあえず一安心。先行していたご夫婦を抜いて、まだまだ緑の優勢な尾根道をひと登りすると周囲に大ブナが目立ち始め、まもなく水場のあるハタゴヤに出ます。
(旧日原林道にて)
旧日原林道(林道といっても車道ではありません。念のため。)はその水場からひと登りした所から分かれており、表参道と別れてさっそく林道にはいると、道は改修されたものの、すでに土砂が堆積しており以前よりは気を遣わずに歩けるかな~程度な状態。ブナにカツラやシオジなど少々気を遣いながらそれらの木々愛でつつ行く感じです。
時期的なせいもあるのでしょうが天祖山の南面で普段から水の流れている沢といえば名栗沢ぐらいなのに、今回は渡る沢渡る沢どれもしっかりと水流があり、濡れた桟道はちょっと怖いけど、周囲の岩が苔むしている事と相俟ってなかなかいい雰囲気でした。
(名栗小屋跡・・・名栗沢はこのすぐ先に流れている)
とはいえこの手の道ですからこのまま安穏と行けるわけでもちろんはなく(笑)、しばらく行くと道は中小屋沢一つ先(西)の沢の崩落地ですっぱりと分断されています。崩落地は急峻でとてもじゃないけど渡れないので、以前歩いた高捲き道を探したのですが、以前はあっさり見つかったはずのその道が今回はなかなか見つからない。結局高捲き道の分岐は見つけられなかったので、崩落地の上端をトラバースしてなんとか切り抜けました。
んが、対岸に渡ってなおも適当にトラバースしていると、なんと後上方からしっかりした道・・・本来の高捲き道が下ってきてここでようやく合流。この先は植林地が多くなる事もあり、道はしっかりします。
(赤石尾根中部のミズナラ林Part1)
松尾尾根を乗越し、名栗小屋跡の石垣を見るとこれまた凄い水量の名栗沢を渡って、大ブナ尾根の尾根上に上がるとそこが大ダワ林道と唐松谷林道との分岐点にもなっている大ブナ別レで、ここは古い道標や看板がおそらくそのまま残って古のというか独特の雰囲気を漂わせている、ちょっといい所です。(^^)
そんな別サレで少し休憩してなおも西へ行き、次の鍛冶小屋窪を渡ればもうそこは赤石尾根の一角。今回は主尾根まで足を延ばさず手前の枝尾根から直接取り付きました。
(赤石尾根中部のミズナラ林Part2)
枝尾根の方はのっけから自然林で、急な尾根をせっせと詰めて尾根が緩むとミズナラ大木の林立する緩斜面に出ます。どの木々も立派で樹勢も良好。しかし初訪の折りにはまだ枯れたスズタケが周囲に残っていてそれなりに移動しづらかったのに、今はすっかりなくなり木々を愛でる余裕があるのは、この場でも何度も云っているけど果たして良い事なのか悪い事なのか・・・少々複雑な気分にもなります。
そんな緩斜面をひと登りすると尾根の左右から植林が合わさり、まもなく主尾根と合流。天祖山へ向け本格的な登りが始まります。
(赤石尾根上部にて)
今回歩いて一番驚いたのがこの尾根上部の様子。初訪の折りは全体的に乾いた、少々味気ない印象をもっていたのですが、今回は上を木々の緑が覆い、地面には貧しいながらも下草の緑が広がり、露岩には緑の苔がむして、本当に少ないながらもタカオヒゴタイが花を咲かせてる、というなかなかの雰囲気。
一度歩いただけで決めつけるのではなく、やはり季節を変えて訪れないといけないな、という至極当たり前の事を思いながらなおも行くと、やがてダケカンバが目立ち始め、あっさりと登山道の通る裏参道との分岐に飛び出しました。
(天祖山山頂もガスっていた)
周囲のモミが枯れてすっかり明るくなった分岐から山頂へは一投足。山頂に着く直前に朝方抜いていったご夫婦とすれ違いましたが、その際ご夫婦にすごく怪訝な顔をされてしまいました。まぁご夫婦からすれば朝抜かれたのに山頂には酷く遅れてやって来た訳ですから・・・当たり前ですね(笑)。
あとは表参道を下るだけという気楽さもあったせいか、時折霧雨が降るというのに山頂で一時間程のんびりしてしまい、ようよう腰を上げて下山開始。表参道は道もしっかりしているので気が楽だ、と思ったら途中の露岩帯の岩が苔むしており、けっこう滑って通過には気を遣いました。
(表参道にて)
そして八丁橋の手前で先程のご夫婦をまた抜かして八丁橋に降りて林道をとぼとぼ歩いていると、伊勢橋の辺りでなんと車に乗っていた先程のご夫婦に拾われて奥多摩駅までひとっ飛び。東日原発のバスの時間前には青梅線の車中の人になっていました。しかし車って本当に早い!拾って貰って本当にほんとうに有り難うございました、です。<(_ _)><(_ _)><(_ _)>
今回久しぶりに天祖山の南面を歩かせて貰いましたが、こちらは植林も多いんだけど残された自然林はやはり出色。個人的には日原ではタワ尾根を双璧だと思っています。山頂附近のモミに周囲のスズタケも枯れて雰囲気は随分変わってしまいましたが、これからも時折訪れてその移り変わりを見ていきたい、そう思っています。
・・・・・☆
ということでこの日のREPはこちらをご覧くださいませ。<(_ _)>
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コメント
akioさん、こんばんわ。
コメント拝見していて大ブナ尾根の事も思い出させてもらいました。(^^)
実は赤石尾根初訪のあと、その林の素晴らしさにすぐに周囲を二度程踏査しました。個人的には松尾から赤石にかけての中腹を適当に彷徨うのが一番良いかな~と思っています。万人向けではもちろんないのですけど。
そんなわけでその後になって大ブナ尾根はようやく通しで歩きましたが、松尾の方はまだ上の方が残っているので、大ブナの再訪絡みで歩きたいけど、これから猟も本格化??しそうですし。。。
あと旧道の方はハタゴヤから松尾尾根までの間が確かに荒れていますが、ここにしろその手前のタワ尾根を搦める所にしろ、もともと急斜面につけられた道ですので、当然反対側はすっぱり落ちているわけでして、たとえ道がしっかりしていても一歩間違えれば・・・ですよね?そういうことです。
投稿: komado | 2006.09.21 23:18
komadoさんのコメントに”実は旧日原林道も一歩間違えれば命がない所が沢山あるのです。”とありますが、眞鍋本では”午後一時前後に新宿を立てば、途中の連絡を上手に運用して、夜の十一時頃までには小屋(檜尾小屋)に着く事が出来る。”というような記述があります。当時はそのような道を懐中電灯やランタンで、氷川から檜尾小屋まで6時間かけて歩いたのでしょうか?それとも、日原林道が出来て旧日原林道を使わなくなったので荒れて危険になったのでしょうかネ。
投稿: akio | 2006.09.20 23:29
お盆の15日に大ブナ尾根から天祖山に登りました。1200mから1300mあたりの自然林は素晴しかったです。下りは赤石尾根を下るつもりで会所の少し南のスズ竹の中の踏跡に入り南へ下りましたが、どうも鍛冶小屋窪の源頭を下っていたようで左右に尾根筋が見えてきました。左のほうがトラバースしやすそうだったので、左方向へ。結局大ブナ尾根の素晴しい自然林へもどり大ブナ尾根を下る羽目になりました。後で地形図を良く見てみると、会所の南の平らなところは沢の源頭になっていました。踏跡に頼らずに地形図を良く見なさいという教訓でした。不精はいけませんね。紅葉の時にでも赤石尾根を登ろうかなと思っています。
投稿: akio | 2006.09.20 22:37
はいはい確かにそう言う話出ていましたね。
天祖山は尾根伝いに延びている表参道ですら奥多摩では有数の急登だと云われている訳ですから、南斜面は言わずもがな。かなり急峻で近年事故が頻発しています。シカも藪絡みで。(^^;;;
実は旧日原林道も一歩間違えれば命がない所が沢山あるのです。
でもHgさんもおっしゃったと思うけど、天祖山の表参道は自然林が本当に見事だから紅葉と新緑の時期はマジでお勧めですよ。
投稿: komado | 2006.09.19 22:51
ここの天租山は春に山の会の女性と登る予定だったけど、なんだかその頃は不明の登山者の話がでていきそびれちゃった
天気は三連休は台風だったしね、ダケカンバがあったりでいい感じだね、夫婦連れと抜きつ抜かれつだったね、siro&kuroだったら、抜かれて追いつけないよぉ~(笑)
投稿: kuro | 2006.09.19 18:59