万助小屋へ
(御田ヶ原分岐附近から山頂を振り返る)
御田ヶ原の分岐からを左にはいると、銀座通りとも云いたくなる今までの様相とは一変。一気に人けなくなり、見慣れたはずの雄大な草紅葉の斜面も今までとは違うように見え出すから不思議だ。
そして途端に足許の花々が増え出したのもまた嬉しい。エゾオヤマリンドウにウゴアザミ、ミヤマアキノキリンソウ、ミヤマリンドウ、ウサギギク、ハクサンシャジン、チョウカイアザミもなんとか間に合った。それになんとハクサンイチゲも! もしやと思ったチングルマはさすがに綿毛まで(笑)。それにつけてもみんな久しぶりに見る顔ぶれだ。
(御田ヶ原分岐附近から・右は鍋森)
途中で出逢った地元の方に万助道を降りると云ったら、ひどく心配されてしまった。
でも蛇石流の分岐に降り立ち、蛇石流沿いにしばらく下ると右岸に道は難なく見つかり一安心。右手の尾根が緩くなると道は尾根上に上がり広々とした草原に飛び出す。ここが仙人平。
辺りはすっかり黄葉し黄金色の世界。流れるガスをボーっと見ながらただただ佇んでいると、向こうから
「お~い!」
と声が聞こえてきた。さっきの人だ。蛇石流を挟んだ向かいの千畳ヶ原に姿も見える。確か滝ノ小屋へ戻るとか云ってたっけ。私もちょっと嬉しくなり
「おーい!おーい!!」
と叫んで両手を振る。
するとさっきの人は安心したのか、歩き始めたので、私も先を行った。
(蛇石流を見下ろす)
草原を過ぎ、灌木帯に入るとネマガリが被り始めるが下道はしっかりしている。でもそれもドッタリと小屋の中間点ぐらいまでの辛抱。灌木から高木帯に変わると藪も収まり、万助小屋に着いた。
小屋は年代物だが窓枠に周囲のベンチはペンキが塗り立てと云った感じで、しっかり管理されていることは容易に想像できる。
そして中に入ると、床は張り替えられてきれいだし、美味い水が引水してあるし、石炭ストーブはあるし、灯油ランプもあるし・・・と至れり尽くせり。さっそく二階に上がって小屋のノートをパラパラ見ながら水割りをちびり。
ノートには酒田工山岳部の方々がメインとなって管理されている様子が克明に記されてあり、胸が熱くなってしまった。さほど人の入らないコースなのにこれだけ愛情を注いで管理をされている小屋は本当に貴重で素晴らしく、頭の下がる思いだ。
(仙人平から千畳ヶ原の草原)
いつの間にかうたた寝をしてしまい、ふと目が覚めると遊佐の夜景が見えた。
明日もいい天気になりそうだ。。。
(こりが万助小舎)
・・・と思ったら、翌日は朝からしっかりとした雨。予想外の天気に少々まごつき7時半になってようやく出発。道はすでに沢と化していた。
少々心配していた渡戸から一ノ坂の道も実際はしっかりしており迷いようが無く、万助小舎から二時間弱で採石場の脇といった風情の一ノ坂に着く。
あとは道路を歩いて遊佐駅を目指すのみ。頭を垂れた稲穂が美しい水田の中を延々と歩いて、駅まではこれまた二時間ほどの道のりだった。
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