檜尾小屋跡にて
今日の朝、私は一人のTをこの小屋(檜尾小屋)に残して単独長沢谷を完渉、長沢脊稜を長駆柴水小屋(雲取山荘)に富田治三郎君を訪れ、帰路を大ダワみちにとり、途中捷路を選んで赤石尾根に入って、直ぐ眼下に見えるこの小屋へ、力限りの
「ヤッホー!」
をなげかけたものだった。
見ると、小屋の横マミ谷の岸から、薪木を一パイにかかえたTが、驚いた様にこっちを見上げてさかんに声の姿を見付けようとしている。
新葉をつけたばかりの濶葉樹のこの尾根の中から、一人の人の姿を発見しようとすることはなかなか容易でないと見える。
私は再び
「ヤッホー!ヤッホー!」
と続け様にどなると、
意外、又もマミ谷の岸から現れた、これも一パイの薪木をかかえた一人の痩身の男がこっちを見上げて私の姿を見つけた合図にか、右手をスーと上げて
「ヤッホー!」
と威勢のいい声で答えて呉れる。
Tもそれと合点がいったか、声は聞こえぬが二人の様子では私の帰った事を語り合っているらしいことがそれと判る--。
それから5分とたたぬ内に、私は急崖を下って小屋に入り、今のヤッホーの主、宮内敏雄さんと相対していた。
(宮内敏雄「奥多摩」 の序<真鍋健一> より)
・・・・・・・・ということで
桧尾小屋跡を訪れたのは去年のツバノの枝尾根を歩いた時以来でしたが、今回はちょっとスペシャルでした。(^^)
あと今回も例によって判じもの↑を見つけました。檜尾根の1300m圏のピークで見かけたこの標柱。水源林のではなく、おそらく小雲取出合尾根で見かけたものと同じものだと思いますが、こちらの方は状態が悪く解読不能に近いです。なんて書いてあったかご存じの方、もしいらっしゃったりしたら超リスペクトなんですけどねぇ・・・。
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